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マノスフィア(Manosphere)とは何か?Netflixの話題作『アドレセンス』が問いかけるもの

『よし、クソッタレども。私の気持ちはわかっただろう。
 いつも、どこでも、諸君のような素晴らしい男たちを率いて
 戦えたことを私は誇りに思っている。以上。』

(1944年6月5日 第3軍に対するG・S・パットン中将の演説の結句)

【 あれ… ワンショット?】

《アドレセンス冒頭シーン》
黒人の警察官がスマホで息子と会話している。
脇に1台のパトカーが止まっている。
電話をし終わると車に乗りこむ。
運転席には同僚の女性警官がハンドルを握っている。
無線で他の車両の準備状況を確認し出発。
路地を曲がる毎に警察車両が増えていく・・・
(あれ、なんだか“1917”の冒頭シーンっぽいな)

平和なうたた寝からカメラが引いていくとそこは…

そう、ワンカットで容疑者宅までのアプローチを見せている。
ドアを破って突入した後もカット割りなしのまま。
「いつまでワンカットで行くのか?」
「どこかで上手いことつないでないか?」
と思いながら観ていた。
このドラマのワンカット、一人の出演者だけを追ってない。
カメラは次々と登場してくる人物を追いかけていく。
こんなワンカット撮影は初めて見た。
特に『第2話』のラストシーンは
「どうやって撮ったぁ・・・?」
と唖然とさせられる映像が広がった。

【 ワンカット映画といえば・・・ 】

最近だとトム・メンデス監督の『1917  命をかけた伝令』
この映画は“疑似ワンカット撮影”
うまくつないでワンカット風に仕上げてた。

爆撃されている最中を走って走って走る

ワンカット撮影と言えば“アルフォンソ・キュアロン監督”
2013年の「ゼロ・グラビティ」もよかったですが
個人的な好みは2006年の「トゥモロー・ワールド」
この映画もワンカット風ではあったが迫力はすごかった。

冒頭のカフェが爆破されるシーンの長回し  実はワンカットじゃなかった

【 話題の“マノスフィア”って何か 】

『Manosphere』とは “男らしさ、女性蔑視、反フェミニズムを推進する
 ウェブサイト、ブログ、オンラインフォーラムなど、男性中心のコミュ
 ニティー”のことを指す言葉らしい。
このドラマは英国で実際に起きた事件に基づいて制作されている。
現代のネット上での男性中心的なコミュニティーの影響を受けた子ども
たちの姿を描き、人々が晒されているデジタル社会の闇を映し出している。
ある英国系の調査によると2025年現在、多くの若い男性は男性であること
が何を意味するのかについて混乱しており、その回答をインターネットに
求めている。それは助力を与える場合もあれば、逆に非常に危険で有害な
メッセージが数多く混在する空間だ。
日本で生まれ日本で育っていると、にわかには理解しがたい感覚ではある。
単なるジェンダーの問題とは異なり「暴力」に繋がる問題のようだ。
どうも米国で民主党が負けた背景に、このマノスフィア的なフェミニズム
への批判やジェンダーに関する文化的議論などがあるようだ。
特に過激化したフェミニズム批判などが見受けられており、マノスフィアは
男性至上主義的、また女性蔑視的なコミュニティと解釈されることも多い。
このような環境がネットの中で“子供”の社会に出来上がっている。
そして大人たちはその危険性にまだ気が付いていないのだ。

【 “ジェイミー”はあなたの息子かもしれない 】

第3話  ジェイミーと心理学者のインタビューシーン

ジェイミーを演じたオーウェン・クーパーは新人らしい。
第3話は女性心理学者とジェイミーの面接シーンで2人の対話が全てと
言ってもいい。その中でオーウェン・クーパーは、ジェイミーの内面の
平静、願望、懇願、葛藤、悲哀、敵対、威嚇などの激しい感情変化を
ワンカットで演じきっている。
すごいなと思う反面、観ていて正直「怖かった」。
『サイコパス』という言葉が脳裏に浮かんだ。
人間とは怖い存在なんだと改めて思いだした。
そんなジェイミーにも父と母、それに姉がいる。
それぞれ問題はあるのだろうが『いいひと』たちだ。
いいひとたちだから問題の深さ、深刻さが身に染みてくる。

ジェイミーは何を語るのか

【 回収されない個々のエピソード 】

ドラマや映画の面白さ、気持ちのよさの一つに
“伏線の回収”というのがある。
最後にそれまでの諸々のサブストーリーや事象が
一つに収束して「あぁ、そういうことだったのね!」
と納得させられ、胸のつかえが取れて腑に落ちる。
または、逆に「えっ、そういうことだったの?」
と予想と真逆の結末にやられた!と驚かされる。
この“アドレセンス”というドラマはジェイミーという
イングランド北部の公立中等学校に通う13歳の男の子が
早朝に自宅で逮捕されるシーンから始まる。
その家には父親と母親、それに4歳上の姉がいる。
暫くして逮捕容疑が「殺人」であることがわかる。
ジェイミーの通う公立中等学校には逮捕に来た黒人警察官の
息子も通っているが親子関係はあまり上手くいってない。
被害者は同じ学校の白人の女子生徒で黒人の親友がいる。
ジェイミーと同じネットグループのメンバーの男子生徒は
被害者の親友から犯人と決めつけられて暴行される。
ジェイミーの家族を誹謗中傷する近隣の若者。
無気力な担任教師、正確な判断をしようと心がける心理学者。
人物が多数登場するがそれぞれのエピソードは回収されない。
関係性もあやふやなままだ。
それぞれに人生があり被害者の女子生徒を除いて“そのあと”も
各々の人生は続いている。
なぜそうなったのか、今どうなっているのか、
これからどうなるのか・・・
「あとは観たあなたの考えにまかせるよ」
とでも言っているようだ。
そうだよ、現実の世の中はこうなんだ。
それぞれのところで続いていくし、今も続いている…

ADOLESCENCE : 思春期

【 おまけ:息子のX 】

『Netflix「アドレセンス」曲芸的な撮影技術の誇示ではなく、
 目の前のお芝居に対して最も誠実な選択としてチョイスされた
 「1カット撮影」という方法が強烈な混沌と、その先にある希望を
 掴もうともがく人間を活写する今年、いや近年を代表する強烈な
 作品となりました。同じ業界の人間として、この作品に関わった
 全スタッフキャストに最大の賛辞と尊敬を。必見です。』


肉野菜炒め 塩味  もやしの代わりに玉ねぎを使いました



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