プロ選手は「歯磨き」を何分するのか
一流アスリートの口腔ケア習慣について、正直に話します
「どのくらい歯を磨けばいいですか?」
この質問への正解は「2〜3分」とよく言われます。
でも私が一流選手に口腔ケアを指導するとき、時間よりも先に伝えることがあります。
「磨く時間より、磨けていない場所をなくすことの方が大事です」と。
時間より「質」が重要な理由
5分磨いていても、同じ場所だけを磨いていれば意味がありません。
逆に2分でも、磨きにくい場所を意識して丁寧に磨けば十分なケースがあります。
口腔内で最も虫歯・歯周病が起きやすい場所は、「磨きにくい場所」です。
歯と歯の間・歯と歯ぐきの境目・奥歯の溝。
ここをブラシが届いていない状態で何分磨いても、リスクは下がりません。
私が選手に最初に教えることは、自分の「磨き残しがちな場所」を知ることです。
一流選手の口腔ケアルーティン
私が関わっているアスリートの多くは、以下のルーティンを習慣にしています。
就寝前:最も重要なタイミング
夜の口腔ケアが最も重要です。
就寝中は唾液の分泌が減り、細菌が繁殖しやすくなります。
寝る前に歯をきれいな状態にしておくことで、睡眠中の細菌増殖を最小限に抑えられます。
歯ブラシ→歯間ブラシ(またはフロス)→うがい。
この順番を毎晩10〜15分かけて丁寧に行うことを習慣にしている選手が多いです。
起床後:細菌数が最多のタイミング
起床直後の口腔内は、一日で最も細菌数が多い状態です。
食事の前に軽くブラッシングと舌清掃を行うことで、細菌を飲み込むリスクを下げられます。
練習・試合後:スポーツドリンクの酸を中和
スポーツドリンクを摂取した後は、水で口をすすぐことを習慣にします。
酸が歯に触れている時間を短くするだけで、酸蝕症のリスクが大幅に下がります。
練習後すぐにブラッシングができる環境では、フッ素入り歯磨き粉での軽いブラッシングも有効です。
「歯磨きは何分すればいい?」より「どこが磨けていないか?」を知ることが先です。
自分の弱点を知ることが、口腔ケアを本当に機能させる第一歩です。
歯間ケアを省かない
多くの選手が省きがちなのが歯間ケアです。
歯ブラシだけでは歯間の汚れの約40%しか取れないと言われています。
歯間ブラシ・フロスをルーティンに加えることで、歯周病リスクが大幅に下がります。
「面倒くさい」という声は多いですが、一度習慣になれば2〜3分で終わります。
この小さな習慣が、シーズン中の歯ぐきの炎症を防ぎます。
歯科プロとしての正直な意見
「電動歯ブラシの方がいいですか?」と聞かれることがあります。
正しく使えばどちらでも変わりません。
使い慣れた道具で、磨き残しなく磨けることの方が大切です。
「ホワイトニングした方がいいですか?」も聞かれます。
歯の白さは審美的な問題で、口腔の健康とは別です。
歯周病・虫歯リスクがある状態でホワイトニングより先にすべきことがあります。
まとめ
・磨く時間より「磨けていない場所をなくすこと」が重要。自分の弱点を知ることが口腔ケアを機能させる第一歩。
・就寝前の口腔ケアが最重要。歯ブラシ+歯間ケアのセットを毎晩の習慣に。練習・試合後は水で口をすすぐだけでも効果がある。
・歯間ケアを省かないこと。歯ブラシだけでは歯間の汚れの約40%しか取れない。歯間ブラシ・フロスがシーズン中の歯ぐき炎症を防ぐ。
次回予告
次回は「矯正したくないと泣いた子が、半年後にありがとうと言った話」をお届けします。
よかったらまた読んでみてください。
▍著者プロフィール
白崎 俊(しらさき しゅん)
医療法人なないろ歯科・こども矯正歯科クリニック 理事長
香川・多度津医院 / なは・おもろまち医院 / 兵庫・芦屋医院 / 石垣・八重山諸島医院
専門:英語が学べるこども矯正 / MFT / スポーツ歯科 / インプラント
一流プロアスリート専属歯科医師
