ほのかちゃんに ほのかに恋して♥ー2ー
前回のお話⬇
「君、なんのフレグランス付けてるの?」
(ほ、ほのかちゃんが、僕に話し掛けてくれた!)
僕は、高校2年生。毎朝、登校途中の川の土手ですれ違う、別の学校のとても良い香りのする女の子に恋をしていた。
彼女は、近くの女子高に通っているらしい髪がロングストレートの自転車登校の女の子で、じつは僕は名前も歳も知らなかった。
ただ、とても良い香りがすれ違うときにするので、自分で勝手に「ほのかちゃん」と、名前をつけて、毎朝すれ違うのを楽しみにしていたのだった。
或る日 僕はそのほのかちゃんの真似をして、フレグランスをつけて登校したら、なんと!その「ほのかちゃん」に呼び止められた。こんなラッキーなことがあるのだろうか?
「君、いつもここで会うわね?その香り、勉強になるから教えて?何ていうフレグランス?」
「あ、あ、……」
僕は、あたふたしていたが、ほのかちゃんはいきなりで悪かったかな?と、思ったらしい表情をして小首を傾げた。
「あ、ごめんね、私はアロマセラピストの資格狙ってるの。明日もここ通るから、よかったら教えてくれるかな?不躾でごめんね……」
と、言ってきびすを返すと、さーっと自転車を漕いで行った。そして、一旦、また自転車を停めると、
「あ、ごめん……!私、小此木(おこのぎ)ほのか!冨永女子高の2年生よ!」
と、言い放ってニッコリ笑い、颯爽と自転車を漕いで去っていった。
(あ、……)
僕は、呆気にとられる。
(ほ、ほんとに『ほのかちゃん』て名前だったんだ……)
この偶然にびっくりし、呆けていると、道をゆく冨永女子高の他の生徒やうちの男子校の男子が注目し、こちらを覗うようにくすくす笑っている。
僕は、さっきまでの幸運と恥ずかしさに少し顔をあからめて、
(今日、家へ帰ったら、姉さんのフレグランスの名前調べなきゃ。それで仲良くなる会話の糸口になれれば、……すっごいチャンス!!)
と、心のなかで密かに小躍りした。
僕は、走り出した。俯いていたが、顔は恥ずかしいことにニヤニヤしていた。
つづく
©2023.6.28.山田えみこ
