【社会保障のキホン⑤】僕らを助けてくれる、最強の「フリーパス」とその裏の顔
こんばんは!えびちゃんです。
最近、日本人のメジャーリーガーの活躍が本当にエグいですよね。
大谷選手はもちろんですが、ホワイトソックスで活躍している「村上様」こと村上宗隆選手の活躍もめざましいです。
実は僕、昔は野球をやっていて、ああいうスーパースターに本気で憧れていた時期もあったんですよね。「いつか俺も大歓声の中でホームランを・・・」なんて夢見て泥だらけになっていた日々が、ちょっと懐かしいです(´・ω・`)
さて、そんな僕の「叶わなかった野球の夢」はさておき。
スーパースターとは程遠い、普通の生活を送っている僕らですが、「もし明日、不運なケガや病気で働けなくなったらどうなるんだろう?」と不安になることはありませんか?
▼ この連載は、こんな人に向けて書いています!
「もし明日、自分が病気で働けなくなったらどうなるんだろう?」と漠然と不安な人
ネットで「生活保護の方が手取り多いじゃん!」という怒りの声を見たことがある人
給与明細を見て「保険料なんて引かれずに、全額手取りで欲しい!」と思っている人
1つでも当てはまる方は、ぜひ最後まで読んでみてください!
第5回目の今日は、僕らの生活を守る「2つのネット」の全体像と、毎月高い保険料を払うことの本当のメリット、そしてその裏に隠された問題点について、これまで以上にガッツリ深掘りしてお話しします。
前回の記事はこちら⬇️
1. 耳にタコができるかもですが「税金」と「保険料」は別物です
まずは、前回(第4回)の超重要なおさらいからさせてください。ここがブレると、今日のお話は絶対に理解できません。
「税金」と「社会保険料」は、目的もルールも全く違う別物です。
税金: 全員から集めて、道路や防衛など「社会全体の利益」のために使うお金。「俺はいっぱい払ったから見返りをくれ!」とは言えない。
社会保険料: いざという時に自分を守るための「専用チケット」を買うお金。「買った人だけが、堂々と見返りを受け取れる」仕組み。
これを頭の片隅にしっかりと置いた上で、もし明日、あなたが働けなくなった時に守ってくれる「2つのネット」の全体像を見ていきましょう。
2. 僕らを守る「二段構えのネット」の全体像
日本の社会保障は、もしもの時に国民が路頭に迷わないよう、性質の違う2つのネットを重ねて張っています。
① 1つ目のネット:「社会保険」(みんなで出し合う互助)
医療保険、年金、雇用保険など。先ほど言った「チケット」ですね。あらかじめみんなで保険料を出し合って、病気や失業というリスクに備える仕組みです。
② 最後のネット:「公的扶助」(税金で直接助ける公助)
いわゆる「生活保護」です。保険料を払えなかったり、社会保険だけではどうしても生活が成り立たなかったりした場合に、憲法25条に基づいて「税金」を使って最低限度の生活を保障する、文字通りの「最後の砦」です。
日本はこの「社会保険(保険料)」をメインにしつつ、そこからこぼれ落ちた人を「公的扶助(税金)」で拾い上げるという二段構えの構造になっています。
では、なぜわざわざ2つに分けているのでしょうか?全部、税金で助けてくれる「公的扶助」一本にすればいいじゃないかと思いませんか?
ここから、それぞれのネットを分解して、その「理由」を徹底的に見ていきます。
3. なぜ「生活保護(税金)」には厳しい調査が入るのか?
最後のネットである「公的扶助(生活保護)」。
これを受ける前には、必ず「ミーンズテスト」と呼ばれるめちゃくちゃ厳しい身辺調査(資産や働く能力の有無の確認)が入ります。家の中を見られ、貯金通帳をチェックされ、親族に「この人を援助できませんか?」と連絡がいきます。
「なんで困ってるのに、いきなりそんな厳しい調査をするの?」
その理由はズバリ、「全額『税金』を使っているから」です。
皆さんも、X(Twitter)やYouTubeのショート動画で、こんな怒りの声を見たことがありませんか?
