Still Service #42 中国菜 ジャッカル 実況中継

私の感じ方が、一皿ごとに変わった夜。


15:00

博多。

ナチュラルワインと小皿中華。

15時オープンという営業時間も、この店らしい。

「昼飲み」と「夕食」の間にある時間。

その時間が、すでに心地よい。



一杯目

フランチャコルタ

冷菜五種盛り。

冷菜五点盛り


クリームチーズの紹興酒漬け。

海鮮春巻き パルミジャーノ。

美しい。

そして美味しい。

泡が料理を軽やかに持ち上げる。



二杯目

アルバリーニョ

つぶ貝と黄韮。


最初は思った。

「これはシャンパーニュの方が合うかな。」

でも、

ソースまで一緒に口へ運ぶと景色が変わった。

アルバリーニョが、

料理の真ん中へ歩いてきた。

私は、この時こう思った。

「センター界隈。」



三杯目

サンジョヴェーゼ

紹興酒とクリームチーズのレバーパテ。

重心は低い。

料理を支える。

そんな印象だった。

しかし、

豚としめじの焼売では、

……

「む、む、む、残念じゃ〜。」

ワインが前へ出てしまう。

卵は……

ジャンボリ。



四杯目

10年熟成紹興酒

焼売には少し強かった。

しかし、

麻婆豆腐が現れる。

ここで、

店の意図が分かった。

Very Dry。

麻婆豆腐と真正面から向き合う。

結果は……

どちらも譲り合わない。

互いに主張し、

互いに一歩も引かない。

これもまた、一つのペアリングだった。



印象に残った一皿

トマトとディルの卵炒め。

ここで、

フランチャコルタが再び輝く。

泡が、

ディルの香りをふわりと持ち上げる。

この日のベストペアリングだった。



店の印象

美味しい。

カジュアルチャイナとして、

また訪れたい。

料理は王道。

ワインは、

「少し遊んでみました。」

そんな提案が楽しい店だった。


この夜、一番考えたこと

ペアリングは、

最初の一口で決まらない。

料理も変わる。

ワインも変わる。

そして、

自分の感じ方も変わる。

だから私は、

最後まで味わってから、

答えを出したい。



エンドロール

料理は、

ワインに答えを求めていない。

ワインも、

料理に勝とうとしていない。

互いに一歩譲った時、

そこに生まれるのは、

「美味しい」

ではなく、

「楽しい。」

私は、

そんな時間が好きだ。

だから、

またレストランへ向かう。


🌱
加藤洋子
Still Service 主宰

ホテル・旅館・レストランの体験価値と言葉にならない違和感を観察し、時間の質を編集する。

飲料、サービス、滞在体験について対話を通じて一緒に考えています。
ご相談,お問い合わせは、メールにて。
still.service.yoko@gmail.com

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