#なんのはなしですか第「ん」号を読んで
「こうしておけば、違う人生だったのかもしれない」
そんなことを、何かにつまずく度によく考える。
自分の人生が後悔ばかりの人生だと思うのが嫌で無理やり「後悔はしていない」と思うことで、軌道修正をしてきた。
思い込むとそれは現実になる。
思い込む癖は簡単には治らない。思い込むことはマイナスだけでなくプラスな面もあるのだと、思い込み歴40数年の私が行き着いた答えだ。
後悔ばかりの人生を送ってきた私にとって、それは自分だけのはなしだと思い込んでいた。
やっとふたりのオジサンのZINEを読んだ。
コニシ木の子さんとえむのマイトンさん。
ふたりのオジサンの共作は、現在60冊以上=60人以上の方の日常に届いている。
章の合間に挟む「路地裏のひだまり」
これはどなたの案なのだろう。
おかしさが込み上げてくる。
奥付には編集長の本田すのうさんや校閲の亜麻布みゆさんまでオジサンネームで書かれている。各ページに散りばめられた「なんのはなしですか」デザインや装丁はMottoさん。ポスターデザインの彩野リィちゃんは、リリー・フランキー枠でそのままオジサンネームとして採用されたそうだ。
まさしく
なんのはなしですか
だ。
すべて見事にオジサン達で構成されたZINEだった。面白すぎる企画力。
さて読んでみて。
私と比べるのもおこがましいが、お二人の言葉の紡ぎ方にはまったく持って敵わないと感じた。
ガラスコップ、スモック、ビリビリ、マスな、そんな単語たちが妙に心に残っている。
マイトンさんの作品で、印象に残った一節がある。
正直おしりよりもぼんじりでビールを美味しく飲める体になっていたし、もっと言えば皮やレバーの方が好きになっていた。
ここだけ読むとほんとうに
なんのはなしですか
なのだが。
前後の流れも是非読んでほしいので詳しくは触れないが
「過去の自分より現在の自分を肯定する」を表現するのに、あまりにも的確でおかしくて思わず唸った。
マイトンさんの全作品を読んだ率直な感想は「人生は何歳からでも動き出す」のだと、希望を感じさせてくれた。それを体現しているのがマイトンさんだと思った。
これまでの人生と向き合うことは、決して簡単ではない。勇気がいる。
マイトンさんのように才能があり活躍されている方でも、これまでの人生に葛藤ややりきれない思いを抱えることがあるのだと知り(勝手に)親近感が湧いた。
そこにあるのは、飾らない「人間らしさ」なのだと思った。
そしてコニシ木の子さん。「#なんのはなしですか」をここまで拡げた方だ。回収と言って、何作品も読み続けその感想を残してくれる。
コニシ木の子さんが書く作品は、コニシ木の子さんだ。これだけご自身を表現するのに長けた方がいらっしゃることを知れただけでも、noteをやってて良かった。
木の子さんの周りを固める登場人物もそこはかとなくおかしい。
駄菓子菓子、不思議な人だなとつくづく思う。
ご自身のことを「ヒトタラシ」と仰っていたが、それだけではない。
行動力を誇示するわけでもなく、恐らく生まれながらにして身につけている独特な人との距離の取り方。初対面の人とも自然に言葉を交わしてしまう。
私が「なんのはなしですかショップ」をお手伝いするようになったのは昨年の夏前だった。
まだ一度も会ったことのない木の子さんと、オンラインショップ立ち上げまで何度も会議を重ねた。すべて文章だけで。
その状況がおかしくて、私は
「木の子さんと会ったことない所がまた面白いんですが、笑」
と送った。
返ってきたのは
「ま、会っても変わんないですよ。このまんまです。特に何も考えてないです笑」
という言葉。
そして昨年夏の電子書籍出版記念パーティーで初めてお会いしたけれど、本当に何も変わらなかった。
距離感も謙虚さも感謝の心も。
誰に対してもフラット。
飄々としてるのに熱い人。
ここを崩せるのは
「かなりタイプの女性」だけなんだと思う。
だからこそ、これからもコニシ木の子という生き方見逃せないな、と偉そうにも思ってしまう。
だって起業したんですもの。
「変化のない日常」を一変させるのは人との出会いなのだということを、あらためて気付かせてもらった。
人との出会いは、人生を大きく動かす。
このあいだこのZINE読んでも何も起こらないはずだと言ってしまったことを、またもや後悔している。
だって、起こってしまったから。
この感想文を2日かけて本気で書いている自分がいる。
人より時間はかかるけど、コツコツと積み上げることは私にも出来る。思い出せたちょっとした自信。
今私の心には
後悔してきたと思っていた人生も、思い込み続けてきた私の人生も、それごと抱えて、まだ動き出せるのだ
ということが残っている。
あとは、お得意の思い込みを少しだけ前向きに使えばいい。
このZINEに出会っていなければ、私はきっとまた「こうしておけば」と過去を振り返っていただろう。
けれど、今は違う。
このZINEに出会えてよかった。
