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「すみません」の5つの意味。外国人が一番戸惑う日本語

日本語を覚え始めた頃、一番混乱した言葉があります。

「すみません」です。

最初に習ったときは「ごめんなさい」の意味だと思っていました。謝る言葉。それだけだと。でも実際に日本で暮らしてみると、全然そうじゃなかった。

僕が16年かけて気づいた「すみません」の使われ方は、少なくとも5つあります。

  • 一つ目、謝罪。これは教科書通り。「遅れてすみません」。

  • 二つ目、感謝。これが最初わからなかった。何かをしてもらったときに「すみません」と言う。ありがとう、じゃなくて、すみません。悪いことをしていないのに謝る。なぜ?と思いました。

  • 三つ目、呼びかけ。店で店員を呼ぶとき。「すみませーん」。これは謝ってない。ただ注意を引いているだけ。

  • 四つ目、依頼の前置き。「すみません、ちょっといいですか」。お願いする前のクッション。

  • 五つ目、すれ違うとき。人混みで肩がぶつかりそうなとき。「すみません」。これも謝罪に近いけど、もっと軽い。潤滑油みたいなもの。

同じ言葉が、場面によってこれだけ意味を変える。しかもネイティブは、どれをどの場面で使うか、いちいち考えていません。自動で切り替えている。

それともう一つ、僕がずっと混乱していたのが、
「すみません」と「ごめんなさい」の違いです。

日本に来て間もない頃、部活をやっていました。あるとき、先輩に何か注意されて、僕は「ごめんなさい」と繰り返していました。
謝るなら「ごめんなさい」が一番ちゃんとした謝り方だろう、と思っていたんです。謝罪の度合いとしては、これが正解だろうと。

でも、なんだか先輩の反応が微妙でした。そして言われたんです。
「そこは、ごめんなさいじゃなくて、すみません、な」と。

最初はピンときませんでした。
どっちも謝る言葉なのに、何が違うんだろう、と。

でも生活しているうちに、だんだんわかってきました。「ごめんなさい」は、意外とカジュアルで、しかもかなりプライベートな、近しい人に使う言葉なんです。家族とか、恋人とか、親しい友達とか。目上の人や、きちんとした場面では「すみません」の方が合う。

謝罪の「強さ」の問題じゃなくて、相手との「距離」の問題だった。これに気づいたときは、けっこう驚きました。ずっと、ごめんなさいの方が丁寧だと思い込んでいたので。

同じ「謝る」でも、相手との距離で言葉を変える。これも、教科書には載っていなかったことです。

僕がこの5つの意味と、「ごめんなさい」との使い分けを自然にできるようになるまで、たぶん何年もかかりました。教科書には「すみません=ごめんなさい」としか書いていない。でも実際の「すみません」は、日本社会の空気そのものを含んだ言葉だったんです。

今では、僕も考えずに使っています。感謝のときにも「すみません」が出てくる。最初はあんなに違和感があったのに。

外国人にとって一番戸惑う日本語だけど、使いこなせるようになると、一番「日本人っぽい」言葉かもしれません。


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