エーティーアンドティー / AT&T(T)決算分析|営業利益+8.3%・FCF利回り11%、予想PER10倍の高配当通信株【FY2026 Q2 日本語解説】
この記事は、SEC EDGAR(米国版の有価証券報告書データベース)に提出された10-Q(四半期報告書)を日本語訳・分析したものです。決算速報よりはタイムラグがありますが、より詳しい財務情報が記載されており、企業の実態を深く知ることができます。
2026年7月22日、AT&Tは第2四半期決算を発表し、株価は同日終値23.04ドル(約3,756円)まで3.50%上昇しました。調整後EPSは0.65ドルで市場予想0.59ドルを上回り、ポストペイド携帯の純増は43.2万件と、市場予想の約33.9万件を大きく超えました。
そして今月末には、もうひとつの節目が控えています。EchoStarから230億ドル(約3兆7,490億円)分の周波数免許を取得する取引です。10-Qは「2026年7月末までのクロージングを見込む」と明記しており、手元現金とターム・ローン借入で資金手当てするとしています。3.45GHz帯についてはすでに短期リースで米国人口の約3分の2をカバーする基地局に展開済みです。
前回のFY2026 Q1の記事では、株価26ドル前後を前提に「デレバレッジの進捗を確認しながら保有するバリュー型ディフェンシブ銘柄」と位置づけました。あれから株価は約1割下がり、周波数取得の完了は目前です。本稿では、利益の伸びが「本物」なのか、そして230億ドルの買い物が財務にどう効くのかを、10-Qの数字で切り分けます。
今回決算のまとめ(3行)
・売上+2.3%に対し営業利益+8.3%、営業利益率は22.3%へ1.2ポイント改善 (売上315.58億ドル/営業利益70.38億ドル/減価償却費は5.4%減)── 増益額5.37億ドルのうち2.85億ドルは減価償却費の減少によるもので、増益の約半分は費用構造ではなく償却スケジュールの産物
・先進接続の営業利益+20.3%を、従来型の-45.5%が削り取る構図 (先進接続286.15億ドル/従来型16.32億ドル/従来型の営業利益率は43.6%から32.0%へ低下)── 銅線網の縮小は減収より減益のほうが速い
・フリーキャッシュフローは47億ドル、周波数取得後のレバレッジは3.2倍へ (調整後EBITDAは123億ドルで5.2%増/自社株買いは年間約100億ドルへ引き上げ)── 還元を加速しながら手元現金と借入で230億ドルを支払う、という綱渡りの局面
会社概要
一言でいうと、 5Gとファイバーを1本の契約に束ねて売る、米国最大級の通信インフラ会社 です。2026年第1四半期の報告からセグメントを再編し、先進接続(Advanced Connectivity)、従来型(Legacy)、中南米(Latin America)の3区分としました。この区分変更の狙いは明確で、銅線ベースの旧事業からの撤退進捗を投資家に見えるようにすることにあります。
稼ぎ頭は先進接続で、第2四半期の全社売上の約9割を占めます。中身はワイヤレスサービス174.13億ドル、先進家庭向けインターネット29.26億ドル、法人向けファイバー・先進接続19.46億ドルなど。従来型は銅線の音声・データで、廃止に向かって縮んでいく事業です。中南米はメキシコのワイヤレス事業で、全社利益への貢献は0.38億ドルとごくわずかです。
今期のポイント3点
ポイント1:増益の半分は減価償却費の減少が作った

売上高は315.58億ドル(約51,440億円)で前年同期比2.3%増、営業利益は70.38億ドル(約11,472億円)で8.3%増でした。売上の伸びを利益の伸びが6ポイント上回っており、営業レバレッジが効いた形です。
ただし中身を見ると、営業レバレッジの源泉は事業効率ではありません。減価償却費が49.66億ドルと5.4%減っており、金額では2.85億ドルの減少です。営業利益の増加額5.37億ドルのうち、53%がこの償却費減少で説明できます。10-Qは減少理由を「償却が完了したレガシー資産」と説明しており、ファイバーや網高度化への継続投資が一部相殺したとしています。つまり過去に積んだ資産の償却が終わったという会計的な要因が主で、来期以降も同じペースで効き続ける保証はありません。
