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interview Moto Fukushima(House of Waters) ー USの音楽シーンでサバイブすることと、NYの南米ジャズ・コミュニティー(12,000字)

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スナーキー・パピーマイケル・リーグが運営するレーベルのGROUND UP  MUSICからHouse of Watersというバンドがデビューしていた。ヨーロッパの弦楽器ダルシマーを配したトリオという不思議な編成だが、Groundupが実力があるライブバンドをリリースすることをレーベルのコンセプトとして掲げているだけあって、その内容は素晴らしいものだった。

その動画を見ているとアジア人ベーシストがいることに気付いた。名前はMoto Fukushima

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さっそくNYのジャズミュージシャンに確認したら日本人でバークリー卒業だとわかった。と思っていたら、2017年の03月に一時帰国して、日本で小川慶太と西口明宏とのトリオでライブをやるという情報も見た。さっそくコンタクトをとって取材を申し込んだ。で、2人で飲みながら語り合ったのがこの記事だ。

――そもそもマイケル・リーグと知り合ったのは?

バンダ・マグダマグダ・ヤニクゥが連れてきてくれたんです。マグダと会ったのもNYですね。マグダのアルバムにハウス・オブ・ウォーターズのダルシマー奏者のマックスZTが参加してたのもあって、ライブやったときによく来てくれてて、そんな感じでマイケルを連れてきてくれたのがきっかけですね。

(※Banda MagdaにMax ZTが参加した曲「Trata」)

――ハウス・オブ・ウォーターズって、そもそもどういうところで演奏してるんですか?

ハウス・オブ・ウォーターズはツアーを組むようになってからは、パフォーミング・アーツ・センターみたいな地方の大きいところでやったりもするけど、クラブって言ったら、ジャズもやるし、この前はヨシズ(Yoshi’s)でもやりました。そういうところでもやったりもするし、ロックのクラブでもやったりするし、このバンドはどこでもありです。

――フクシマさん個人ではどういう活動をしてるんですか?

今はハウス・オブ・ウォーターズが多いですけど、昔からやっている繋がりの南米系のバンドですね。最近はペルーのギタリストで、ユリ・フアレス(Yuri Juarez)とやってます。いいメンバーなんですよ、ドラムはシラセッテ・ティニン(Shirazette Tinnin)。

――それってペルーのフォルクローレっぽいサウンドなんですか?

そうですね。パット・メセニー系譜のぺルー版に、かなりがっつりフォルクローレが入ってくる感じですね。そういうのがNYで始まったのが15年とか20年くらい前。僕が学生のころにアルゼンチンのフリオ・サンティジャン(Julio Santillán)ってギタリストがいて、この人がすごい人で、アルゼンチンの音楽とジャズやクラシックのハーモニーを混ぜてやるってのをアメリカで初めた人ですね。彼はロス・チャンゴス(Los Changos)ってグループをやってて、ドラムのフランコ・ピナ(Franco Pinna)と、バークリーの先生でベーシストのフェルナンド・ウエルゴ(Fernando Huergo)って全員アルゼンチンのトリオだったんですけど、フェルナンドが他の仕事でできないときに僕が代わりに入ってやってて、2人にアルゼンチンの音楽を教えてもらっていたんですよ。僕にとってはそこがはじめですね。

――へー。

あと、マルタ・ゴメス(Marta Gomez)ってコロンビア人のヴォーカリスト。彼女はラテン・グラミーとか取ってる人なんですけど、そのマルタのグループの主要メンバーがフーリオのトリオだったんですよ。その辺から、そういう感じのペルーとか、アルゼンチンとか、コロンビアとかのフォルクローレとジャズを組み合わせたものが出てくるようになって、NYでもだんだんポピュラーになっていますね。例えば、ペルー系のジャズは、ぺルビアン・ジャズとか呼ばれてます。

――NYの南米ジャズのディープなところにいるんですね。

それは演奏できる場所があるのも大きいんです。ラテン系がオーナやってる店のテラッサ・セヴン(Terraza 7)って店とか、そういうところで演奏してますね。

クイーンズにあって、たぶん15年くらいやってて、昔はステージが宙づりで笑 消防局が来て、危ないからダメって注意受けたり笑 あとは、一時期、トゥトゥマ(TUTUMA )ってペルー人がやってる店もマンハッタンにありました。そこは閉店しちゃったんですけどね。

――僕はチリのカミラ・メサとかは知ってるけど、日本ではなかなか聞かないシーンですね。

ペルーだとスサーナ・バカ(Susana Baca)とかトラディショナルなイメージだと思うんですけど、それよりはもう少しコンテンポラリーなことをやっている若い子は多いんですよ。

アルゼンチンはもっと多いし、もっと洗練されてます。フェルナンド・イセラ( Fernando Isella )とか、ニコラス・ソリン(Nicolás Sorin)とか、彼らは映画音楽をメインにやってる人だと思うんですけど、すごいですよ。アルゼンチンの人の作曲能力はすごいって思います。僕はこの辺からインスピレーションを得ることが多いですね。

