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モータルコンバット・ネクストラウンドの感想 タイトルが出るまで

前置き

■ はじめに

 モータルコンバット(2021)の時は長めの感想文を書いたんですが、思えばあれは「モータルコンバットの話をできる友人が周りにいなかったから」だったと思います。今はゲームの最新作『Mortal kombat 1』もまだプレイできていなくて(PS5ほしい)、映画の感想を言い合えるフレンドシップが出来たこともあり、今回は長文感想は書かないかな、と思っていました。
 とはいえ、何も書かないのも寂しいので、とりあえず、友人(原作未プレイ/前作と95年版視聴済み)に吹き込んだ元ネタ設定とか小ネタ+いつも喋っているような感想をちょっと纏める感じで書いてみようと思いました。
ネタバレありです。

 追記:書いてたらアバンタイトルの感想だけでめちゃくちゃ長くなってしまったので一回投稿します。続き書くかどうかはわからないです。

■ 友人の感想

 友人の感想は「ジョニー・ケイジはサングラスで90年代アクションスターで決め台詞も「ショータイム!」なので、ハリウッドの柴田恭兵だと思った」というものでした。『あぶない刑事(でか)』ならぬ『あぶないケイジ』だった。

■ そもそもモータルコンバットって何だっけ?

 この宇宙には、独立した複数の世界=レルムがあります。特に重要なのは、アースレルム(地球界/人間界と訳されることもある)、アウトワールド(魔界)、ネザーレルム(冥界/死者の世界)、エデニア(魔法の世界)、カオスレルム(混沌の世界)、オーダーレルム(セイドー/法と秩序の世界)の6つ。中でもアウトワールドは、後述の理由で他のレルムを侵略します。
 モータルコンバット(2021)では、敵側の本拠地としてアウトワールド(オーストラリアの炭鉱みたいなところ)、スコーピオンが囚われている地獄≒冥界(ネザーレルム)が描かれましたが、物語の中心は人間界でした。今作ではエデニアが登場し、さらにネザーレルムへと展開していきます。

 なぜレルム間で侵略が起きているか?というと、
・昔々、「One Being」という、全ての根源となる超強いヤツが居た
・古代の神々(エルダーゴッド)は「One Being」の力を複数のレルムに分解して力を弱め、封印した
・バラバラに封印されたOne Beingは、一つに戻るために、魔界を使ってほかのレルムを侵略。すべてのレルムを統合しようとしているという設定があるんですが、あくまで原作の話だし、そこまで言及されることも稀です。とりあえず「魔界の皇帝シャオ・カーンは侵略が大好きだから」という理解で大丈夫だと思います。One Beingが何かは、正直私もよく解っていません。
 で、無尽蔵な侵略≒One Beingの復活を止めるため、エルダーゴッドが「相手を支配するには、各レルムの代表が集まって戦うトーナメントを開催し、10回連続で勝たなければならない」というルールを設定しました。これが「モータルコンバット(殺戮の宴)」です。

■ エルダーゴッドはなぜ問題を放置するのか

 エルダーゴッドの目的は、あくまで「レルム間のバランスを保つこと」。神々は大会に直接手を出せません。エルダーゴッドは強すぎて、手を出すと一気にバランスが崩れてしまうのです(前作でもライデンが「神は手出しできない」と発言していました)。その上、初期に作ったルールに穴が多く、悪用されまくり。これがいけない。いろいろ理屈をつけて無茶な侵略をしてきたり、場外乱闘が始まったり、モータルコンバットが開催されたりされなかったりします。
 ただ、エルダーゴッドも事態を完全に放置しているわけではありません。あんまり悪質なルール違反をしたり、レルム間のバランスを大きく崩す行動をとったヤツは、消滅させたり、ペタンコにしてパタパタ畳んだりします。
 しかし、現場から相談しにいっても「余計なことをするとバランスが……」などと言って全然動かず、手遅れに近い段階になってからやっと事後対応するタイプ。以前には、完全にレルム間のバランスが崩れ、エルダーゴッド(と、その上位存在であるタイタン)によって、全レルムがリセットされています(『MK Armageddon』、『MK 11』)。
 システムを作ったらそれで安心せず、現場できちんとルールが守られているかどうかを確認し、現状に合わせて定期的に改修するなど、最後まで管理をしましょう。