逆方向の一過性要因もあります。第2四半期には、スペクトラム戦略の優先順位見直しに伴う資産除却費用を含む2.86億ドルを計上しました。前年同期はゼロです。これを除けば営業利益の伸びは12%台に乗る計算になります。償却減少という追い風と資産除却という向かい風が、ほぼ同額でぶつかった四半期でした。
営業利益から下は様相が変わります。支払利息は18.83億ドル(約3,069億円)で13.8%増、持分法投資損益は前年同期の4.85億ドルの利益から0.29億ドルの損失に転じました。後者は2025年7月2日にDIRECTVの持分をTPG Capitalへ売却したことによるものです。結果、税引前利益は58.22億ドルで4.5%の減益となりました。 営業利益は増えたのに、税引前利益は減っている 。この乖離が本決算の最初の注意点です。
EPSは2つの数字を分けて見る必要があります。調整後EPSは0.65ドルで前年同期0.54ドルから20.4%増、GAAPベースの希薄化後EPSは0.62ドルから0.66ドルへ6.5%増(筆者試算)です。差は比較軸の違いによるものです。会社は前年同期の調整後EPSを算出する際、すでに売却したDIRECTVの持分法利益に相当する1株あたり0.05ドルなどを除いています。つまり調整後の20.4%増は今も続いている事業だけを並べた伸び、GAAPの6.5%増は売却した事業も含めた実績の伸びです。継続事業の改善を測るなら調整後、実際に株主へ帰属した利益の推移を測るならGAAPを見る、という使い分けになります。
もう1つ、GAAP EPSには自社株買いの効果が乗っています。希薄化後株式数は69.46億株で前年同期の72.19億株から3.8%減りました。普通株主に帰属する純利益は45.91億ドルで前年同期44.64億ドルから2.8%の増加ですから(いずれも筆者試算)、GAAP EPSの伸びのうち半分以上は分母の縮小によるものです。6か月では約1億7,400万株・44.35億ドル分を買い戻しています。自社株買いが止まれば、この分母縮小による3〜4ポイント程度の押し上げがなくなります。その場合のEPS成長率は分子である普通株主帰属利益の伸びに近づくため、鈍化する計算になります。
ポイント2:先進接続の増益を従来型が削り取る

先進接続は売上286.15億ドル(約46,642億円)で4.1%増、営業利益73.45億ドル(約11,972億円)で20.3%増でした。営業利益率は22.2%から25.7%へ、EBITDAマージンは40.5%から42.0%へ改善しています。全社の営業利益を上回る利益を、このセグメント単独で稼いでいる計算になります。
内訳では先進家庭向けインターネットが29.26億ドル(約4,769億円)で27.3%増と最も伸びました。ファイバー収益は21.4%増で、2026年2月に取得したLumenの一般消費者向けファイバー事業の顧客が含まれます。この買収は57.56億ドルを支払ったもので、取得した資産の一部はForged Fiber Servicesという子会社に移し、支配持分を共同投資パートナーへ売却する計画のため売却目的保有に区分されています。会計上は非継続事業扱いとなり、第2四半期は0.28億ドルの損失として計上されました。AT&T Internet Air(AIA)の収益は100%超の伸びです。一方、法人の移行期サービス等は10.42億ドルで16.6%減。VPNと卸売サービスの需要減退が理由で、10-Qは「この傾向は継続する」としています。
従来型は売上16.32億ドル(約2,660億円)で25.9%減、営業利益5.23億ドル(約852億円)で45.5%減でした。注目すべきは減益率が減収率のほぼ2倍という点です。営業利益率は前年同期43.6%から32.0%へ11.6ポイント低下しました。コスト側も11.09億ドルへ10.8%減らしていますが、売上の25.9%減には追いついていません。銅線網の廃止は「売上が減る話」ではなく「利益がそれ以上に減る話」だと、この数字は語っています。
中南米は売上12.24億ドルで16.1%増ですが、営業利益は0.38億ドルで17.4%減、営業利益率は4.4%から3.1%へ低下しました。10-Qは増収要因を「主に為替の好影響」と明記しており、同時に費用側も「不利な為替レート」で押し上げられています。契約数はさらに厳しく、メキシコの総契約数は2,343.5万件で1.7%減。ポストペイドは745.7万件で20.7%増と好調な半面、プリペイドが第2四半期だけで100.6万件の純減となりました。
ポイント3:ファイバーと固定無線が数字を作っている

