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氷河期世代、やりきれなさに脱力する

最近のニュース報道。
大卒初任給の給与が過去最高だとか、福利厚生が充実した企業が増えたとか…。

それらに関してインタビューを受ける学生達の意気揚々とした顔、企業を選ぶ側にある若者たちの余裕…。

生まれた時代が違うだけでこうも処遇が違ってくるものか、と虚しくなる。
隠しきれない嫉妬心…。


私の就職活動は就職氷河期の中でも超氷河期と言われた時代だった。


採用情報を見て履歴書やエントリーシートを送っても「諸事情により今年は採用を見合わせることになりました」という封書が企業から送られてくることは日常茶飯事。
説明会の案内からして国公立大やごく一部の私大男子学生以外は気持ちよいほどスルーする上場企業もあった。

市区町村の教員採用は親類縁者に現役教師がいる人くらいしか採用されなかったと聞く。
教員を目指していた大勢の優秀な同級生が嘆き苦しんでいた。

運良く企業の採用面接までたどり着いても頭に血が昇るほど失礼な圧迫面接をされることもあった。
しかし慣れとは凄いもので、あの時期は1日3社の面接をハシゴして、圧迫面接も「ハイハイそっち系ですか」と受け流せる強ハート人間だった。
(今じゃパートの面接を受けるのもプレッシャーで押しつぶされそうなのに…。)


そもそも既卒採用枠なんてものがなかったのだ。



とにかくどこかに就職しないと転職市場にも繰り出せない。
四大卒(Fランクではない)なのに高卒枠の公務員に応募する人の話も聞いたことがある。
ブラック企業にも沢山の学生が集まった。

就職できても先輩から椅子を蹴られたり叩かれたり、今ならパワハラやセクハラで訴えられそうな発言をされるのは、酷い話だが珍しくなかった。
私が聞いて一番驚いたのは、飲食系に就職した人がイラついた調理人から包丁を向けられたという話。
相手はからかっただけかもしれないが、命の危険を感じてすぐ辞めたそうな。
賢明な判断だったと思う。


今の学生が同じ時代に生まれていたらどんな風だったろう?


同級生のある人はフリーターになった。
ある人は海外にワーキングホリデーに行った。
ある人はわざと留年した。
ある人は…連絡が途絶え疎遠になった。


運良く就職できても同期が極端に少ない世代。
愚痴を言い、励まし合う仲間はおらず、早い段階で独り立ちせざるを得なかった。
有給は取りづらく、サービス残業も当たり前だった時代。
ドロップアウトした人も多いだろう。


なぜそんな境遇を甘んじて受け入れたのか?

それは上の世代も大変そうだったから、に他ならない。

学生時代、四大証券の一つだった山◯証券が倒産した。
黒縁メガネの社長が信じられないほど大泣きしながら「社員は悪くないんです!」とテレビで記者会見していた。
大企業が倒産するのだから中小企業は言わずもがな。
家族を養うおじさん達が企業からリストラされた。
おじさん達のなかで自殺する人が増えた。


私達学生は若い。
気力も体力もある。
養う家族もいない。
親もまだ現役で働いている。
若い時期の数年間くらいなんとかなる。

皆、理不尽を受け入れた。


しかし…
企業に既卒採用枠が出来たのは私が二十代も後半に差し掛かった頃。
氷河期世代だのロストジェネレーションだの世間が騒ぎだしたのは私が三十歳を過ぎた頃。
それまで皆が見て見ぬ振りしていた。
私達も今日明日の事で頭が一杯だった。


世間が騒ぎ出した頃
「何を今更?」
と白々しく思ったものだ。



その頃にはある人は家庭を持ち、ある人は派遣で食い繋ぎ、ある人は薄給の正社員にしがみついていた。
もちろん中には起業して成功した人や出世した人も多くいると思う。
しかし他の世代なら普通の暮らしができていた普通の人達が憂き目に遭ったように思う。


ネットでは氷河期世代を無能扱いする若い人のコメントもチラホラ…それらを見るたびに
「おいおい、氷河期の残酷さは君らの想像の上をいってたと思うよ」
「君らが考えてるスタートラインからそもそも違ってたんだよ」
と叫びたくなる。


今度は年金でも氷河期世代が憂き目に遭いそうだ。


なんだよこれ?無限サンドバッグ状態。
怒りを通り越して笑いが込み上げてくるんだわ。


もう過ぎたことを呪詛するのはやめた筈なのに…
桜咲くこの時期…
何不自由なく、むしろ恵まれた環境で社会人生活をスタートさせる人達を見ると、嫉妬と虚しさで体の芯から力が抜けてしまう。


ただそれでも、戦争を経験した世代に比べたらウンと幸せなのだと思う。
ご飯は食べられる。
ある程度の娯楽も楽しめる。

まぁ、それも怪しい昨今の世界情勢ではあるのだが。


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