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review is a diary:Sullivan Fortner Trio - Southern Nights(7,900字)

ここ最近はずっとこれを繰り返し聴いていた。

セシル・マクロリン・サルヴァントのパートナーであり、僕の記事でよく名前が出る現代最重要ピアニストのサリヴァン・フォートナーの新作だ。

9小節の変則的な自作曲「9 Bar Tune」以外は全てカヴァー。

サリヴァンの地元ニューオーリンズのレジェンドのアラン・トゥーサン「Southern Nights」から始まり、ナット・キング・コールなどにも演奏されているキューバの名曲「Tres Palabras」オスカー・ピーターソンフィニアス・ニューボーンJRなどの名ピアニストが取り上げてきたクリフォード・ブラウン作曲の「Daahoud」ウディー・ショウの名曲「Organ Glinder」など実にマニアックな曲が並んでいる。いわゆるスタンダードは「I Love You」くらいではなかろうか。

90年代に頭角を現したピアニストのドナルド・ブラウンがモンクに捧げた「Waltz For Monk」はジェイムズ・ウィリアムスをはじめ、様々なピアニストによってカヴァーされている隠れた名曲。

スパイク・リーの父親としても知られるベーシストのビル・リーが書いた「Again Never」はスパイク・リー映画『Mo Better Blues』で演奏された曲だが、これはニューオーリンズのレジェンド・サックス奏者ドナルド・ハリソンがカヴァーしていたりする。

「Discovery」はビル・リーの妹Consuela Leeのオリジナル。彼女はレアグルーヴ系でお馴染みのストラタ・イースト・レーベルがリリースしたスピリチュアルジャズの人気盤The Descendants Of Mike And Phoebe『A Spirit Speaks』で演奏していたピアニストで作曲家。マックス・ローチなどに曲を提供していたようだ。オリジナル曲を聞きたかったが、現在日本では聴く手段はなさそうだ。

という感じで、ジャズマニアにはたまらないめちゃくちゃディープな選曲でこれだけでもすでに楽しい。そして、これをピーター・ワシントン&マーカス・ギルモアのリズムセクションでやってるだけでもたまらない。

とはいえ、ジャズをあまり聴かない人にとっては「普通のジャズ」に聴こえるかもしれない。ただジャズをかなり聴いている人にはこの新しさには驚くはずだ。僕はサリヴァンの音楽はちょうど書いたばかりのサマラ・ジョイの新しさに近いと思っている。

サリヴァン・フォートナーの演奏はめちゃくちゃ伝統的だ。パッと聴くとマルグリュー・ミラーあたりの延長にあるスタイルだなって印象がある。1950-1970年代のジャズをベースにしていて、そこにビバップ以前の戦前のストライドピアノなどのスタイルも取り入れている。なので、基本的にはオールドスクールなジャズに聴こえて当然だと思う。例えば、サリヴァンからロイ・ハーグローヴのバンドのピアニストの座を引き継いだ海野雅威はこんなことを言っていた。

海野雅威:サリヴァン・フォートナーとはストライドピアノの頃のアート・テイタムの話で毎回盛り上がったりしました。「フレッチャー・ヘンダーソンのここのフレーズを、アート・テイタムが取っているよね」とか二人で研究したり。彼はマニアなんですよ。

ーーサリヴァンの演奏にもストライドっぽい感じがありますよね。

海野雅威:サリヴァンとは「バド・パウエル以降に失われているもの」の話もよくしましたね。サリヴァンはNYで出会った仲間の中でも特に飛び抜けて天才肌でしたね。

https://rollingstonejapan.com/articles/detail/39730/

ジャズの歴史もしくはジャズピアノの歴史のマニア、とも言えるだろう。

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