読書記録:迷子になっていた幼女を助けたら、お隣に住む美少女留学生が家に遊びに来るようになった件について 3 (ダッシュエックス文庫) 著 ネコクロ
【守られるのでなく支えたい、二人三脚のように歩みたい】
【あらすじ】
「あの子の、お父さんになってほしいです……!」告白にも聞こえるお願いをされて以降、明人とシャーロットの間にはぎくしゃくした雰囲気が漂っていく。
シャーロットのお願いにより関係性が変化した明人。彼らの心境の変化はお構いなしに大切な体育祭が始まる物語。
大切なものを自分の中に取り入れてしまうとそれを
壊してしまった時に、計り知れない傷として心に刻まれる。
そんなものが心に傷をつけてしまうと他人と関わる事に恐れを抱いてしまう。
心に傷を誤魔化し続ける自分なんかに、誰かの人生を幸せにする自信がない。
だから敢えて、大切なものから離れようとする。
守るものを作るのは怖いから。
何故か自分一人で幸せを形作るものだと錯覚してしまう。
自分一人で重すぎる過去をなんとか切り捨てようと藻掻いても、なかなか上手く行かないのが、人生というものである。
誰かと人生を共に歩むという事は楽しい事ばかりでない。
むしろ、互いの過去や闇を知って気まずくなったり、掴めない距離感の中で、パートナーと歩幅を合わせ、暗中模索な未来を手探りで進んでいく、終わりの見えない苦労が伴う。
その先の見えない壁として立ちふさがるは、体育祭で共に協力して勝利へと手を掴み取る事。
エマとシャーロットと明人が家族になる為に、明人の壮絶な過去に向き合う事。
体育祭を前に、父親になって欲しいとシなャーロットに告げられた明人。
どうしたら良いのか迷いに陥る明人の葛藤とは裏腹に、親友の彰から体育祭のシャーロットとの二人三脚の役目を譲ってもらうも。
どうしても、彼女の告げた願いが彼の気がかりとなってしまい、練習も遠慮がちで、ぎこちないものになってしまう。
それは、彼らを見守るクラスメートにも伝わってしまい、体育祭を前に憂鬱さが流れていく。
しかし、シャーロットは明人のためらいがちな姿勢に、臆することはせずに、二人三脚でも積極的に明人に声をかけたり、借り物競争では明人を指名したり。
自らの願いを正直にぶつけていく。
それでも、明人は彼女の願いにまっすぐと答える事が出来ない理由があった。
それは、エマと三人で動物園へと出かけた時に、明人が抱え持っていた宝物が壊れてしまう場面によって。
彼は過去に大切なものを壊してしまった重い過去を背負っていた事に繋がっていく。
宝物を治してあげるべく、友達の華凜に修繕を頼んだ時に明らかになった。
明人の抱えていた闇の源、それを断ち切るのはシャーロットしかいないと有紗にアドバイスをもらったシャーロットは、彼が隠していた過去にちゃんと向き合っていく。
大切なものを自らの手で壊してしまった自分なんかに誰かを幸せにする力なんてないと弱音を吐き出した明人。
二人きりのデートの最中で、そんな風に突き放されたシャーロットは一瞬めげそうになるが。
私の幸せはあなたの傍にあるのだと、誰かと深く関わる事に怯える明人に歩み寄っていく。
あなただけが私達の幸せを形作る義務はない、私と一緒に支え合いながら、二人三脚して幸せな未来へ辿り着こう。
そんな優しげなシャーロットの語りかけによって、エマの父親になるというプレッシャーから解き放たれた明人。
二人は晴れて、ちゃんと恋人同士になる事が叶った。
大切なものを失った過去を持つ二人は、また大切なものを作ろうとしている。
それは共依存という名のバランスが傾けが簡単に壊れてしまう柱であったが。
それでも、過去の重荷を軽くしてくれるのは未来を共に歩みたいと思える相手がいるからこそ。
体育祭を乗り越えて、二人は自らの過去に一つの決着を下したが、暗雲となる次なる影が忍び寄ってくる。
それは、明人の枷となっているサッカー選手時代の過去を知る人物。