■ ルール解らなくても大丈夫

 『モータルコンバットNR』では、世界観や設定はそんなに重要ではありません。個々のキャラクターによる「自身の目的」や「個人の葛藤」や「役割の発見」といった、個人のドラマに物語の重心があるからです。それどころか「魔界に支配された場合、何が大変なのか」がほぼ語られないので、観客としても地球界の命運自体が重大とは感じられません。というか、モータルコンバットという大会自体がマクガフィンです。だからルールや理屈がよく解らなくても大丈夫。何なら映画の中で「(モータルコンバットは)関係ない!」って断言しちゃう人が出てくるからな。それはそれでどうなんだ。
 大会の結果どうなるのか、ルールがどうなってるのかがよく解らなくても、キタナが立ち上がり、ジョニーがサングラスをかけることに感動できる。そこが本当に上手いなと思いました。

 設定とかルールとか気にせず、「気に入ったキャラを見つけて、その人が勝ち進むかどうか応援する」という見方が、最高に臨場感あって楽しめると思います。とにかく凄い人たちが、凄い闘いを繰り広げる、凄いトーナメントを観戦しに行く感じ。
 私は初回にこの見方をした結果、一番応援してたキャラが途中で脱落し、後半茫然となり、二週間落ち込みました。

本編の感想

■ 会社ロゴ

 まずNEW LINE CINEMA他、製作配給会社のロゴの出方。前作では「炎をバックに飛んできたロゴが凍り付く」という演出で「スコーピオンとサブゼロの因縁」というテーマを暗示していました。一方、今回はアーケードゲームの『モータルコンバットⅡ』を、背景とロゴのフォントまで含めて完全再現。「今回は”モータルコンバット”をやりますよ!」という意気込みを感じました。

↑ アーケード版MKⅡのデモ画面~オープニングロゴ

 しかしこのフォントで「C」があるの違和感あるな。このロゴだと「K」なので……。まあ、この「C→K」のルールですが、別にゲーム内で徹底されているわけではなくて。初期作品では「KONTINUE」とか「KOIN」って表記もありましたが、そもそもジョニー・ケイジは「CAGE」だったし。なんとなくKにした方がカッコイイ時だけKになってた印象です。「NEW LINE KINEMA」と「ATOMIK MONSTER」だったらもっとカッコイイのにな!と思っただけです。

■ エデニア

 最初の舞台になるのは20年前のエデニア。シリーズを通して、地球界より以前に魔界に侵略され、荒廃したレルムです。名前からしてもエデン(Eden)が元なので、「失われた楽園」という意味合いで登場します。住んでいる種族(エデニアン/エデニア人)含め地球界に近い存在ですが、科学の代わりに魔法が発達しています。
 以前の作品でも、廃墟となったエデニアが登場したり、回想やキャラ別エンディングで出たりはしますが、ここまでしっかりロケーションが描かれたのは初めてかもしれません。イメージカラーは、緑で描かれることが多いです。『モータルコンバットレガシー』の「キタナとミレーナ」でも、魔界による侵略以前の様子が、少しだけ描かれます。が、エデニアで開催されたモータルコンバットの様子が映像化されたのは初めてではないでしょうか。

 今回は種田陽平さんが美術監督を務め、4つの異なる世界を魅力的に描き出してくれていますが、エデニアは過去作での設定がほとんどないので、「ほぼゼロから自由に世界を作ることができた」と語っていました。

↑種田さん関係の記事では、デザイン画や設定が一番たくさん紹介されていた。

■ キタナ

 キタナは原作ゲーム『Mortal KombatⅡ』から登場する戦士で、鉄扇を飛ばし、空中を浮遊する戦法を得意とします。名前の由来は没になったキャラクター、キツネに「刀」を足したもの。
 魔界によるエデニア侵攻の後、シャオ・カーンの養子として迎えられるのは映画と同じです。ただ、過去作では自分の本当の出自を知らず、シャオの忠実な娘として出てくることが多いです。大会の中でリュウ・カンとの交流を経て、真実を知り、父と古郷の仇であるシャオに立ち向かうというストーリーが基本。原作含め、リュウとキタナは物語の中心的なカップルなのですが、今回の映画ではお互いに別に重要なものがあるようで、そのあたりも映画独自の展開で面白いです。
 出自を知りつつ地球界に陰ながら協力しているという立ち位置は、映画『モータル・コンバット(1995)』に近いと思いました。
 なお、エデニア人は長寿で、キタナもゲーム初登場時は1万歳という設定があります。しかし、今回は「20年後」というテロップからも、人間と同じように年齢を重ねているようですね(子供時代で9980歳ぐらいだった可能性は否定しませんが)。

