フィンテックは「5社で読む」と一気にわかる——PayPay・SoFi・Robinhood・Block・Visaでたどるお金の流れ総集編
※本記事の財務数値は2026年3月17日(日本時間)時点の公開情報に基づいています。株価・アナリスト評価は時間の経過とともに変動します。最新情報は各社IR・各証券会社のレポートをご参照ください。
■ はじめに
全5回にわたってお届けしてきた「フィンテック・チェーン」シリーズ。本記事はその総集編です。
フィンテック株は、1社ずつ見ているとわかった気になりやすい。
しかし実際には、決済、銀行、投資、送金、ネットワークは、それぞれ稼ぎ方もリスクもまったく違う。
PayPayは日常決済の入口を握り、SoFiは銀行として預金と貸付を回し、Robinhoodは取引を増やして稼ぎ、Blockは決済と送金の両面エコシステムを広げ、Visaはそのすべての土台となるネットワークを押さえている。
この5社を並べて初めて、「フィンテックがどこで儲かり、どこで詰まり、どこに最も強い堀があるのか」が見えてくる。
本記事は、全5回にわたってお届けしてきた「フィンテック・チェーン」シリーズの総集編です。
PayPay → SoFi → Robinhood → Block → Visa → そして再びPayPayへ。5社がどうつながり、どこで競い、どこで補完し合っているのかを、公認会計士・IPOコンサルタントの視点から整理します。
単体記事の振り返りにとどまらず、5社の横断比較、投資家タイプ別の考え方、会計士目線のリスク整理まで含めて、「結局この5社をどう読めばいいのか」を一気に掴めるようにまとめました。
このあと、各社の概要から順に見ていきます。
■ 第1部:5社の概要まとめ
PayPay(PAYP)
2018年、SoftBankとYahoo Japanが共同設立。QRコード決済を武器に日本のキャッシュレス化を牽引し、登録ユーザー数は2025年末時点で約7,200万人に達しました。
2026年3月12日にNasdaqに上場(公募価格$16・初日終値は約$18.90)。2026年2月12日にVisaと戦略的パートナーシップを締結し、米国市場への進出を本格的に始動しています。
2024年度の決済取引総額は約15.4兆円(PayPay Card含む連結ベース)。単体EBITDAは黒字転換済みで、日本発フィンテックとして初めて米国株式市場での本格評価を受ける段階に入りました。
SoFi Technologies(SOFI)
2011年、スタンフォード大学の学生ローン支援から誕生。2023年に銀行免許を取得し、「フィンテックから銀行へ」という転換を遂げました。
2025年通期の調整後純収益は36億ドル(前年比38%増)で、同社初の年間36億ドル突破を達成。調整後EBITDAは11億ドル(前年比58%増)、EBITDAマージンは29%。Q4 2025単体では調整後純収益が初めて10億ドルを突破しました。
預金残高はQ3 2025時点で329億ドルに達し、個人ローン・住宅ローン・学生ローン・証券・保険・暗号資産までを一つのアプリで提供する「Financial SuperApp」化を進めています。稼ぎ方の本質は「預けてもらい、貸して稼ぐ」銀行型モデルです。
Robinhood(HOOD)
2013年、スタンフォード大学(数学専攻)出身のVlad TenevとBaiju Bhattが設立。株式取引手数料ゼロを業界に持ち込み、TDアメリトレードやE*Tradeの業界再編を引き起こした革命児です。
2025年通期売上高は45億ドル(前年比52%増)、調整後EBITDAは25億ドル(前年比76%増)、EBITDAマージン56%。2021年のIPOは公募価格$38に対し初日終値$34.82と公募価格割れとなりましたが、2025年10月には史上最高値$153.86を記録しました。稼ぎ方の本質はPFOF(注文フロー対価)を含む取引手数料、金利収益、Goldサブスクリプションによる「取引させて稼ぐ」ブローカー型モデルです。
Block(XYZ)
2009年、Twitterの共同創業者Jack DorseyとJim McKelveyが設立。友人が2,000ドルのガラス製蛇口の売買をクレジットカードが使えないために逃したことが創業のきっかけです。
Square(中小事業者向け決済)とCash App(個人向け送金・投資)という二つのエコシステムが相互に利用者を増やし合う構造が最大の強みです。2025年通期粗利益は103.6億ドル(前年比17%増)。2026年2月には全従業員の約40%にあたる4,000人超のレイオフをAI活用を理由に発表し、株価が約24%上昇しました。稼ぎ方の本質は「決済のたびに手数料を取る」決済インフラ型です。
Visa(V)
1958年9月18日、Bank of AmericaのBankAmericardとして誕生。1976年にDee HockがVisaに改名。2008年3月19日に当時の米国史上最大規模のIPO(公募価格$44・調達額約179億ドル)を実施しました。
2025年度(2024年10月〜2025年9月)純収益400億ドル(前年比11%増)、GAAP純利益201億ドル(1株当たり$10.20)、純利益率50%超。年間処理トランザクション数2,575億件。「カードを発行しない・お金を貸さない」のに利益率が50%を超える理由は、信用リスクをゼロにした「高速道路の通行料」モデルにあります。
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