インターネット接続数は1,547.9万件で29.5%増。ファイバーが1,286.8万件(22.8%増)、固定無線が261.1万件(77.4%増)です。第2四半期の純増はインターネット全体で64.6万件、うちファイバー36.7万件、固定無線27.9万件でした。前年同期のファイバー純増26.9万件と比べると36.4%の伸びで、加入獲得の勢いはむしろ増しています。
ワイヤレスも堅調でした。ポストペイド携帯の純増は43.2万件で7.7%増、小売契約全体の純増は54.9万件で67.9%増です。解約率はポストペイド携帯で0.86%と前年同期0.87%から1ベーシスポイント改善しました。ただし6か月ベースでは0.87%と前年同期0.85%から2ベーシスポイント悪化しており、通期で見た解約率は改善していません。四半期単体の改善を通年のトレンドと読み違えないほうがよさそうです。
キャッシュ面では、第2四半期のフリーキャッシュフローが47億ドル(約7,661億円)と前年同期44億ドルを上回りました。調整後EBITDAは123億ドルで5.2%増。支払利息18.83億ドルで割ったインタレストカバレッジは約6.5倍で、投資適格の通信会社として問題のない水準です。
通信株ならではの2つの数字
決算資料の見出しには出てこないものの、10-Qを読まないと拾えない数字が2つあります。どちらもキャッシュの「見かけ」に関わるものです。
1つ目は、減価償却費と資本投資の方向が逆になっている点です。第2四半期の減価償却費は5.4%減った一方、6か月の資本投資は112.20億ドル(設備投資105.77億ドルとベンダーファイナンス支払6.43億ドルの合計)で、前年同期比16.23億ドルの増加でした。通期の資本投資ガイダンスは230〜240億ドルで、売上に対する比率は18〜19%に達します。 償却は減っているのに現金の流出は増えている という状態は、損益計算書の利益が実際のキャッシュ創出力より良く見えることを意味します。会計上の利益改善をそのまま将来のキャッシュ増と読むのは危険です。
2つ目は、サプライヤー向け支払いの繰り延べです。AT&Tは端末在庫の仕入れについて、支払期日を最大約120日(平均残存85日)延長する仕組みを使っています。10-Qによると、この直接サプライヤー・ファイナンスが営業キャッシュフローに与えた純影響は、2026年の6か月で2.72億ドルの押し下げでした。前年同期は21.46億ドルの押し下げです。つまり前年比では18.74億ドル分だけ、今年の営業キャッシュフローが「楽になっている」ことになります。6か月の営業キャッシュフローは183.96億ドルで前年同期188.12億ドルから減っていますが、この運転資本要因を調整すると、実態の減少幅はさらに大きい可能性があります。
この2つを踏まえると、通期FCFガイダンスの重みが変わってきます。6か月の実績は、営業キャッシュフロー183.96億ドルから設備投資105.77億ドルとベンダーファイナンス支払6.43億ドルを引いた71.76億ドル。通期目標に対する進捗は約40%で、下期偏重の計画になっています。
最大のリスク:230億ドルの周波数取得でレバレッジが3.2倍へ
本決算で監視すべきリスクは2つに絞られます。些末な論点を並べるより、株価を動かす本丸だけを見るべき局面です。
第1に、財務レバレッジの一時的な急上昇です。 6月30日時点の純有利子負債は1,264億ドル(約20兆6,032億円)、調整後EBITDA比では2.68倍です。ここにEchoStarからの周波数取得230億ドルが乗ります。会社はLumenとEchoStarの両取引後にこの比率が約3.2倍まで上昇し、2026年末には約3.0倍へ、その後3年程度で目標の2.5倍台に戻すとしています。総有利子負債はすでに2025年末の1,361億ドルから1,439.54億ドルへ増え、長期債の加重平均金利も4.2%から4.4%へ上昇しました。財務制限条項は純有利子負債/EBITDAで3.75倍以下ですから、3.2倍まで上がると余裕は0.55倍しかありません。
監視指標は四半期ごとの純有利子負債/調整後EBITDA比率です。現在値2.68倍、閾値3.2倍、乖離幅0.52倍。これを上回るようなら、2026年末に3.0倍へ戻すというシナリオが崩れ、年間約100億ドル(約1兆6,300億円)へ引き上げた自社株買い計画が減額される可能性があります。
