【毎週ショートショートnote】お題「木工用バント」&「課金ホームラン」
TV放送をしなくなったプロ野球は低迷を極めた。
選手たちの給料は下がり、サラリーマン並みに業務スーパーで冷凍ブロッコリーを買いだめする生活。
<とうとうプロ野球は課金バットの導入に踏み切った>
バットは金属製で空圧ブースターが内蔵されており、ボールが当たった瞬間に爆発し、ボールを遠くに飛ばすことができる。
このバットはアプリに連動されており、ファンの課金で威力が変わる。
課金の力でホームランが量産され、選手は野球より、歌やダンス、手品やトーク力が重視された。
また、バットをボールに当てることが重要となり、かっての木工用バットのバント職人の技術が重宝されることに。
【日本シリーズ最終戦 阪神VS巨人】
9回裏 167対166 ツーアウト満塁 一打逆転のチャンス
「バッターは花形満 ピッチャー星飛雄馬」
「バッター花形満は、お決まりのバントの構えを見せております」
「星飛雄馬 大リーグボール1号を投げました!」
バックスクリーンに課金額が株価チャートのように激しく変動する
「バットに当たりましたがボテボテのゴロです。今回はバットではなく『飛ばないボール』への課金が勝りました。花形満、これでアウト、ゲームセットでしょうか!」
__観客は悲鳴を上げた。
だが、花形満はニヤリと笑った。 「甘いな。俺には『快速シューズ』の課金がMAXまで積まれているんだ」
彼が一塁へ踏み出した瞬間、そのシューズから凄まじい轟音とともにロケットエンジンが噴射された。しかし、その威力は計算外だった。
一塁ベースを通り越し、垂直に上空へと跳ね上がった。青空を突き抜け、成層圏を越え、光の筋となって宇宙の彼方へと消えていった。
__戻ってくる気配はない。
翌日の新聞の見出しは、野球の結果よりも一色に染まった。
『民間初の有人ロケット成功第1号、プロ野球界から誕生』
『人類の夢、課金で叶う』
田原にかさん いつもお世話になっております
