事例 150(自己破産)-追記
なぜ森沢さんは「自己破産」を選んだのか
8社250万円・26歳女性が生活を立て直すために選んだ現実的な再出発
前編では、東京での一人暮らしの中で始まった小さな出費が、5年間で8社250万円の借金へと膨らみ、交際相手との関係悪化や体調不良が重なったことで、実家に戻るまで追い込まれた森沢さんの状況を紹介しました。
仕事も住む場所も失い、自分を責め続けていた時期を経て、母親の支えをきっかけに弁護士への相談を決意しました。
今回、森沢さんが選んだのは自己破産でした。
しかし、もし別の手続きを選んでいたら、本当に生活を立て直すことができたのでしょうか。
任意整理なら返済額を減らしながら支払う方法もあります。
個人再生なら借金を大きく圧縮できる可能性があります。
それぞれにメリットがありますが、大切なのは制度上できるかどうかだけではありません。
その人が今の生活状況で無理なく進められるかという点です。
森沢さんの場合、体調・収入・借入状況を総合的に確認した結果、返済を続けることよりも、一度生活を立て直すことを優先する選択が必要でした。
ここでは、各手続きを比較しながら、なぜ自己破産という判断になったのかを整理します。
借入総額 8件 250万円
手続き 支払総額
任意整理 49,500円×8社+元金250万円=2,896,000円
自己破産(同時廃止) 495,000円
自己破産(管財) 805,000円(605,000円+管財費用200,000円)
個人再生 715,000円+1,000,000円
個人再生(住宅ローン付) 825,000円+1,000,000円
同じ借金でも、選択によって支払総額に大きな差が出ることが分かります。
生活状況から見た現実性
手続き 本事例の場合
任意整理 ❌ 体調不良・収入不安定で、毎月の返済継続が難しい
自己破産(同時廃止) ⭕ 財産がなく、返済不能状態で適した選択肢
自己破産(管財) △ 財産状況によっては必要になる可能性がある
個人再生 ❌ 継続した収入が必要で、当時の状況では負担が大きい
個人再生(住宅ローン付) ❌ 住宅ローン付き不動産がなく対象外
森沢さんの場合、26歳という年齢や今後の生活再建を考えると、無理に返済を続けるよりも、まず体調を整えて生活基盤を作り直すことが重要でした。
生活への影響と事務所判断
手続き 判断ポイント
任意整理 返済を続けながら整理する方法。安定収入がある人向き
自己破産 一定の財産を除き借金の免責を目指し、再スタートを図る制度
管財事件 財産調査などが必要になる場合があり、費用や期間の負担が増える
個人再生 継続的な収入を前提に借金を圧縮して返済する制度
住宅ローン付再生 住宅を維持しながら再生するための条件確認が必要
事務所として森沢さんに自己破産を勧めた理由は、単純に借金額だけで判断したものではありません。
一番重視したのは、このまま返済を続けた場合に、再び生活が行き詰まらないかという点でした。
森沢さんは相談時点で仕事を失い、実家で生活をしていました。
借入額は250万円でしたが、問題は金額だけではありませんでした。
返済はすでに3カ月遅れており、体調も安定していない状態でした。
任意整理を選択した場合、将来的には約250万円の元金を分割で返済していく必要があります。
収入が回復していれば選択肢になりますが、当時の森沢さんにとっては、返済への不安が再び精神的な負担になる可能性がありました。
個人再生についても、借金を減額できる可能性はありますが、継続的な収入が必要です。
まずは生活と体調を整える段階にいる森沢さんにとって、返済を前提とした制度よりも、借金問題を一度整理して再出発することが優先されました。
自己破産は、借金をした経緯だけで判断されるものではありません。
現在の生活状況、返済能力、今後の再建可能性を踏まえて判断されます。
森沢さんの場合、借金を抱えた背景には精神的な不調や生活環境の変化がありました。
その経緯を責めるのではなく、これからどう生活を立て直すかを考えることが必要でした。
実際の支払いイメージ
自己破産(同時廃止)の手続きを進める場合
弁護士費用
495,000円
現在の収入状況に合わせて、月40,000円の積立を行いながら手続きを進めました。
手続き完了後、免責が認められれば8社250万円の返済義務はなくなります。
返済に追われる生活から離れ、体調回復と生活再建に集中できる環境を整えることになります。
大切なポイント!!
弁護士は、あなたの代理人として
ご本人では難しい交渉や手続きを支援します。
ただし、任せきりで何もしなくても解決するものではありません。
一緒に協力して進めることで、はじめて状況は改善していきます。
アース法律事務所では、借金の金額だけではなく、その背景や現在の生活状況を確認したうえで、どの方法が現実的なのかを一緒に整理しています。
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