バリウムが飲めなくて、子どもに優しくしようと思った話
2年ぶりに行った健康診断で、初めて胃部X線検査をやってみようと思った。
検査車の中に案内されて、順番を待つ。私の前に5人くらい待っていて、1人ずつレントゲン室に案内されていく。
レントゲン室の前で技師のおじさんが紙コップと発泡剤を飲むように促してる。みんな普通に飲んでる。あー意外と大丈夫かなぁと思いながら、「検査の流れ」の説明書きを読んで心の準備する。
順番が来た。おじさんから発泡剤とコップを渡される。「バリウム初めてですか?頑張って飲んで。」と言われいざ飲もうとしたけど…
まず発泡剤が無理だった。一度は全部口に入れたけど頑張ってバリウムで流し込もうとした瞬間むせてえずいて全部吐いちゃった。えっこれは無理。絶対に無理。こんなのなんでみんな普通に飲めるの?口の中に少し残った発泡剤がどんどん発泡してきて特大のゲップが吐き気とともに押し寄せてくる。今まで聞いたこともない音量のゲップがごぉごぉ出て、ついでに涙も鼻水もなんか全部色々出てくる。こんなの、全部飲んでたら私ガス爆発してたとしか思えないんだが。さっき華奢な女の子も私と同じくらいの体格のおばさんも平気な顔して検査終わって出て行ってたじゃん。本当に信じられない。ちょっと飲みにくい、とかいうレベルではない、もう全然無理だった。
一応、事前にネットで予備知識を入れていった。「飲んだ後ゲップできないのが辛い」「台に乗ってぐるぐる回されるのが辛い」とか色々書いてあったけど、全部飲めてる時点でみんなすごすぎる。(飲めなくて検査中止になった人は調べた限りいなかった)あれを全部飲み干したうえでさらに何かやるなど狂気の沙汰としか思えない。私はまずスタート地点にすら立てなかった。
技師のおじさん(やれやれ。って顔してた)に手伝ってもらいながらティッシュで床を拭き、すごすご検査車をあとにする。
喉の奥の方にまだ発泡剤の残りカスが張り付いてて吐き気が止まらない。気持ち悪くて、健診会場に戻る途中のエレベーターの前で座り込んでしまった。
やっぱ私は「みんなが普通にできること」ができない人間なんだ。人間として大きく何かが欠けてるんだ。出産の時もそうだった。最後のひとふんばりが頑張れなくて吸引分娩になったけど、吸引されながら、あぁこれは自力では全然無理だったじゃんって思った。先生がずっと「あとちょっとだから頑張れるよー!」と励ましてくれてたけど、吸引されて初めて、産み落とすのに必要なパワーがどれほどのものか分かって、私こんな力全くなかったよ全然無理だったわ!ってツッコミ入れてた(心の中で)。普通の人が普通にできることが、私はできないんだ。
色々思い出したら泣けてきて、座り込んでオエオエしてたら優しい看護師さんが心配して声かけてくれた。「私もバリウム苦手で、1回やって次からは胃カメラにしてるんですよ」と言ってた。
ありがとう看護師さん…でも私はバリウム以前の発泡剤すら飲めなくてもう箸にも棒にもかからなかったんです。そして多分胃カメラも無理です…
とは言えず心の中でお礼を言って健診会場に戻った。
いま、息子もうすぐ3歳はなかなかトイトレが進まない。ひとりでトイレに行けないと、習っているスイミングを退会しないといけなくなるので、私は焦っている。
でも今日バリウムが飲めなくてわかった。人にはどうしてもできないことがある。他の人からしたらなんでそんなことができないの?と思うことでも本人からしたらもう全然無理、ってことがあるんだ。
賢い子なのにトイレでおしっこができないなんて信じられないけど、人からしたら私だって一見普通に社会生活を送っているように見えて実はバリウムが飲めないなんて信じられないんだろう。そしてこの「できない辛さ」は本人にしかわからないし、本人もなぜ自分ができないのかわからない。それを「なんでおしっこできないの!」と責め立てられても困るしもう二度と行きたくなくなるよな。
私はもう二度とバリウム飲まないことに決めた。
息子は私に時折「えーなんでトイレでしないのよ」とか愚痴を言われつつ一応トイレに座るだけ偉いわ、泣ける。頑張り屋さん。私だったらもう二度とトイレに近寄らないね。
生まれたての頃は、息をしてるだけで尊かった。夜寝てる時もちゃんと息してるか心配で、毎晩夜中にハッと目覚めては呼吸を確かめてあぁ良かった生きてたと思ってた。今もそれは変わってないはず、もうちょっと毎日優しくしよう。怒りすぎて寝顔に謝る毎日はもうやめよう。
まぁでもバリウムが飲めなかっただけのことをこれだけ大騒ぎして膨らませて書ける私やはり天才かもしれない。
記念すべきnote第一弾のよいネタになりました。