――日本でアルゼンチンって人気あるんですよ。アカセカ・トリオとか。あと、カルロス・アギーレとか。

あー、その辺もいいですよね。アカセカはかっこいいですよ。アルゼンチンは日本人に馴染みやすいメロディーなんですよね。ネイティブ・インディオの音楽と、アフロの音楽と、スペイン経由の西洋の音楽が混じってるんですけど、そのネイティブ・インディオの音楽が合うんですよね。日本人と似たような顔してるじゃないですか。だからか、なんか馴染み深いんですよね。

フーリオ・サンティジャンがバークリーでクラシックのコンポジション・メジャーだったんで、彼は譜面とかもきっちり書くタイプだったんですね。僕はドラムのフランコ・ピナとジャズのギグをやってて、彼からフーリオを紹介してもらいました。僕は譜読みが強かったんで、重宝されたんですよ。とりあえず、フィールとかはわからないけど、譜面をきっちりやって、ソロは普通にやるみたいな感じで。でも、最初は難しくて、どこが1かリズムがわからないみたいになるから、これはちゃんとやらないといけないなと思って、どんなのを聴いたらいいか、どんなことをやったらいいかって色々教えてもらって勉強しました。

――最初はどういうのを聴いてましたか?

ユパンキからですね。あとは、アカセカ・トリオ。アカセカは今っぽいからわかりやすいって感じで。ジャズ/アルゼンチン的な音楽はNYではフーリオが始めた感があって、彼から学んだんですけど、タンゴっていったらピアソラのここら辺を聞けって言われて、チャカレラとか、サンバ(ブラジルのサンバとは別のアルゼンチンのリズム)とか、そのあたりはユパンキとかの音楽を聴いてリズムパターンを学んでって感じで、そこから実際に演奏するってなるとジャズ的な要素が入ってくるので、もっと自由度をあげるのはその場で工夫してって感じでしたね。

――じゃ、たとえば、メルセデス・ソーサみたいなクラシックスを聴いて勉強してたってことですよね

そうですね。それこそマルタとメルセデス・ソーサは繋がってて。共演したりしてるんじゃないかな。僕はフーリオのところで、チャカレラとかのリズムができるようになって、そこからペルーとかコロンビアとかの音楽もできるようになったって順番ですね。

――僕もアルゼンチンはけっこう買ってた時期があるんですけど、面白いですよね。

例えば、ロックとかでもスピネッタとか、チャーリー・ガルシアとか、あの辺もいいんですよね。やっぱりリズムが良くて、アルゼンチンの土着のリズムが入ってるんですよ、ロックの中にも。土っぽくて、ちょっと都会の雰囲気もありつつの感じがいいんですよ。

――ペドロ・アスナールとかどうですか?同じベーシストとして。

好きですね。最近一緒にやったのは、ピアニストのギジェルモ・クライン。レコーディングやったんですけど、アルゼンチンのドラマーとギレルモとのトリオだったんですけど、そのためだけに彼が曲を書いてきて、一見簡単な曲なんですよ、ロックみたいな。でも、シンプルでずーっと進んでるのが、いきなりガっと半音ずらしてパッと元に戻してみたいな、それだけのアイデアなんだけど、それが登場する瞬間とかタイミングとかが良くて、そういう曲ってなかなか書けないと思うんですよ。曲を壮大に書いたり、シンプルにしたり、どっちかになりそうなところをうまくまとめ上げちゃうんですよね。

――ギジェルモの音楽はリズムもすごいですよね。

アルゼンチンのリズムで、アフロキューバンみたいな頭抜きで、引っかかるんですよ。それを6/8とか変拍子でやったりするんで、ロストワールドですよ、あれは(笑 一回見失ったら終わり(笑 最近でこそ「1はどこ?…」ってのがなくなりましたけど、やっぱりペルーとかコロンビアとかアルゼンチンって6/8が各地にあるんですけど、クラーヴェがちょっと違うんですよ。アルゼンチンだとパッパパッパパッパパッパで取って、ペルーだとパパッパパッパパって、コロンビアだとンパパンパパンパパみたいな感じで、同じ三つのどこをとるのかで手拍子のポイントが違うんで、アルゼンチンのに慣れて、ペルーに行くと一個ずれるわけですよ(笑 それは南米の人でもよく起こるんですよ。アルゼンチンの人にペルーのをやらせると一個ずれるんですよ。そこは同じ南米でも勉強しないとできないんですよ。あのリズムは面白いですよ、飽きないですね。あとは、チリとかウルグアイとかもいろいろあるし。ウルグアイのカンドンベとかもやりますね。

――そういう南米的なところに日本人がいるのも面白いですね。

もともとそういうのをがっつりやっていたのがタケイシ兄弟ですね。ドラムのサトシ・タケイシさんとベースのツトム・タケイシさん。

(※クオン・ヴ―のカルテットのベースがツトムタケイシ)

――あー、ヘンリー・スレッギルとかもやってる方ですよね。

ですね、イリアーヌとか、ポール・モチアンのバンドにもいたし。たぶん、日本人で海外でがっつり活躍しだした人で、NYに住み着いてローカルで有名なのはあの二人ですよね。僕よりも一回りくらい上だと思うんですけど、あの二人はバークリー出てから、コロンビアに住んでたらしいですよね。コロンビアでヒーローだったらしいんです。僕の友人のコロンビア人のミュージシャンが、コロンビアにいた頃にすごくいいミュージシャンがいるからって見に行っていたのが、タケイシ兄弟だったらしいですね。あの人らは本物ですね。

――ちなみにフクシマさんは最初から6弦ベースなんですか?

