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繋げる者たち(20250905)

 9月! それは真夏から一歩脱した季節でもあり、一ヶ月後に逆噴射小説大賞を控えた季節でもあります。あと四週間しかないってマジですか?

 



ファイト・クラブ

チャック・パラニューク『ファイト・クラブ 新版』ハヤカワ文庫、2015

 生きる希望を失い、互助グループに紛れながら生きていた「ぼく」は、ある日ヌードビーチでタイラー・ダーデンと出会う。タイラーはぼくにファイトを教え、暴力を教え、迫撃砲弾の作り方も教えてくれた。最初は二人で殴り合うだけだったが、ファイトは次第にファイト・クラブへと変化し規模を急拡大させた。ファイト・クラブ規則第一条「ファイト・クラブについて口にしてはならない」第二条「ファイト・クラブについて口にしてはならない」。

 90年代の黙示録です。全編に暴力と不穏さが漂い、文章のどこかに事件と破壊が潜んでいます。日常のあらゆることを暴力、自動車爆弾、ダイナマイトで繋げられることがわかります。おそらく舞台は95年辺りですが、まったく作品が古びていません。おそらくWi-Fiやスマホが小道具として存在していてもファイト・クラブはファイト・クラブだろうと思わせる迫力があります。

 文章の一センテンスが短詩のように仕上がっていて舌を巻きます。センテンスやニュアンスが短く、それでいてヘミングウェイのようなアメリカ文学も思い起こさせます。純文芸(町田康やガブリエル・ガルシア=マルケスを想像してほしい)では、複雑で迷宮のような文章を配置することで読者を小説的な立体物に連れて行く仕掛けが多いのですが、『ファイト・クラブ』は散文的に文章を配置しています。

 思想の面から言えば、主人公である「ぼく」は北欧家具を購入することに疲れ果てて不眠症になっています。アッレのカトラリー、クリプスクの棚、コバルトを買い揃えるために全人生を費やさなければならないのは(そもそもそうした人生を選ばなければならないのは)、まさにアメリカ資本主義を体現しています。國分功一郎さんが『暇と退屈の倫理学』という哲学書を出版されていますが、この本でも資本主義をテーマとした作品として『ファイト・クラブ』が取り上げられています。

 フィクションとしての強さが計り知れません。暴力、混乱、怒り、鬱屈。エンターテイメント小説ではあるものの、驚くほど大量のバイオレンスと犯罪に溢れており、面白さは令和の現代でも通用します。

 なお小説では後半から、「ぼく」とタイラーがプロジェクトのために推進していくのですが、私としては前半の、二人で暴力について蘊蓄を言いながら殴り合っている、あるいは小規模コミュニティに収まっているほうが若干居心地が良かったです。
 
 暴力について、100パーセントはこの本に記されていないかもしれません。しかしかなりの部分が記されています。

独創短編シリーズ 野崎まど劇場

野崎まど『独創短編シリーズ 野崎まど劇場』電撃文庫、2012

 
「独創短編シリーズ」とかあるので短編集なのだが、だいたい一作品を除いて全部ギャグに振っている。ここまで突き抜けるのかと抱腹絶倒するくらい素晴らしい作品でした。出てくる作品が全部ツボでした!

 ラノベが純文芸やエンタメ文芸に対抗できる武器の一つが「軽妙な会話劇」なんですが、作品内の「苛烈、ラーメン戦争」がかなりこれを体現しており、セリフでコントを体現しきっています。ただコントのミソとなる部分がイラストで表現されているので、これを文字で体現していたら、もっと評価が伸びたかもしれません。

 他にも半分くらいBLが入ったヤクザ活劇である「西山田組若頭抗争記録」、科学をよく知らないお姉さんがひたすら無茶振りを繰り返す「TP対称性の乱れ」が絶妙に面白い。読んでいて「きたねえガリレオシリーズだな……」と思いました。

 西部劇、将棋、勇者を迎え撃つ魔王などのシチュエーションが用意されているものの、コントがそうであるように段々とねじれていく。特に西部劇なんてほとんど引用不可能というか、もはやアスキーアートの世界です。人によっては「とても許容できない!」か「素晴らしい!」に分かれるかもしれないが、私は後者のほうでした。

 作家の小川哲さんが『文藝 2024年冬季号』において、「「笑い」を描ききることができれば、およそあらゆる種類の感情を読者に喚起させることができる、という事実は、選考委員である町田康によって証明されている」と批評していますが、これはかなり的を射ています。たいていの人にとって笑いは大きなフックだし、フックによって生じた感情は、興奮や好奇心へと簡単に転化します。

 この辺を踏まえてみると、有名なのは『HELLO WORLD』、最近は『小説』『タイタン』などの人気作を出版している野崎まどさんがこの作品を発表されたのは、「確かにこれも書けるだろうな……」という納得感があります。さまざまな感情を小説に繋げている。

ニンジャスレイヤー』でも、「アイエエエエエエエ!」とか「ニンジャとは、平安時代をカラテで支配した半神的存在」というパワーワードで読者を引き付けているが、最終的には骨太のアクションとシリアスドラマで読者をパルプさせることに成功しています。

 あと!!!! カバー裏にまで小説が載ってるなんて普通わからないんですが!!!!!! 電撃文庫って普通そこ白紙ですよね!!!?!??

 YouTubeとかで2分アニメとかにしたらかなり受けるんじゃないかと思ってます。


おまけ:逆噴射小説大賞大分析! with ChatGPT


 今回は読書感想文のほかに、「なんか良さそうな逆噴射向けの対策をChatGPTに訊いてみよう」という企画を立てました。なお……この企画はエンターテイメントを目的としたものであり、実際の事実、小説執筆、方向性の策定に影響を及ぼすものではありません……

Q:逆噴射小説大賞が開催されますが、この大賞の対策について教えて下さい。どのように冒頭800字を書いたら良いですか?
A:以下のような構成を意識すると、テンション高く、引き込まれる冒頭が作れそう:
①刺さる一行目(10–20字)
強烈なイメージか、衝撃的な動作・告白からスタート。

②世界観のざっくり提示(〜100字)
異常な世界設定や違和感を短く提示。"ここは普通じゃない"と感じさせる。

③キャラの「狂気」や「異常性」の示唆(〜200字)
登場人物の行動・心情の一端を見せる。常識外れのことをさらっとやらせる。

(長いので中略)

⑥「〖続く〗」を明記

実例紹介(100字程度イメージ案)
タイトル:「黒曜の檻」

一行目(約15字)
「俺は自分の影に首輪が嵌められていることに、気づいていた。」

続く…(実際の800字ではさらに肉付けする)なぜ影に首輪なのか?誰が、どうやって?という謎を一瞬で提示。
(長いので後略)

ChatGPT5より

 コピペして思ったんですが、まあこんなもんだな……と思いました。この……「60点くらいは取れそうだが、免許皆伝には及ばない作品」そのままなケース!

 実際にパルプな800文字を書いたとしても、そもそも完結させないと作品の良さがわからないので、ネタの強さだけ追い求めるのではなく、2万字から12万字くらい書くつもりで執筆すると良いですね。なお私はこのあとPCの日本語入力がおかしくなり、それを相談したら直りました。
 ちなみに私は作品の持ちネタがないので、ギリギリまでネタ出しして参加しようと思います。目指せ! コロナビール!(希望者にはドリトスももらえます)

 今回は以上です!

《終わり》


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