Photo by
turara_note___
手洗いマークに思いを込めて(人生は洗濯の連続)【毎週ショートショートnote】
人は人生の転機にクリーニングハウスへやってくる。
これは亡き祖母が私に残した言葉だ。
古めかしく早くも安くもない、このクリーニングハウスには、不思議と客が途絶えない。
みんな汚れものだったり、一張羅だったり、故人のお気に入りの洋服を大事そうに持ってくる。
私が祖母から教えられたのは洗濯技術もそうだが、洋服達にささやかな魔法をかけることだった。
彼女へのプロポーズに奮発したスーツを持ち込んだ青年には、とびっきり丁寧に洗濯し、少しだけ背中を押す魔法をスーツにかけた。
彼はその後、可愛らしい女性と2人で来るようになった。
亡き夫が着ていたコートを持ち込んだ老婦人には、優しく何度も手洗いをして、面影を強く感じられるような魔法をコートにかけた。
その後、「いつも一緒だよ」と夫が夢の中で言っていたと、彼女は教えてくれた。今度は帽子を持ち込んで。
きちんと洗濯し本来の価値を出す、それがちょっとだけ人生を良くする秘訣さ、と亡き祖母が笑った気がした。
<所感>
昔、「おひさま」という児童雑誌を買ってもらっていて、その中の「ファンファンファーマシー」という作品が好きでした。化粧が濃くて明るくて元気なおばちゃん魔女がやっている薬局の話です。読むといつも元気になりました。ふとそんなことを思い出しました。
以下の企画に参加しました。いつもお世話になります。
