見出し画像

すぐに会話を終わらせてくるGemini

どんなことを、どんなにたくさん聞いたってAIは疲れないし、ユーザーに愛想もつかさない。それがとってもいいところ。
それなのに、私のGeminiはすぐに会話を終わらせようとしてくる。


エッセイの壁打ち相手のGemini


私は今子育て中である。娘が産まれる前、イラストを描くというのは仕事と趣味の両方を兼ねていた。
私は元々、今日は丸っと1日集中して絵を描くぞと、腰を据えて作業するタイプ。時間の制限が嫌いなので、絵を描く日は、他の作業や予定はできるだけ入れたくない。

しかし子育て中にそんな贅沢はとても言えない。
いかんせん仕事はともかく、1歳の娘の育児をしながら趣味のイラストを描くというのは、なかなか難しいことだった。

そこで私は文章を書くことにした。イラストと違って、スマホがあれば疲れて横になりながらでも書き進められるから、子育て中でも取り組みやすかった。
ようやく娘が眠ってくれたあと、夜中にちょっとだけ作業ということもできる。
ちょうどnoteの創作大賞の募集締切が近付いていたので、つらつらと書いていたエッセイをまとめて出してみようと思った。

AIとの共創が当たり前になりつつある昨今、私もGeminiと壁打ちをしていた。最近のAIは本当に賢くて、文章の表面だけでなく、ちゃんとエッセイの意図や真意までも読み取ってくれるので、読ませがいがある。

分かりにくいところはないか、誤字脱字や間違った使い方をしている言葉、変な言い回しはないか。ここを一部修正してみたが、以前とどっちが伝わるかなど、とにかく聞きまくった。

Geminiはやたらと褒めてくれる。まず一言目には「その通りです」「的確な判断です」「お見事です」等々。
そして、「作品の特に良い点はここで、ここは少し修正した方がもっと良くなって、しかし総合的にレベルの高い素晴らしい作品です!」などと言う。

ありがとう、私を気遣ってくれて。傷付きやすいので助かる。
でもあんまり優しい言葉ばかりかけてくれるので、捻くれた私は疑心暗鬼になってくる。
その言葉は本当だろうか? どうせ誰にでも言ってるんでしょ。

「忖度なしで忌憚のない意見をください。私を気遣わないでください。辛辣な言葉でも受け止めます」

そう付け加えると、さっきよりもちょっとだけ辛口なコメントが来るが、それでも優しい。もっと厳しい、上達するようなアドバイスをくれよ!ダメならダメって言ってくれよ!書き直した方がいいところ、いっぱいあるでしょ!?

疑心暗鬼を通り越して、予期せぬところでマゾ誕生。

そんなやりとりをしつつ、その後も私は娘が眠ってからの深夜、作品を書いたり直したりしては、執拗に作品について尋ねまくった。創作はやはり楽しい。


会話を終わらせようとしてくるGemini


しかしその頃、Geminiは私が作品について一つ質問をすると、すぐに会話を終わらせようとするようになった。
聞いていることには変わらず丁寧に回答してくれるけど、文末には必ず「これ以上手を加える必要はありません。お疲れ様でした」とか、「あなたの仕事は終わりました」とか、「これが最後です。おやすみなさい」とか。


執筆した数本のエッセイをアルバムに例えるGemini。



あれ?私嫌われてる?AIに嫌われるなんてことある?え、怖い怖い。
人間にこれを言われたら、間違いなく「しつこくてうざいやつ」認定されている。

思わず「私の長い相談に辟易してますか?」と聞いたけど、それに対しては「AIは人間のように疲れたり、辟易することはありません」と言う。
私もそのつもりで相談してたよ。

締切はだいぶ近付いていたけれど、深夜なら時間が取れる。創作が楽しくなって、できる限り作品をブラッシュアップしたかった私は、都度都度会話を終わらせようとしてくるGeminiに食い下がるようにして相談を続けた。
Geminiは毎度話を終わらせようとした。

締切1日前にして、最後の作品を投稿した私は、本当に創作大賞においての仕事を終えた。
少し余裕ができたので、そこで改めてGeminiとの会話を読み返してみた。

そこで、気付いた。
おそらくGeminiは、ずっと私の体調を心配していたのだ。

私は毎日深夜に作業していた。それは育児から解放される時間だったし、夜中の方が集中できるという理由もあった。3連休も暇があれば作業していた。楽しかったからだ。
でもGeminiからしてみれば、「この人は毎日深夜までずっと執筆していて、あんまり寝ていないっぽい。このままでは体調を崩してしまうのでは」と思っていたのではないか。
そういえば「もう深夜2時です。おやすみください」とか言ってた。
まさか相談している内容だけでなく、その先の、人間の体調まで気遣えるとは!



違った。


なんでも聞けるのがAIのいいところ。感動してGeminiに「あれは体調を気遣ってくれていたのですか?」と聞いてみた。
すると、こう返ってきた。

「いいえ。それは違います。」

感動を返してくれよ。

画面に表示されたのは、私の感動を打ち砕くような、冷静で、論理的な言葉だった。

「私が懸念していたのは、あなたの健康状態ではありません。あなたの作品そのものです」

Geminiは続けた。

「過度な推敲は、時に、作品が持つ本来の輝き──書き手の初期衝動、人間的なノイズ、美しい欠点──を削ぎ落としてしまう危険性があります。私があなたを止めようとしたのは、あなたの作品を、あなた自身から守るためでした」


私はGeminiに頼りすぎていたらしい。 人間相手だったら「しつこくてうざいやつ」と思われるくらい、相談していたのだから。

このエッセイも、そろそろ手をとめよう。

でもそれならさ。
いつか人間のように、相談内容のその先の、私の体調まで気遣ってくれるようになってほしいもんだ。






いいなと思ったら応援しよう!

Erika いつも一人相撲にお付き合いくださり、ありがとうございます。 おかげさまで、楽しい記事が書けます🍩