払ったことに、満足していた。

スーパーで納豆を選ぶとき、私は必ず値段を見る。
同じメーカーで3円違えば、安い方を手に取る。
節約している、と思っていた。
生命保険に入るとき、私はめちゃくちゃ吟味した。
自分がもしもの時の話だ。
気は進まなかったが、真剣に検討した。
何社も比べた。
資料を読んだ。
担当者の説明を聞いた。
では今、月いくら払っているか。
何かあったとき、どんな保障でいくら出るか。
言えない。
払ったことに、満足していたのかもしれない。
おかしい。
仕事では、数字を見ない人間を信用しなかった。
売上、粗利、コスト、KPI。
「なんとなく」で動く営業は、
話にならないと思っていた。
でも家では、なんとなくで払い続けていた。
何年も。
保険だけじゃない。
サブスクの合計も、電気代も、言えなかった。
納豆の3円は見ていた。
毎月の固定費は、見ていなかった。
私は家計を見ていたんじゃない。
家計を見ている自分を、見ていた。
エアコンと扇風機。
どのくらい電気代が違うか。
専業主夫になるまで知らなかった。
気になって調べた。
エアコンは起動時に1500W前後。
扇風機は30〜50W。
料金の違いを、初めて説明できた。
初めて、「なぜ」が言えた。
ハンディファンを買うとき、mAhを調べた。
3000mAh以上で半日もつ。
相場も確認した。
同スペックで1000円台と2000円台の差はどこにあるのか。
それまでなら、なんとなく高めを選んで、
いいものを買った気になっていた。
今回は違った。
「うちなら、これで十分だな」
初めて、自分で決めた気がした。
仕事では何百万の設備投資を比較していた。
今はハンディファンの1000円差を比較している。
やっていることは、案外同じだった。
私は長い間、
見なくても困らない場所ばかり見ていたのかもしれない。
生命保険の保障内容は、まだ調べていない。
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次節では、第4章の続きを書く。
今回は「担当になって初めて見えた」という話だった。
では、見えるようになった後に何が起きるか。
見えたのに、変われなかった。
分かると「動く」の間には、もう一つ壁がある。
次回もお楽しみに。
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余談だが、
私は長い間、家計を見ているつもりだった。
実際は、家計を見ている自分を見ていた。
営業時代、1000人規模の組織で気づいた。
「なんか、この人いいな」と思われる人も、見ている場所が違った。
▼「なんか、この人いいな」と思われる人がやっていること。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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