1万年経っても変わらないものがある 『 赤い糸 輪廻のひみつ 』
【 OttO Movie Theater 】
埼玉県の「表玄関」であるJR大宮駅。
しかし最近では新幹線の乗り換えで降車しても
駅の改札口を出て行くことはまずない。
駅外に出るとしたら浦和かさいたま新都心だ。
今日は観たかった映画が掛かるミニシアターに
行くため、大宮駅で下車した。
駅周辺の喧騒から少しずつ離れていく7分間の歩み。
その先に目的の複合施設はある。


【 つながった「赤い糸」】
柯景騰 英語名Giddens Koは小説家、および映画監督として評価が高いと
聞いていたが作品を観たことはなかった。「赤い糸」は先月息子から推薦
されて、やはり観ておこうと思った台湾映画だ。
東京での上映は終了していたので近郊での上映予定を調べてみると
10月下旬に大宮で4日間だけ上映される予定があることが分かった。
そこはキャパ47席で1日1回の上映。週末の予約枠は既に完売。
最終月曜日の予約が何とか取れた。「赤い糸」はつながった。
【「赤い糸 “輪廻のひみつ”」を観た 】
この映画を観るにあたり次の2つのことを知っておくと
よりこの映画の世界に早く没入できる。
まずこの映画に登場する二つの舞台、「人間界」と「冥界」だ。
人間界は現世。そこで雷に打たれて“死んだ”主人公考綸は
結婚を誓っていた小咪を残して冥界に落ちるという設定。
もう一つは映画の根底にある二つの思想・宗教観。
「道教的月下老人」思想と「仏教的輪廻転生」観だ。
月下老人=月老は縁結びの神職で “赤い糸” を結ぶ行為者だ。
死者は冥界で現世の行いを評価され、その結果で転生するという輪廻観。
この二つの前提を土台にしてこの物語は進行していく。
記憶を失った考綸は冥界で修業を積んで月老になり徳を積もうとする。
そうしないと転生で虫や動物にされてしまう。
ただし月老になるには男女ペアになる必要がある。
考綸は不慮の事故で冥界に来た若い女性のピンキーとペアを組む
ことになる。月老になった二人は人間界に戻り、縁結びを開始。
そこに飼っていた犬の阿魯と小咪が現れる。徐々に記憶が戻る考綸。
考綸のことが気になって仕方がないピンキー。微妙な三角関係。
これがメインストリームのストーリーだがもう一つの伏線がある。
それは500年の恨みを抱いた「鬼頭成」の存在だ。
500年前、盗賊の頭だったが部下に裏切られ謀殺されて冥界に落ちた。
そこで閻魔に冥界の門番「牛頭」を命じられるが、恨みを捨てきれず
禁制を破って人間界を行き来し、閻魔に冥界の井戸に落とされてしまう。
しかしそこから這い上がった鬼頭成は、人間界で転生したかつての仲間に
復讐を始める。その一人が鬼頭成の妹分で小咪の前世だった。
冥界に落ちた考綸と現世の小咪の仲は?ピンキーはどうする?
もう一方で小咪に迫る鬼頭成の魔の手。小咪の命は守られるのか?
簡単にストーリーを書こうと思ったが結構字数を擁してしまう。
とはいえ日本人には理解しやすい世界観だと思う。
中華系の世界観と仏教の世界観がベースになっているので
そんなに違和感は感じられない。
逆に一神教の世界の人たちには分かりにくいだろうなと思う。
加えて監督の日本のサブカルに対するオマージュが溢れている。
冥界からエレベーターで上がった先は日本の“ゲーセン”、“桜木花道”やら、
“ベビーメタル”に日本の典型的な制服JK、呪怨まんまの“伽椰子”と“俊雄”、
典型的なオタク男子にジョジョ立ちする月老とこれでもかと満載。

【 雑感 / 鑑賞しながら頭をよぎった事をメモ程度に 】
脚本が面白い。よくできている。もっと取っ散らかるかと思った。
最初「月老」なんて「月餅」の仲間か?と思ってた。
冒頭シーンで一瞬「戦国自衛隊(1979年版)」のタイムスリップシーンが
頭をよぎった。
冥界からエレベーターで上がって扉が開くと、そこは日本のゲーセンと
いうのはかなり愉快!
この映画では犬は救世主、子供はピエロ役か
ハッピーとアンハッピーの中間的なエンディングだが、「ハッピー」とは
いったい何か?という問いを観客に問いかけている気がする。
主人公がちょっと泣きすぎ。
(恨み・憎しみ・絶望・諦め) < (感謝・尊重) なんだろうな。
ベースは輪廻転生、一寸の虫にも五分の魂
蝉の件が、昨夜の「べらぼう」の歌麿を思い出した。
結構切ない映画ではあるが、終わりじゃない。輪廻転生が救い。
「次の世でもあなたに会いたい」と思えるか、思ってもらえるか
【「赤い糸」の伝説 】
ある若者(韋固)が、まだ結婚していなかったため、
「自分と結ばれる運命の女性は誰か」を知りたいと、
宿屋で出会った月下老人という白髪の老人に尋ねた。
すると月下老人は、
「天帝の帳簿にすでに定めがある。
あなたの運命の妻は、今あの幼い少女だ。」
と答え、袋の中から赤い糸(紅線)を取り出した。
そして続けてこう言った。
「この赤い糸は、男女が結ばれる運命を示すもので、
どんなに遠く離れていても、たとえ敵同士になっても、
糸が切れることはない。」
若者はそんな話を信じることはできず、
怒りに任せてその少女を殺そうとし、傷つけてしまった。
それから年月が経ち、彼は見初めた女性と結婚した。
その相手の女性の眉の下には、見覚えのある傷跡があった。
あのとき殺そうとした少女が運命の妻だったのだ。

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