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決めるのは誰なのか

母の命の終わりに近づいたとき、家族はふいに問いを突きつけられます。
続けるのか、やめるのか。その選択は、あまりにも重く、あまりにも静かです。
患者本人の願いを知っていても、それを家族だけで背負わせてよいのでしょうか。


家族の前に置かれる問い

病気が進み、これまでのように言葉を交わせなくなると、家族は深い迷いの中に置かれます。
無理は望まないと、たしかに患者本人は話していた。けれど、いざ選ぶ場面になると、その思い通りにすることが怖くなることがあります。自分の選択が、命の行き先を決めてしまうように感じるからです。

わかっていても、選べない

家族は冷たいから迷うのではありません。
大切に思っているからこそ、揺れます。苦しませたくない。
でも、失いたくもない。
患者本人の気持ちを大事にしたいのに、その通りにする勇気が出ない。
そんな気持ちの揺れは、どの家庭にも起こりうるものです。
情報だけでは、人は前に進めないことがあります。

本当に必要なのは支え

ここで必要なのは、急いで答えを出すことではありません。
大切なのは、その人が何を大事にして生きてきたのかを、周りが一緒にたどり直せることです。
長く生きることを望んでいたのか。
苦しさを減らしたかったのか。
家族に何を託したかったのか。
の前には、まず気持ちを整理できる支えが必要です。

支えがあると景色が変わる

家族の思いは、時間の中で少しずつ変わっていきます。
ただ命をつなぐことより、穏やかに過ごせることを大切にしたいと思えるようになることもあります。
その揺れを受け止める人がそばにいれば、家族は自分を責め続けずにすみます。苦しい判断だった記憶が、最後まで大切に向き合えた時間へと変わっていくこともあります。

これから育てたい力

命の選択に、ひとつの正解はありません。
けれど、本人の思いを受けとめること、家族の迷いを支えること、言葉にならない不安を整理することは、学びによって育てていけます。
こうした力を持つ人が増えれば、医療の場はもっとあたたかくなるはずです。誰かの最期が、ただ苦しいだけの記憶にならないように。
納得できる選択を支える力を、今こそ丁寧に育てていきたいと思います。

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