「毎日汗水垂らして働いてる俺の手取りより、生活保護でもらってる額の方が高いじゃねーか!ふざけんな!」
「パチンコ行ってる生活保護受給者に、俺たちの税金を使うな!」
こういう感情論がバズるのには理由があります。
税金は本来「社会全体の利益」のために集めたお金です。それを「特定の個人の生活費」として直接あげるわけですから、毎日ギリギリで働いて税金を納めている国民からすれば、納得がいかない部分が出てくるのは当然なんです。
だからこそ、国は他の納税者(国民)を納得させるために、「徹底的に調べました。この人は本当に貯金もゼロで、親族にも頼れず、働くことも絶対に不可能な状態です。だから皆さんの税金で助けさせてください!」と、明確に説明できる証拠を突きつける必要があります。
もしこの「厳しい調査(ミーンズテスト)」が甘くて、実は働ける人や貯金がある人にみんなの税金を配ってしまったら、マジメに働いて税金を払っている国民がブチギレて、税金というシステム自体が崩壊してしまいます。
だから、税金で直接人を助ける仕組みには、絶対に「厳しい調査」と、それに伴う「心理的な引け目」がセットにならざるを得ないんです。
4. 「保険料」を払っているからこその最強の権利(拠出制)
税金で助けてもらうには、プライバシーを丸裸にされる厳しい調査が必要ですし、どうしても周囲の目や引け目を感じてしまいます。
でも、1つ目のネットである「社会保険(医療保険や年金など)」は全然違います。
皆さんが風邪を引いて病院に行き、健康保険証を出した時、窓口の受付の人に「あなた、本当に貯金ないんですか?親に医療費払ってもらえませんか?」なんて厳しい調査、絶対にされませんよね。
なぜなら、社会保険は税金ではなく、「拠出制(きょしゅつせい)」というルールで動いているからです。
拠出制とは、「自分でお金(保険料)を出している」ということ。
僕らは毎月の給料から、高い保険料を強制的に天引きされています。引かれる時は絶望しますが、この「自分でお金を払ってチケットを買っている」という事実こそが、いざという時に最強の武器に変わるんです。
もし大病を患った時、僕らは国に対してこう言えます。
「俺は毎月ちゃんと高い保険料を払ってきた『お客さん』なんだから、厳しい調査なんかナシで、ルール通りにきっちり3割負担で治療させろよ!」
そこに、「かわいそうだから助けてください」という卑屈さや、施しを受ける恥ずかしさは一切必要ありません。「払ったから、堂々と権利として受け取る」。このドライで強固な権利があるからこそ、僕らは気兼ねなく病院に行けるし、他人の目を気にせず制度を利用できるんです。
これこそが、日本が税金(生活保護)ではなく、保険料(社会保険)の方をメインの仕組みにしている最大の理由です。
5. ただし、この「最強パス」は完璧じゃない(裏の顔)
ここまで「拠出制」のメリットを語ってきましたが、手放しで「社会保障サイコー!」と絶賛するつもりは毛頭ありません。むしろ、この仕組み自体が今めちゃくちゃ批判を浴びていて、制度として限界を迎えつつあるのも事実です。
問題は大きく3つあります。
① 「元を取ろうとする」心理の暴走(モラルハザード)
「高い保険料を払ってるんだから、病院に行かないと損だ」という心理が働き、大して痛くもないのに毎日病院に通って湿布をもらいまくる(いわゆる病院のサロン化)といった「過剰利用」が起きています。これが医療費を無駄にパンクさせる原因の一つです。
② お金の流れが「ブラックボックス」
僕らから強制的に天引きした莫大なお金が、本当に無駄なく使われているのか?実はここには不透明な部分も多いです。複雑な制度を維持するための事務コストや、一部の既得権益(医療業界やシステム運用など)に無駄なお金が流れているのではないか、という批判は常に絶えません。
③ そもそも「ルール」が今の時代に合っていない
今の社会保険のルールは、右肩上がりで人口が増えていた昭和の時代に作られたものです。だから、「現役の若者が高い料金を払い、上の世代が安い料金で恩恵を受けまくる」という構図が今も残っています。
「いやいや、そもそもこのルールのままパスを使わせ続けるのはおかしいだろ!ぶっ壊すべきだ!」という若い世代の怒りは、完全に理にかなっています。
いかがでしたか?
社会保険は、僕らが堂々と生きるための「最強のフリーパス」であると同時に、「一部のズルや無駄遣いを許容してしまっている、古くてガタが来ているパス」でもあります。
これまで5回にわたって社会保障の「大きなお金と仕組み」のキホンをお話ししてきましたが、僕らが払っているお金の裏側には、まだまだ知っておくべきリアルな事実がたくさん隠れています。
次回からも、世の中のニュースの見え方が変わるようなお話をどんどんしていくので、お楽しみに!
えびちゃんより
【参考資料】
わかりやすい社会保障制度 改訂版 ~はじめて福祉に携わる人へ~
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