■ 余談・ミレーナとの関係

 今回の映画では特に言及されませんでしたが、映画『モータルコンバット(2021)』で登場したミレーナは、原作ではキタナの遺伝子と、今作で登場するバラカの一族:タルカタンの遺伝子を組み合わせたクローンという設定があります。過去作で、二人の関係性はたびたび語りなおされており、姉妹として育てられたが実はクローンだったと知りショックを受ける展開、キタナもクローンだと知っていて「勝手にクローンを作られた(しかもシャン・ツンに)」という事で嫌悪感を抱く展開、特に言及されずミレーナを見たソニアが「キタナに似ている!」と言って泥レスを始める時があります。

■ ジェロッド王

 キタナの父であり、エデニアの王。長きにわたり、エデニアの平和の象徴でしたが、魔界による侵略の際に殺害されています。過去作では、大体暗殺か処刑だったので、モータルコンバットの試合で戦って最期を迎えたのは初めてだったと思う。登場時間こそ少ないものの、強さと気品を兼ね備え、臣民に慕われ、キタナに生き方を示す。とても魅力的なジェロッド王だったと思います。
 過去作でのジェロッド王の殺害は、オーソドックスにはシャオの手によるものとされていますが、MK11では3人が「自分が殺した」と名乗っており、ファンの間でちょっとした議論になりました。なお、レガシーでは例外的に「侵略時は影武者と入れ替わって逃げ延びており、後に洗脳されたキタナに追い詰められ、ミレーナの手で殺害される」という悲しすぎる最後を遂げています。
 ただ、ジェロッドの魂は死後も消えておらず、死者の魂の集合体であるエルマックというキャラクターの中に存在しています。MK9のエンディングでは、エルマックの中にある魂が暴走したときに、ジェロッド王が持ち前の統治力で全部の魂を従わせて復活するという離れ業を見せてくれました。

■ シンデル

キタナの母であるシンデルは、魔界がエデニアを侵略した際にシャオ・カーンの妻となりました。作品によっては、シャオに洗脳されていたり、自ら命を絶っていたり、実は悪女で最初からシャオに通じていたりします。原作ゲームのMK3やMK9、旧劇場版2では、故人であったシンデルをシャオが地球界に転生させ、「妻を取り戻す」という名目で地球を支配しようとします(※旧劇場版2は、見ても意味わからんと思います)。
 アバンタイトルではジェロッドとキタナを見守る存在ながら、試合後は近衛兵の刀をもって自ら闘います。その姿は、後の「(トーナメントに参加したのは)最高の戦士だからだ」という言葉に説得力を持たせていました。この時のシャオ、ちょっとビビってるように見えますね。その印象的故に、本戦での姿や、後に技を使えないよう拘束具までつけられた姿は、より痛々しく映りました。今回のシンデルは、自ら命を絶ち、クアンチーによる蘇生で洗脳されているように見えます。

■ ネックレス(知らないアイテム)

 ジェロッド王がキタナにライデンの加護を受けたネックレスを渡しますが、これはマジで知らない。一応、原作ゲームでも「エデニアのネックレス」というアイテムがあるけど、これはエデニアの住人が一般的に持ってるものだし……。これについては知ってたら誰か教えてください。
 とりあえずこれで瞬間移動できるなら、前作でリュウに渡しておけばチャンピオン探しはずっと楽だったのでは?という気がしないでもない。中に稲妻が走っていて雷電の力を感じさせると同時に、ブルーでキタナのイメージカラーになっているのが素晴らしいです。こういうのグッズにしてほしい。

■ エデニアの玉座

 のちにシャオが座ることになる玉座ですが、このシーンでの玉座は誰も座っておらず、ジェロッド王がキタナの視線の高さに合わせているのが印象的です。シャオとキタナの対峙シーンでは、シャオの方が高い位置にいて、キタナを見下ろしている構図が多いので。圧制で家族さえも支配しようとしたシャオに対して、相手の視点に合わせるジェロッド王という、父として、王としての素質の違いを感じさせるシーンでした。

■ 魔界(アウトワールド)の余談

 映画では言及されていませんでしたが、魔界はエデニア以外にも複数のレルムを侵略・統合しています。前作で登場したレプティリアン・サイゾスは、もともとザテラという世界に住むソーリアン族でした。ニタラはヴァエテルヌスという世界に住んでいた吸血鬼一族です。エデニア侵攻が20年前とすると、それより前には統合されていたのかもしれません。(エデニア侵略から休まずに半年ごとにモータルコンバットを開催していたのかもしれませんが)。

