烏骨鶏のはなし
烏骨鶏という鶏がいる
絹糸のような白い羽毛に覆われ、
成鳥になってもひよこのような綿毛のままで、
紫がかったトサカを小さく頭に載せている。
足の指は普通の鶏より一本多い五本で、
脚にも羽毛が生えている。
ここまでなら、
「ちょっと変わったかわいい鶏」、
で話は終わる。
しかしこの鶏は、
皮膚から肉、内臓、骨に至るまで
すべてが黒い。
烏(からす)の骨の鶏、
と書いて烏骨鶏(うこっけい)。
その名の通り、見た目の愛らしさの内側に、
どこか底知れない異様さを秘めた鶏なのだ。
霊鳥であり薬鳥の烏骨鶏
中国では三千年の昔から霊鳥として扱われてきたという。
歴代王朝の皇帝に珍重され、明の時代までは王侯や貴族のみが口にすることを許された「薬鳥」だった。
不老不死の食材とされ、李時珍の「本草綱目」には婦人薬としての効能が特筆されている。
日本には江戸時代に渡来し、昭和十七年には天然記念物に指定された。マルコ・ポーロの「東方見聞録」にも、絹糸のような毛に包まれた黒い鶏として記録が残っている。ちなみにわたしは白い烏骨鶏を飼っている。日本でも中国でも羽毛は白くからだは黒い烏骨鶏も今はいる。

鶏と五つの徳
古来、中国では鶏に五つの徳があると説かれてきた。
「韓詩外伝」に記された文・武・勇・仁・信の五徳である。
頭のトサカは冠であり「文」、
足の蹴爪は武器であり「武」、
敵に向かって退かぬ姿は「勇」、
餌を見つければ仲間を呼ぶのは「仁」、
そして毎朝欠かさず時を告げるのは「信」。
鶏とはそもそも、徳の鳥なのだ。
わたしが飼っている烏骨鶏の雄は、まさにこの五徳を体現しているかのように見えるときがある。

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