手は塞がっているが、耳はあいている
マイルド虚弱な小説家の日々 その11
上記イラストはAIさんに作ってもらったのだが、何度頼んでも、正しい猫耳の位置にイヤホンをさしてくれなかった……。でも可愛いから採用。
さて、私はこの数年、Podcastをよく聴いている。
Podcastとは音声配信メディアであり、ラジオのようなものである。
昔ながらのラジオと違うのは、インターネットで配信されている点だ。なのでオンタイムでなくとも、いつでも聴くことができる(そのコンテンツが存在している限り)。
「つまり、耳で聴くYouTubeみたいなもの?」
と思われた方、概ねそのとおりだ。
スマホとある程度の知識があれば、誰でも配信可能なところも共通している。
具体的な聴き方を説明すると、iPhoneを持っている方ならそのままズバリ『ポッドキャスト』というアプリが最初からついているので、こちらを利用できる。ほかにもGoogle Podcasts、Spotifyなどがあり、基本的にはいずれも無料だ。
番組の種類も、ニュース、語学学習、教養、娯楽などなど豊富。また、著名人から一般人まで、番組提供者も多岐にわたっていて裾野が広い。
私はYouTubeもある程度見るが、Podcastを聴いている時間のほうが長い。
きっかけがなんだったのか記憶が定かではないのだが、最初に聴いた番組は覚えているし、今も聴いている。
『News Connect あなたと経済をつなぐ5分間』だ。
なんでまた経済ニュースを聴こうと思ったのか、いまだに謎である。
経済は私にとってかなり苦手分野だ。苦手だからこそ、聴こうと思ったのだろうか。そんな殊勝なこと考えたのかなあ……? とにかく、聴いてみた。
まあ、5分だし。つまらなかったらやめればいいだけだし。
ところが、面白かったのだ。
5分という短い時間内に、必要なエッセンスを、わかりやすい解説とともに伝えてくれる。
扱うのは国内経済のみならず、というかむしろ世界的に見て大きなニュースが中心になっていて、そこもよかったのかもしれない。
経済オンチの私には、専門用語が多用されがちな経済の詳細は頭に入ってきにくい。恥ずかしながら、私はいまだに『ダウ平均株価』がよくわかっていない。まあ、株価の平均なんだろうとは思うが、ダウってなに? なんかこう、勢いづけ? ダウダウッ!みたいな?(そんなわけがない。いま調べたら、アメリカのダウ・ジョーンズ社が算出している平均株価だそうだ)
といったレベルの私でも、大きな『世界の流れ』の情報だと把握しやすいのだ。
さらに、ここがとても大切なのだけれど――配信者(当時は平日も野村高文さん)の声がとてもすてきだった。
穏やかで聞き心地がよく、ストレスを感じない。むしろ癒される。プロのアナウンサーではないのに滑舌がよく、でもそれが完璧ではないところもツボった。
現在、平日の配信は別の方々が担当されていて(このお三方もそれぞれいいお声)、野村さんは日曜日を担当されている。
この日曜版がまた楽しい。
平日よりは長い尺で、塩野誠さん(シブい系イケボの持ち主)と一週間分のニュース解説をしてくださる。塩野さんの解説のわかりやすさは素晴らしいし、時々マンガやアニメの話題が挟まってくるあたりもオタク心を擽る。塩野さんにはぜひ『宝石の国』を読んでいただき、『純粋なる承認欲求の先にあるものとは』というテーマで語ってほしい。
そしておふたりのやりとりから伝わる、心地よい関係性……
「すごく頭のいい男性2人が、互いに敬意を抱きつつ、楽しそうにお喋りしているなんて…よき……」と私はほのぼのしてしまうのだ。ケミってやつですかね……。
ぜひみなさまも、朝ごはんの支度などしながら聴いてみることをおすすめする。年齢層を問わず聴けて、世界の動きを知ることができる優良番組です。
きっかけは上記のとおりだが、なぜ日常的にPodcastを聴くようになったのかといえば、猫と親の介護が大きな理由だ。
我が家から実家までは、電車と徒歩で1時間45分かかる。つまり往復で3時間30分。3つの路線を乗り継いでいくので、ひとつの電車に乗っている時間はそう長くはない。うっかり眠ってしまうと乗り過ごす(でもたまに寝ちゃうけど)。
この移動時間にPodcastがうってつけなのだ。
さらに猫のお世話。
少し前、にゃん様の食欲がかなり減退してしまった時期があった(そののち回復した)。
