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動画にできなかった景色がある -見渡す限り青が続く空の向こうで-

犬吠埼。ワンワン聞こえてきそうな地名である。

初めて訪れた『いぬぼうさき』。
ここは千葉県銚子市、千葉県のいちばん東。
日本でいちばん早く初日の出が見られるスポットだとか。

海、海鮮、金目、イワシ、マグロはもちろんのこと、
銚子電鉄のレトロ感、ぬれ煎餅。

ヤマサ醤油の本拠地だなんて聞くと、ドラマ『JIN-仁-』を思い出さずにはいられない。

……といいつつ。
どの観光名所やグルメよりも、私たちが向かうのはストリートピアノ。

新しい場所というのは、とてもドキドキするものだ。

本当にそこにあるのか。
弾かせてもらえるのか。
時間は大丈夫か。
周りの方々にご迷惑にならないか。

心配事は山のようにある。

ネットに情報があったとしても、それが今も正しいとは限らない。
時間の流れは、想像よりはるかに早い。

犬吠テラステラスという、とても可愛い観光スポットの2階。
絶景カフェの奥に、ピアノを見つけた。

ため息が出るほど、海と空が青い。

スタッフの方に、
「ピアノを弾かせていただくことはできますか?」
と尋ねると、快く対応してくださった。

選曲は、なぜかふと『ハナミズキ』がいいなと思った。
自然と、五月が連れてくる。

この日も、動画にはできなかった瞬間がたくさんある。

演奏が終わってから
「とても素晴らしかったです」
と声をかけてくださったスタッフさんの優しさ。

お茶をされていたカフェのお客様のあたたかさ。

遠くでそっと耳を傾けてくださっていた観光客の方々。

どうしても、そこにフォーカスして露骨にカメラを向けることは、私には心苦しい。

けれど、そんなあたたかさを伝えることのほうが、
私のピアノを届けること以上に価値があるようにも感じている。

だから動画には、必ず気持ちをのせるように言葉を綴っている。

伝わればいいな。

青が続くこの場所の、あたたかさが。

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