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yamamoto15
湖の囁き
海外の湖は、光を宿したガラスのように静かだった。
修学旅行の一行は、笑いながら水に飛び込み、冷たい水を蹴ってはしゃいでいた。太陽は高く、風は柔らかい。楽しいはずの午後だった。
――その時、湖の向こう岸から異様なざわめきが聞こえた。
最初は風の音かと思った。だが次の瞬間、湖の水面が小さく揺れ、岸辺の木々の間から数百の影が現れた。
影は、原住民の姿をしていた。肌は闇に溶け、弓を握る手は確かな緊張を帯びていた。
「……え?」誰かが小さくつぶやく。声は風に飲まれ、誰も気づかない。
次の瞬間、弓矢が雨のように降り注いだ。
同級生の悲鳴が湖面に反射して、ひび割れたガラスのように空に散った。
腕に、肩に、頭に――矢が突き刺さる。
水に落ちた者がもがき、湖は赤く染まる。叫び声と水の音が混ざり合い、時間の感覚さえ溶けていく。
逃げようとしても、岸は遠く、空は重く、矢は止まらない。
そして気づく――助けは誰も来ない。
湖は静かに、しかし容赦なく、一行を飲み込んでいく。
最後に残ったのは、冷たい水の中で立ち尽くす自分だけだった。
湖面に映る空は、微笑んでいるようで、でも確かに冷たかった。
――湖の囁きが聞こえる。
「ここからは、誰も逃げられない」
その声が耳に残ったまま、現実の朝がやってきた。
