鏡の前の私を、香りがずっと後押ししてくれていた
世の中には、数多の香り、匂いが充満している。
花の香り
焼きたてのパンの匂い
雨上がりの土の匂い
誰かとすれ違ったときに、ふっと残る香水の香り
あなたの好きな香りはなに?
聞いておきながらなんだが、
私には、これと言って「この香りが好き!」というものがあるわけではない。
香水に詳しいわけでもないし、アロマを焚く習慣があるわけでもない。
だから私はずっと、自分はそれほど「香り」に関心のある人間ではないと思っていた。
ところが——
森江帆乃香さんの『香りが潜在意識を解き放つ』を読んで、その思い込みがひっくり返った。
「香りは、本当の自分につながる扉を開くツール」
そして、
「神との交信に香りを使う」
この言葉を目にした瞬間、
「あ……」
と、何かがつながった。
私は、お寺に生まれ、お寺で育ち、お寺に嫁いだ。
考えてみれば、私の人生には、生まれたときからずっと香りがあったのだ。
朝のお勤め
法要
静かな本堂
そこにはいつも、ゆらゆらと煙を立ち上らせるお線香があった。
白檀、沈香、伽羅…
名前さえ知らなかった幼い頃から、その香りは当たり前のように私のそばにあり、知らず知らずのうちに、身体の奥深くまで染み込んでいたに違いない。
そしてもうひとつ、
幼い頃の私が、大好きだったものがある。
それは…鏡
鏡の前でピンク・レディーになり、聖子ちゃんになり、明菜ちゃんになり、静香ちゃんになった。
髪を整え、表情をつくり、ポーズを決める。
鏡に映していたのは、そのときの私というより、
「こんな私になりたい」
という、少し先の未来の自分だった。
そして不思議なことに、私はそうやって鏡の中に描いた自分に、少しずつ近づいてきたように思う。
それは今も変わらない。
私は鏡を見るとき、ただ今の顔を確認しているわけではない。
これからどんな自分でいたいのか。
どんな表情で生きたいのか。
少し先を歩く自分を、鏡の中に先に置いている。
そして、この本に出会い気づいた。
私が鏡の前で未来の自分を描いていたとき——
そこにはいつも「香り」があったのだ、と。
お線香の香りを纏いながら、私は鏡の前で「なりたい自分」を思い描いていたのだ。
香りが潜在意識の扉をそっと開き、
鏡がその向こう側にいる未来の私を見せてくれる。
私は幼い頃から、知らず知らずのうちにそんなことをしていたのかもしれない。
それなら、私が「こうなりたい」と思った自分に近づいてこられたのも、ただの偶然ではなかったのだろう…
白檀
沈香
伽羅
乳香
古くから祈りの場で使われ、人が目に見えないものとつながるために焚かれてきた香り。
その香り中で育ち、私は鏡の中に未来を描いていた。
「香りと鏡」
別々のものだと思っていた「香り」と「鏡」が、この本によって一本の線につながったその瞬間、鳥肌が立った。
もしかすると私は、ずっと昔から未来の自分と会話していたのかもしれない。
香りを道しるべにして。
鏡を扉にして。
「好きな香りなんて、特にない」
そう思っていた私。
でも本当は、私の人生そのものが、ずっと香りに包まれていたのだ。
そして今も、香りが開けてくれるその扉の向こうには、まだ出会っていない私が立っている。
さあ今日は、鏡の向こうにどんな自分を映そうか!
休みがちだったnote投稿…
背中を押してくれたのは、耳ビジの下間都代子さんと今週ご出演の末吉宏臣さん!
ありがとうございます!