フードを砕き、すり潰し、ふやかし、スプーンで一口ずつ食べてもらう。ほぼ強制給餌なので、猫はいやがる。時間を置いてなだめつつ、少しずつ食べさせると2時間以上かかる。これが朝夕あるので、おおよそ4時間はほかのことができない。
ペットオーナーさんはおわかりだと思うが、食べてくれない問題は本当に心を削られるのだ。好き嫌いのある健康な猫でも困り果てるわけだが、病気で食べなくなってきて、でも食べてくれないと身体が保たない状況なので、こちらが泣きたくなる。
私はこの間にPodcastを聴いていた。
猫のお世話とはまったく関係ない話題を聴くことで、メンタルを保っていたのかもしれない。
手は粛々と、すべき作業をする。
でも耳だけ、解放しておく。逃げ場を作っておく。
自分の力ではどうしようもない案件に対処しているときは、自分を追い詰めない工夫が必要だと思う。猫から目を離すことはできないし、実家に行かないという選択もできない。だからPodcastを聴く。「勉強になるなー」と感心したり、「くだらないけど最高~」と笑ったりする。
そう、Podcastにとても助けられたのだ。
この場をお借りして、配信者のみなさんにお礼を申しあげたい。
それでは、『News Connect』のほかに、私がよく聴く番組をご紹介したい。

COTEN RADIO
https://coten.co.jp/services/cotenradio/
自分の興味のある時代だけに詳しく、穴だらけだった私の歴史知識を、きちんと繋げてくれる番組。歴史を耳で聴く楽しみを教えてくれた。
とくに『第一次世界大戦』編はとても興味深かっ……あれ、だいぶ忘れてきたので、また聴こうっと。
ゆるコンピュータ科学ラジオ
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/id1604353315
実はWindows95以前からコンピュータをちょっといじっていた私だが、理系脳ではないせいか、結局なにもわかっていないままである。そんな初学者にもわかりやすく、コンピュータ科学を伝えてくれる。
パーソナリティの堀元さんと水野さんがキャッキャッと喋っている雰囲気もとてもいい。ときどき、「もうっ、仲よすぎだろ、コラッ」と謎のツッコミを入れたくなる。
気軽に見られるが、シナリオはかなり考えられ、練られているんじゃないかと思う。最近だと、『デジタルが優れている本質的な理由#144』が出色だった。
ちなみに「ゆる言語学ラジオ」も好きで、両方ともYouTubeで見ることもある。
愛の楽曲工房
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/id1492904431
コテンラジオのパーソナリティ、樋口さん繋がりで辿り着いた番組。
樋口さん兄弟、そして青柳さん、3人のやりとりが楽しい番組なのだが、話題の幅が広すぎて説明が難しい……。父として子育てに悩んでいたかと思うと、急に中学生男子に戻ったりもする。『樋口家実家片付けプロジェクト』は必聴。かなり長編なので、#179のシーズン2から聴くのがいいかもしれない。
のらじお
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/id1567125177
ゆったりまったりのテンポが他番組とまったく違うのだが、そこがこの番組の味でもある。会話とは、無言で考える時間も存在するのだと、あたりまえのことを思い出す。
かえさんとmuroさんが萩尾望都について熱く語っていたりすると、「まぜてぇ! 私もまぜてぇぇ!」と思ってしまう。
BBC制作の英語番組
https://www.bbc.co.uk/learningenglish/podcasts
何本かあるが、私は6分で終わる6 Minute Englishをよく聴いている。
アメリカ英語も勉強しなくてはと思いつつ、ついイギリス英語を選んでしまう……。
定期的に聴いているのは、このあたりだ。
ほかにも面白かったり、興味深い番組はたくさんあると思うので、ぜひ好みに合うものを見つけていただきたい。
手は空いてないけど、耳は空いている時間。
家事に、仕事に、子育てに、介護に。
忙しいみなさんの生活に、Podcastが寄り添ってくれますように。
(2025年8月)
