FINALMENTE L'ALBA / やっと夜明け
1950年代のチネチッタを舞台にしたイタリア映画版『バビロン』といった趣の映画という紹介で、まずは間違いはないと思います。

1958年に公開された同名の映画があります。こちらはドイツのコメディ映画。イタリア公開時のタイトルが本作とたまたま同じです。

基本的に明るく楽しい画調のイタリア映画なんです。ただ中盤から終盤に至るまで不穏な死の影が漂います。

その理由は本作がモンテシ事件を取りあげているからです。なるほど本作はクエンティン・タランティーノがシャロンテート事件を取り上げて『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を製作したように、サヴェリオ・コスタンツォ監督も同様のアプローチをしたことがわかります。

1950年代当時多くのハリウッド作品がローマの映画スタジオ、チネチッタで撮影されていた時代を背景に映画に憧れる純真なミモザを主人公に置くことで記憶装置としての映画の役割が果たされています。

ジョセフィーヌの荒廃した私生活に起因する性格の悪さがきっかけとなって強烈な意地悪エピソードが描かれるのが面白かった。

アリダ・ヴァッリが登場するのは『甘い生活』へのオマージュですね。『甘い生活』もモンテシ事件を背景にした映画ですから。

そこまで深刻なトーンではないものの今の時代から照射すると当時のイタリアも人権蹂躙とも言える社会情勢だったことが浮き彫りにされます。少し苦味のあるノスタルジックな映画です。そのことが今更ながらに日の目に曝されたという意味で『やっと夜明け』というタイトルなのだと思います。

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