謎のおじさん
友達と出かけた帰りの電車。
3人掛けの席に友達と座り、ふっと正面を見ると、坊主頭のおじさんがこちらをチラチラ見ている。
右手には、何やら機械のようなものを握りしめていて、体を左右に少し揺らしながら、こちらを見る。
あれ……?
座れるけど、ここ優先座席やった。
しまった、怒られる……と思ったものの、チラチラこちらを見ながら隣に座ってきた。
あ、やばい。
ちょっとまずい人の隣になった💦
そう思ったけれど、一駅先で降りる予定だったので、友達のほうに少し体を寄せて座る。
なるべく見ないようにしていたのに、隣から視線を感じる。
そして、謎の合図。
親指を立てて、そのあと謎の機械を指し示す。
ん……?
よく見ると、機械らしきものは小型ラジオか無線のようなものが1台、2台。
そして一番下には、壊れてパカッと開いた機械。
中にはゴミのようなものが詰められていて、輪ゴムで止められていたような気がする。
いや、見たらあかん。
そう思って、そっと目線を逸らす。
すると今度は、少しこちらに被るようにして見てきて、何かを呟いている。
あ、やばい。
ロックオンされた。
でも、あの親指のサインは何なんだ。
気になる。
ものすごく気になる。
でも、見てはいけない。
そんなことを考えていると、一駅がやたら長い。
こんなときの時間は、どうしてあんなにゆっくり流れるのだろう。
そして、目的地に着くや否や、食い気味に友達と立ち上がり、さっと降りた。
「やばかったね……」
「何持ってたんやろ」
「席、動こうかと思ったわ」
そんなことを話しながら、やっぱり気になる。
「あの親指のサイン、なんやったんやろ」
すると、ほぼ同時に私たちの口から出た。
「……宇宙と交信?」
お盆だから、何かを呼んでいたのかもしれない。
いや、そんなことはないか。
本日は、お盆。
きっと目には見えないけれど、たくさんのご先祖様が帰ってきているのだろう。
そう考えたら、あのおじさんもきっと、見えない誰かと交信していたのだ。
そして、私にも交信してみるかと伝えてたのかもしれない。
……ということに、しておこう。
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