第2に、従来型セグメントの利益消失スピードです。 第2四半期の営業利益5.23億ドルは年率換算で約21億ドル。これがゼロに向かって減っていく前提で、全社の調整後EBITDA成長3〜4%というガイダンスが組まれています。問題は減り方で、今期は売上25.9%減に対し利益45.5%減と、コスト削減が明確に後手に回りました。
監視指標は従来型の営業利益率です。現在値32.0%、閾値30%、乖離幅2.0ポイント。30%を割り込むようなら、減収スピードにコスト削減が追いつかない状態が定着したと判断でき、全社の利益ガイダンスの下振れ要因になります。
そして、この2つは連鎖します。 従来型の利益が想定より速く消えれば調整後EBITDAが伸びず、分母が縮むためレバレッジ比率は自動的に悪化します。周波数取得で分子が膨らむタイミングと重なれば、会社が示すピーク見通しは上振れしかねません。
筆者の見解
判断は 買い です。ただし条件付きで、2026年末の純有利子負債/調整後EBITDAが3.0倍前後まで低下することを確認しながら持つ、という前提を置きます。
根拠を確度の高い順に3つ挙げます。
第1に、バリュエーションが同業3社のなかで最も割安な水準にあることです。7月22日終値23.04ドルに対し時価総額は1,601.9億ドル(約26兆1,110億円)、これに6月30日時点の純有利子負債1,264億ドルを足したEV(企業価値)は約2,866億ドルとなります。調整後EBITDAはレバレッジ比率から逆算すると直近12か月で約472億ドルですから、EV/EBITDAは約6.1倍です。
ただしこれはEchoStar取得前の数字です。周波数取得230億ドルは手元現金とターム・ローンで支払う予定で、6月30日時点ではターム・ローンの借入残高がありません。取得完了後に純有利子負債が230億ドル増えると仮定すると、EVは約3,096億ドル、同じEBITDAに対する倍率は約6.6倍になります(筆者のプロフォーマ試算)。したがって比較すべき数字は6.6倍のほうです。Verizonの7.2倍よりはなお低いものの、6.1倍で見たときより安全余裕は小さくなります。T-Mobileの9.3倍とは依然として差があります。
予想PERは、通期の調整後EPSガイダンス2.25〜2.35ドルに対して9.8〜10.2倍。Verizonの8.5倍よりは高いものの、T-Mobileの15.4倍からは大きく離れています。取得後倍率で見ても事業価値ベースでは3社最安、株式ベースでは中位、というのが現在位置です。
第2に、キャッシュ創出と還元の余裕です。通期FCFガイダンス180億ドル超を時価総額で割ったFCF利回りは約11%になります。年間配当1.11ドルに対する配当利回りは4.82%です。10-Qによれば6か月の配当支払額は普通株・優先株を合わせて39.73億ドルで、年換算すると約79億ドル。通期FCFガイダンスに対する配当性向は約44%となり、減配リスクは低い水準にとどまります。会社は2027年に190億ドル超、2028年に210億ドル超というFCF見通しも示しています。
第3に、成長と株価倍率の関係です。会社は2025年を起点として、2028年までの3年間で調整後EPSの年平均成長率が二桁になると見込んでいます。2026年ガイダンスの中央値2.30ドルに年率10%を1年分だけ適用すると、2027年は約2.53ドルという筆者試算になります。予想PER約10倍に対しPEGは約1.0倍で、筆者の定量基準である2.0倍を大きく下回ります。高配当・低成長のバリュー株というより、成長率に対して倍率が付いていない銘柄という評価が妥当だと考えます。
3シナリオを式で示します。いずれも2027年の調整後EPS想定にPERレンジを掛けたものです。
・強気シナリオ:EPS 2.60ドル × PER 12倍 = 約31ドル。レバレッジが2.5倍台へ戻り増配が再開されれば、負債によるディスカウントが外れてT-Mobile寄りに一段の評価替えが起きうる、というのがPER拡大の根拠です
・基本シナリオ:EPS 2.53ドル × PER 10〜11倍 = 約25〜28ドル。現在の10.0倍を維持ないし1倍分だけ切り上がる想定で、Verizon(8.5倍)とT-Mobile(15.4倍)の中間という現在の立ち位置が続く前提です
・弱気シナリオ:EPS 2.25ドル × PER 8.5倍 = 約19ドル。2027年に利益成長が止まり、2026年ガイダンスの下限水準まで後退するケースです。従来型の利益消失が加速し、株価倍率もVerizon並みに低下する場合を想定しています