■ シャオ・カーン

 シャオ・カーンは、MK2から登場した魔界の皇帝。前作のシャン・ツンの直接の上司として登場し、その後もシリーズを代表するボスキャラとして君臨します。
 実はもともと魔界を支配していたのはオナガという龍族の王でしたが、シャオによって謀殺されています。前作ではライデンの寺院で、半透明の壁画にその様子が描かれていました。また、リュウ・コールとカバル・ミレーナが闘うステージでも背景に皇帝の像が立っていました。前作と今作では兜や防具のデザインが異なりますが、おそらく前作のほうが過去のシャオの姿なのでしょう。

■ ジェロッドVSシャオ・カーン

 エデニア人がジェロッドをたたえるポーズ、これも初めて見ました。今回のオリジナル設定でしょうか?もし元ネタ知ってたら教えて下さい。
 ポーズ自体は「誇り高きエデニアの民は跪かない」という象徴になっていて、シャオの「死にたくなければ跪け」という支配の態度との対比を体の動きで見せてくれています。良い映像表現だと思いました。

・登場
 素顔を光に晒しているジェロッド王と、素顔を仮面で隠して逆光とともに現れるシャオ。
「No one bow to you!(誰もお前には頭を下げない)」
ジェロッド王のこのセリフは、原作でのシャオ・カーンの名台詞「Bow to me!」(1995年の旧劇場版ラストでも発する)を受けてのものでしょう。今回、シャオはあんまり原作セリフを言わない代わりに、周囲のキャラが近いセリフを言うのが、面白いアレンジだと思いました。個人手には、この「代表的なセリフを言わせてもらえない」ことも含めて、個人的には、シャオは物語世界での異分子というか、「受け入れられていない存在」を感じています。

・ショルダーチャージ
 シャオが緑の光をまとって突進する「ショルダーチャージ」は、原作でも出てくる必殺技。ノーモーションでの発生と最大クラスの火力を誇り、「ショルダーチャージ3回連続で食らって死んだ」ということがあります。見ていて嫌な汗が出るぜ。

・ジェロッド王の像
 そのショルダーチャージでジェロッド王の像が破壊されますが、原作ゲームでも首のないジェロッド王の像が出てくるシーンがあり、戦いの中で破壊されるのはその表現かなと思いました。

・エデニアのパイ
 エデニアではパイが名物という設定があり、ゲーム中にもアイテムとして登場したりします。今回はジェロッド王がシャオのハンマーに飛び乗るシーンで、左側にパイ焼き工房が見えます。あの血みどろの死闘、どうやらほんのり甘い香りに包まれていたようですね。

 ジェロッド王もシャオの鎧の空いている部分を的確に攻撃し、着実にダメージを与えていくものの……。圧倒的な暴力によって、無残な最期を迎えます。シンデルが「目を瞑って!」と抱き寄せるけど、しっかり目を見開いて見届ける幼いキタナ……。その意志の強さを伝えてくるシーンでした。
 今回、シャオがハンマーの柄で突き刺す攻撃が多いですが、ゲームでは突き刺すときは槍を使うイメージだったので、ちょっとビックリしました。あんなでっかいハンマーの柄で人を指すのって、重心が後ろに偏るからすごい大変だと思うんだよね。今作でシャオを演じたマーティン・フォード氏の、説得力のある筋肉があるからこそ見せられる技だと思います。

▫️ 試合後からタイトルまで

 シンデルによる反撃が失敗し、すべてのエデニア人が跪く中で静かに父に向かって歩くキタナ。
 このシーンは光と色の演出が本当に秀逸で、
・魔界が勝つと同時に日食が起き、世界が赤(魔界の色)に染まる
・赤く染まった世界に反抗するように、青く輝くキタナの姿
・シンデルがキタナのほうを向くと、シンデルの顔に光が差す
・キタナがジェロッド王の亡骸を見るときは影が差す
・ジェロッド王の亡骸から青いリボンを抜きとる
・立ち上がり、前を向きなおす
・その光を遮るシャオ・カーン
・リボンを紙に結ぶと顔に光がさす
・そしてタイトル

という一連の流れが、何度見て唸ってしまいます。
 タイトルを挟んで、前作での「妻子をビ・ハンの襲撃から救えず、殺されたハンゾウ。しかし白井流の血統は現在へと続いていた」と、今作の「シャオとの対戦で、父を目の前で殺されたキタナ。20年後、彼女は立派な戦士に育っていた」を対比させているのも見事でした。

そんなに長く書く予定なかったんですが、噛みしめてたら長くなりすぎたので、一旦ここで切ります。続きは書けたら書きます。

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