六花亭のサクサクパイ風のパイ生地を作りたい
先日、六花亭帯広本店で帯広方面の限定商品「サクサクパイ」(賞味期限は3時間!)を食べる機会があった。十数年振りに食べたけれど、変わりない美味しさである。特にコルネ状のパイ生地部分のギュッと詰まったサクサク感がいいと思う。


自宅でも食べたい
この食感を、どうにかして自宅で再現したい!
・・・とは言うものの、パイ生地を作ったことがないし、仮に上手に作れたとしても、1バッチ分のパイを食べ切れないだろう。とりあえず、まずはお手軽に冷凍パイシートを使って、焼き方次第でどこまでサクサクパイに近づけるのかを試すことにした。
焼き方の検討
手持ちのレシピ本やインターネット情報を参考に考えると、冷凍パイシートをサクサク食感に焼く手順は、大雑把にまとめるとこんな感じだと思う。
実際に焼く温度よりも高温でオーブンを予熱する
天板も予熱する
オーブンの下段を使う
焼く温度は、二~三段階にする
第一段階:予熱温度よりは低い高温で焼く(パイ生地が膨らむ段階)
第二段階:第一段階よりも低い温度で焼く(水蒸気を抜く段階)
第三段階:第二段階よりもさらに低い温度で焼く(乾燥段階)
他には、膨らみを抑えるために重石を載せるとか、冷凍パイシートをスパッと分割してきれいな断面にするとかが重要らしい。層が崩れないようにきれいに切断する点は、イングリッシュマフィンやスコーンと共通する要素だ。
とりあえず焼いてみる
ChatGPTに相談した結果、予熱は250℃に設定した。家庭用オーブンは、設定温度よりも20℃くらい低めの庫内温度になるので、高い温度のほうがいいとのことだ。本当だろうか?なお、コンベクションオーブンであれば、その配慮は要らないらしい。

予熱:250℃
①上:250℃, 25分
②中:220℃,9分+180℃, 15分(重石なし)
③下:220℃,9分+180℃, 15分(重石あり)

④ 焼成温度:230℃,9分+180℃,15分+160℃,5分(重石を均一に載せてプレス風)

① 250℃, 25分(コントロール)
最初から最後まで高温(250℃)で焼いた。
ー>意外と膨らまなかった。温度が高すぎると膨らみが悪いのだろうか?
② 220℃,9分+180℃, 15分(重石なし)
膨らみ過ぎて崩壊した。
ー>食感は、ものすごくパリパリだった。
③220℃,9分+180℃, 15分(重石あり)
パイ生地の上にアルミ箔を置いて、その上をタルトストーンで埋めた。
ー>重石が多すぎたせいか、層が癒着して、全体的に潰れた。

④ 230℃,9分+180℃,15分+160℃,5分(重石を均一に載せてプレス風)
重石の影響を確認するために、ケーキ型にタルトストーンを敷き詰めたものをパイ生地に載せてみた。
ー>クラッカー一歩手前のパイ皮ビスケットみたいになった。目指すものとベクトルが違うが、これはこれで美味しい。


⑤ 焼成温度:230℃,9分(軽い重石)+180℃,15分+160℃,5分
今度は、軽い重石として焼き網を載せてみた。また、水分蒸発(180℃)の段階で重石を外した。
ー> 一連の試作の中で一番いい感じだ。④のクラッカーのような状態ではなくなった。紙のような層が見えるし、癒着もかなり減ったと思う。

パイ生地(折りパイ)のよい焼き方は何だろう?
パイ生地は主にバター(乳脂肪)・小麦粉(グルテン)・水からなり、折り畳みによって形成された数十〜数百の層構造を持つ。
これらの成分はそれぞれ、融解・気化・凝固の温度域や速度が異なるため、生地内部で水分がどの温度帯で蒸気となり、いつグルテンが固定されるかによって、最終的なパイの厚みや層の開き方が決まると思われる。
これは、パン作りのときに勉強した、パンにおけるグルテン膜と発酵ガスの関係に力学的にはちょっと似ていると思う。ただ、折りパイでは発酵ではなく、水の相変化が発生するごく短い時間を制御する必要があるので、本質的な部分では違っている。
⑤番をベースにして、重石の調整、軽く伸ばす、蒸気を逃がす温度を調整する・・・などを工夫すれば、ある程度「サクサクパイ」に近づくような気がしてきた。
もう一度、帯広に行ってサクサクパイを食べて食感を確認したいけれど、札幌〜帯広は、高速道路を利用しても約3時間かかる。サクサクパイを食べに行くだけにしては、ちょっと遠い。。。

