ムシューとYokoの対話 #4 一輪の白い花
#4. 一輪の白い花
薄紫に染め上げた髪が印象的なマダムが、
ディナー開店と同時に、ドアノブに手をかけ、来店された。
ドアが開いた瞬間、ミントの香りを感じた。
先週から、アルバイトで来ているギャルソンが、テーブルにご案内する。
ディナーのコースは、クチナシのコース。
お召し上がりのヴォリュームが少なめの方のために、
最近始めたコース。
ワインを選んでらっしゃる。
ご主人が愛したのは、ブルゴーニュだった。
コルトン・シャルルマーニュ2002を、選ばれた。
ソムリエは、静かにコルクを抜いた。
🍷Ms.ワイングラス
あたし、このシチュエーション、泣けちゃうわ。最後まで、完璧な仕事できるかしら?
🧻 Mr. ナプキン
マダムが、涙したら、僕がエスコートするよ。
コースが進み、
デザートを召し上がっている。
今夜のお客様のような方には、お見送りの際のお声がけは、
とても考えてしまう。
マダムが席を立つ。
ギャルソンが椅子を引く。
ディレクトールが、ドアを開ける。
<来年の今日、2003年のコルトン•シャルルマーニュをご用意致します。>
マダムがほんの少しだけ振り返り、
微笑む。
……
テーブルには、
白い花が一輪だけ残っていた。
……
🍷 Ms. グラス
「今日は、泣かなかったわ。」
🧻 Mr. ナプキン
「うん。」
「僕も使われなかった。」
🕶️ ムシュー
「それが、一番よかった。」
……
Agreed🌼

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加藤洋子
Still Service 主宰
ホテル・旅館・レストランの体験価値と言葉にならない違和感を観察し、時間の質を編集する。
飲料、サービス、滞在体験について対話を通じて一緒に考えています。
ご相談,お問い合わせは、メールにて。
still.service.yoko@gmail.com
