My Story|第二章「専業主婦の頃」小さな違和感が、私の意識を変えていった
「あれ……なんか、この味……違う。」
ある日、買ってきたお弁当を食べながら、
ふとそう思いました。
まずいわけじゃない。
食べられないわけでもない。
でも、なんだか違和感がある。
そんなに美味しくない。
以前なら、きっと何も思わず食べていたはずなのに。
その頃の私は、少しずつ食べるものを意識するようになっていました。
結婚して、引っ越しを機に大学病院を退職。
その後は、長女を出産し、
しばらく子育てに専念することになりました。
生活の中心が仕事から家族へと変わり、
家族のために家でご飯を作ることが
増えていきました。
特に赤ちゃんの食事は、
できるだけシンプルに。濃い味付けはせず、
素材そのものの味を感じられるように。
「この子の身体をつくるものだから。」
そんな思いで、食べるものを選ぶようになっていきました。
そして、意識するようになったのは食べ物だけではありません。
毎日使う洗剤も、肌に触れるものだから、
できるだけ肌や環境にやさしいものを。
家族が毎日使うもの。暮らす場所。
口にするもの。
少しずつ、一つひとつを考えて選ぶようになりました。
子育てをしていると、
いろんな話を耳にするようにもなりました。
「この子、アレルギーがあって……」
そんな話を聞く機会も増えていきました。
看護師として働いていた頃にも、
もちろん知っていたこと。
でも、自分が母親になり、子どもを育てる立場になったことで、以前とは違う感覚でその話を聞くようになりました。
「どうしてなんだろう?」
「子どもたちの身体に、何が起きているんだろう?」
そんな疑問が、
少しずつ自分の中に生まれていきました。
もちろん、その時に明確な答えがあったわけではありません。
ただ、
「身体って、私たちが毎日選んでいるものの影響を受けているのかもしれない。」
そんなふうに考えるようになっていったんです。
そんな生活を続けていると、
ある変化にも気づきました。
「あれ?私、味覚が変わったのかな?」
でも、今振り返ると、味覚が変わったというより、
今まで鈍っていた感覚が、少しずつ戻ってきたような感覚
だったのかもしれません。
素材そのものの味を感じることが増えていった。
だからこそ、以前は気にならなかったお弁当の味に、
「ん?なんか違う。」
と感じるようになった。
添加物の味を敏感に感じるようになった、
というより、
本来の味を感じられるようになった。
そんな感覚でした。
そして、この小さな経験を通して、
「身体って、ちゃんと感じ取っているんだな。」
と、少しずつ思うようになりました。
身体は、私たちが思っている以上に
正直なのかもしれない。
でも、忙しい毎日の中で、その小さなサインを見過ごしてしまうこともある。
当時の私は、まだそこまで深く考えていたわけではありません。
ただ、
「身体に入れるものって、大切なんだな。」
「毎日の選択って、身体につながっているんだな。」
そんなことを、母親になった私は
少しずつ感じ始めていました。
そして、この頃に芽生えた小さな意識が、
後の私の人生を大きく変えていくことになります。
「病気になってから考える」のではなく、
「病気になる前にできることはないのか。」
この問いを、
私は少しずつ持つようになっていきました。
まだ、この時の私は知りませんでした。
この問いが、やがて私を「予防」という道へ導いていくことを。
――第三章へ続く。