バークリーの一年目は5弦だったかな。実は友達から買ってた中古の6弦があって、一年たって夏休みに日本に帰って、持って帰ろうと思って、そこから6弦ですね。特に理由はないんですよね、なんか身体に合ったんですよ。僕の人生は何となくなんですよ。

――バークリーの時の先生って誰ですか?

ハル・クルックエド・トマシの二人ですね。どの世代でも習ってる二人ですよね。彼らが教えてた生徒はみんな有名になってて、それこそカート・ローゼンウィンケルとか。たしかカートとハルはインプロビゼーションの方法論で喧嘩したはずなんですけど。カートってルームメイトでマリアーノ・ジルってアルゼンチン人がいて、彼から話をいろいろ聞きました。

――カートって南米好きですよね、そういうところからの影響もあるかもですね。

好きですよね、トニーニョ・オルタが好きだったり。ダニー・マッキャスリンもペルーの音楽とか好きですよね。昔のアルバムではアルゼンチンとか、ペルーとかのリズムの名前を付けた曲をやってますよ。

――ちなみにベースの先生は誰ですか?

デヴィッド・クラークって先生でしたね。アコースティック・ベースの先生で、クラシックの作曲も勉強されてた方で、現代音楽の理論がジャズのインプロにも使えるんじゃないの?みたいな話をよくされてましたね。もうひとりはブルーノ・ラバーブってコンテンポラリーなジャズの人でしたね。

――じゃ、エレキベースベのレッスンは受けてないんですね。

唯一あったのはマシュー・ギャリソンが自主盤を出した時にいいなと思ったから、メール送ってみたら返事が来て、しかもレッスン料も安くて、NYに何回か行って、レッスンしてもらいました。でも、3回目くらいに「それは既に僕がやってることだから、自分のものを築いていなかないとダメだよ」って言われて、なるほどなと思って。だから、エレキベースを避けていたわけじゃないけど、それ以外のことも勉強するようにしてましたね。だから、ベースのレッスンも受けてないし、22歳以降くらいからはトランスクライブとかコピーとかもエレベに関してはやってないですね。トランスクライブするにしても、サックスだったり、ピアノだったりをするようになったし、作曲の勉強をしたり、バークリーでもハルとかエドとかベーシストじゃない人に教わってましたし、ベースで何か違うアプローチでやるってことを考えながらやってましたね。

――あー、なるほど。リオネル・ルエケにインタビューした時もギタリストは避けてたって言ってましたね。

コピーしてそこに留まってしまうのもよくないし、リオネルみたいに全く違う方法を生み出せたらすごいですよね。ちなみに僕は、バークリーでは、リオネル、ケンドリック・スコットマーク・ケリーウォルター・スミスとかと被ってる感じですね。宮崎大くんも一緒なんですよ、大くんのシニアリサイタルで弾きましたよ。その時のヴィデオも持ってますよ。

――へー。

エスペランサのバンドでピアノ弾いているレオ・ジェネヴェーゼっているじゃないですか。彼はアルゼンチン人なんですけど、彼が僕と同じ時期にバークリーにいて、レオとは一緒にもやってたし、アルゼンチンの音楽もいろいろ教えてもらいましたね。あそこら辺は仲良くて、あとは、リッチー・バ―シャイとか。

(※レオとエスペランサ。アルゼンチンのリズムのチャカレラがモチーフ

――リッチー・バ―シャイもエスペランサ周りでも演奏している人ですよね。

そうです。僕はリッチーをハウス・オブ・ウォーターズに入れたかったんですよね。10年来の付き合いで、一番やりやすいんですよね。彼はクレズマティックのメンバーでもあるし、スケジュールがなかなか合わなくて。僕が学生のころに、リッチーはニューイングランドの新入生で、彼は入学したばっかりなのにハービー・ハンコックのクリニックで認められて、そのままハンコックがツアーに連れて行ったみたいな逸話があって。そういうすごいドラムがいるってので話題になってたやつなんですよ、その2年後くらいにレコーディングで一緒になって。彼もドラムもパーカッションもできて、ジャズもワールドミュージックもできて、みたいなタイプですね。

――ジャズを求めて、世界中からバークリーに集まってきて、よくわからない国の音楽に出会ったりして、ジャズってプラットフォームがあることで音楽的にすごくリベラルになれるというか。

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