現在株価は基本シナリオのレンジ下限25ドルを下回っています。だから「見送り」ではなく「買い」です。基本シナリオ中央の26.5ドルまでで株価上昇率は約15%、配当利回りを足した想定総合リターンは約20%になります。
一方で、この判断が崩れる条件も明確です。周波数取得完了後のレバレッジが3.2倍を超えて高止まりし、自社株買いが減額された場合。この場合は基本シナリオのPERを9倍へ引き下げるべきで、株価想定は約23ドルとなり、現在値に妙味はなくなります。
今後の事業見通し
確度:高 ── ファイバーと固定無線の加入獲得
第2四半期のファイバー純増36.7万件(36.4%増)、固定無線接続数261.1万件(77.4%増)という実績があり、Lumenの一般消費者向けファイバー事業も取り込み済みです。10-Qも「ファイバー投資の拡大により収益成長は継続する見込み」と明記しています。すでに数字が出ている領域で、蓋然性は高いとみられます。
確度:中 ── EchoStar周波数の収益化とレバレッジ低減
取引自体は2026年7月末のクロージングが見込まれ、3.45GHz帯は米国人口の約3分の2をカバーする基地局にリースで展開済みです。取得した50MHz分の周波数が5G容量と固定無線の伸びにつながるかは、これからの実装次第です。会社は2026年末にレバレッジ約3.0倍を見込みますが、従来型の減益ペース次第で前後する可能性があります。
確度:低 ── 増配の再開
現在の年間配当1.11ドルは2022年のWarner Media分離後に据え置かれた水準です。レバレッジが目標の2.5倍台に戻るのは会社見通しでも3年程度先とされており、それまでは自社株買いが還元の主軸になるとみられます。増配を前提にした投資判断は現時点では置きにくい状況です。
まとめ

最後に、本文では触れなかった視点を1つ加えます。米国通信3社を「何で選ぶか」という問題です。インカムの絶対値ならVerizon(利回り6%台)、成長ならT-Mobile(予想PER15倍台)という住み分けは以前から変わりません。ではAT&Tは何かというと、 事業価値ベースで最も安く、かつ二桁のEPS成長ガイダンスを持つ唯一の1社 という位置づけになります。EchoStar取得後のプロフォーマでEV/EBITDA6.6倍、PEG約1.0倍という組み合わせは、3社のなかでAT&Tにしかありません。
裏返せば、その割安さは1,264億ドルの純有利子負債と、今月末に上乗せされる230億ドルへの警戒が値段に織り込まれた結果でもあります。市場が織り込んでいるのはレバレッジ3.2倍という数字であって、その先の2.5倍ではありません。デレバレッジが計画どおり進めば、現在の割引は縮む余地があります。
総合判断は「買い」です。監視は純有利子負債/調整後EBITDA 3.2倍と、従来型セグメントの営業利益率30%の2本立てとします。前者が超えたら基本シナリオのPERを9倍へ引き下げ、後者が割れたら調整後EBITDA成長3〜4%というガイダンスの前提を組み直す。この順序で判断を更新していく、というのが本稿の結論です。
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※この記事は投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
※円換算は1ドル=163円(2026年7月時点)で計算しています。
※データ出典:SEC EDGAR 10-Q(Accession No. 0000732717-26-000297、AT&T Inc. 2026年6月30日期 第2四半期)
※調整後EPS・調整後EBITDA・フリーキャッシュフロー・純有利子負債・レバレッジ比率・通期および中期ガイダンス:AT&T 2026年第2四半期決算プレスリリース(2026年7月22日)
※過去の年間売上高:AT&T 各年度 Form 10-K
※株価・時価総額・発行済株式数・配当利回り:StockAnalysis.com(2026年7月22日終値)
※Verizon(VZ)・T-Mobile(TMUS)の予想PER・EV/EBITDA・配当利回り:StockAnalysis.com(2026年7月時点)
※USD/JPYレート:ウェブ検索による2026年7月時点の実勢レート

