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食料品値上がりへの家計支援はどこまで届くのか ― 地方財政の現場が感じる限界

先日閣議決定された高市政権の大型経済対策については、「ひとこと解説」で軽く触れました。

今回は、その柱の一つである物価高騰対策の「重点支援地方交付金」の中で新たに設けられた「食料品の物価高騰に対する特別加算」について、地方財政の視点から感じる課題をお伝えしたいと思います。

円安と物価高騰の関係

現現在の物価高騰の背景には、原材料価格の上昇に加えて、円安の影響があると考えられます。地方財政の現場でも、税収が持ち直している一方で、資材価格や委託費の上昇によって財政運営が厳しくなっている自治体が増えている印象です。

片山財務大臣が為替介入に言及したニュースもありましたが、為替や金利の動きは地方の財政事情とも無縁ではありません。今後の政策判断が注目されるところです。

ドル円は、157円後半から156円前半にまで戻していますが、長期金利は1.775%まで上昇しています。
経済財政諮問会議などの民間議員の人選なども高市政権の財政運営の今後を占う点で注目されるところです。

今回の給付金は何を目指しているのか

本題の「特別加算」による給付金ですが、国は国民一人あたり3,000円程度を念頭に置いているようです。施策の具体化は自治体に委ねられますが、たとえばおこめ券の配布などは、生活支援としての効果が限定的であることは否めません。

では、この給付金の目的はどこにあるのでしょうか。

物価高騰そのものを抑える効果は期待しにくく、どちらかというと国民生活への不安を和らげたり、家計をわずかに下支えすることに比重が置かれているように感じます。国民感情に寄り添うこと自体は大切ですが、政策目的が十分に共有されていない印象も残ります。

3000円給付の現場感

コロナ禍以降、私自身も同規模の給付事業に携わった経験があります。3,000円程度の給付では、「ありがたい」という声よりも、「これでは足りない」という声のほうが多く届きました。

また、振り込み型の給付では、入金に気づかれずそのまま生活費に吸収されてしまうケースもありました。おこめ券についても、現在の物価水準では5キロの購入にも届かず、「一時的な補助」という域を出ないのが実情だと感じます。

本当の意味での「責任ある財政」とは

生活必需品の価格が上昇する中で、家計の需要面を下支えする施策は確かに必要です。ただし、コロナ禍から続く「重点支援地方交付金」については、どの程度の効果があったのかの検証が十分とは言えません。

同じスキームを継続し、さらに「特別加算」という形で自治体に裁量を委ねることが本当に適切なのか。ここは一度立ち止まって考える段階に来ているように思います。

地方の本音

重点支援地方交付金は、財政力指数などを基に経済力の弱い自治体へ厚めに配分される仕組みです。一見すると公平性に配慮した制度ですが、交付額が大きい自治体ほど事業の立案・執行が追いつかず、十分に活かしきれていない例も見受けられます。

また、いま地方が強く懸念しているのは、来春から始まる学校給食費無償化の財源保障や、ガソリン税のいわゆる暫定税率廃止に伴う地方譲与税の減収など、将来にわたる安定財源に関わる問題です。

今回の3000円相当の給付を念頭に置いた「特別加算」は、地方から見ると「優先順位が少し違う」というのが率直なところだと思います。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


このnoteでは、地方財政の中の人で、地方自治体で長年に渡り財政運営に携わっている現役の管理職が、世の中のニュースについて、独自の視点で解説をしています。


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