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【すっぱいチェリーたち🍒】スピンオフ田中真人編#39

あんたも誰かの企画に乗っかって何か書くことってあるかい?

今回もこの企画に乗っかってみようかね。

企画ページ本体はこっち。今回で俺のは最終話かな。

前回のはコレ。
圭子と真人と宇利の危機の物語。

で俺の持ちキャラはこいつ。
CV:大塚明夫を想像しながら読むと腹がよじれると評判w


今回も息子の真人視点の物語だ。
真人はCV:梶裕貴で読んでみてくれよな。


盛男

土煙が収まった頃、高校生の彼が俺たちの方に駆け寄ってきた。
「大丈夫か?」
「圭子は無事だった。ありがとう」
素直に感謝の気持ちを伝える。
「圭子もだけれどあんただ!無茶しやがって」
ああ、圭子もいい友人に恵まれているみたいだ。
自分も命の危険にさらされたのに、まず周りにいるヒトを気に掛けるってのは当たり前のように見えて、なかなか出来ることじゃない。

しかしこのギプス。
さっさと取れてくれないかな。
俺は二人を一緒に抱きしめたい衝動にかられていた。
だから俺は頭を垂れる。
「ありがとう」
男子高校生は言う。
「な、何が?」
「俺を助けてくれた。そしてなにより君自身が助かってくれた。俺はもう誰かを失いたくなかった。そんな俺のエゴに答えてくれた」

男子高校生は頭の周りに?を飛び交わしている。

圭子が言った。
「友だちになろうよってことよ」
男子高校生はハッとした表情をする。
「もちろん」
即答する男子高校生。
「俺は田中真人。田中だと他のヒトとまざっちまうから真人で呼んでくれ」
「俺は宇利盛男。俺も盛男でいい」
「分かったよ盛男」
少しうつむいて盛男が言う。
「真人、もう少しあんたの価値ってのを考えたほうが良いぜ」
盛男は俺の目を見て言う。
「少なくとも、真人がいなくなったら泣くやつが目の前に一人増えたんだからな」

結婚届

そのまま盛男は歩いていった。
ホント丈夫なんだなぁ。

「なあ、圭子」
「なに?」
「明日、俺もらってくるよ」
「何を?」
「結婚届」
一瞬圭子は目を見開いて答えた。
「うん」
「保証人は父さんと圭子のお父さんかな」
「うん」
圭子は嬉しさというよりも覚悟を決める表情を浮かべる。
そうなんだよな。
結婚ってのは自分たち以外のヒトを巻き込むものなんだよな。
改めてそのことを肝に銘じた。

翌日

俺は所管の役所に結婚届の用紙を取りに行った。
用紙はあっけないほど普通に渡される。
そのまま俺は家に戻って自分の印鑑と署名を記載した。

署名を書く瞬間に手が震えた。
怖いのか?俺は。
自分に問いただす。
怖くないと言ったら嘘になる。
そう思った。
俺はこれで勝手に死ぬことが出来なくなる。
俺は貧弱だ。
暴漢に襲われたらそれこそひとたまりもないだろう。

それが意味することは何か。
俺は俺の正義という俺一人の思いでは行動出来なくなるってことだ。
それは俺が圭子の愛してくれる俺でなくなるってことじゃないのか?

ぐるぐると思考が回り続ける。
でも当然のように答えにたどり着かない。
俺は自分の貧弱さに絶望していた。

どれだけ時が経ったのだろう。
父さんが帰ってきた。

「ただいまぁ」
いつも通りのくたびれた挨拶が部屋にこだまする。
「おかえり」
俺もくたびれた返事を返す。

テーブルの上に置かれた婚姻届を見て父さんが言う。
「おお、そうか。なら保証人にサインしないとな」
そういってサラサラとサインを書く。

「父さん、俺……」
「怖いんだろ?」
まるで心を見透かされているみたいだ。
「そりゃ怖いさ。結婚ってなったらとたんに利害関係者が増える。だからいったろ?『二人で考えろ』って」

息をするがごとくの自然さで父さんが言う。
俺がこの境地に至るにはどれだけかかるんだろう。

「これを明日、圭子の家に持っていくよ」
それが俺が今言える言葉だった。

圭子

翌日の夕方。
俺は圭子に合う約束をした。

圭子はいつもどおり約束の時間の10分前にはいた。
きっと俺が15分前にいるようにしたら、20分前に来るようにしちまうんだろう。
「お待たせ」
「待ってないよ」
いつものやり取りがかわされる。

「役所に行って婚姻届もらってきた。俺と保証人一人目の父さんの署名をもらってある」
そう言って封筒を渡す。
「わかった」
「日付は空欄にしてある。圭子が卒業するのを待たないといけないから」
「私は今すぐでも良いんだよ?」
そう圭子が言う。
「ダメだ。これは俺の身勝手なんだと思う。でもダメだ。俺は圭子にキチンと社会人になってほしいんだ」
俺は苦虫を噛み潰すように言う。
「正直俺は弱い。いや、腕っぷしの話じゃない。この社会の荒波の中で圭子を守る自信がないんだ」
「『二人で』でしょ?」
圭子が即答する。
「真人のお父さんと話したて思ったことがあったんだ。ちゃんと二人で将来を考えてくれって言ってた」
まったく、父さん。
おせっかいが過ぎるぜ。
「そうだな。二人で考えよう。どうするのが一番良いのか」
「うん」

その翌日。
圭子の署名と圭子のお父さんの署名の入った婚姻届を圭子から見せられた。
届出日は空欄のままで。

その婚姻届を見せながら圭子は言った。

「後は私たちの覚悟の話だよ」

俺は圭子の手を取る。
「証明してみせるさ。俺たち二人で」

結婚届の入った封筒を受け取る。

その日、俺たちは人生最大のギャンブルにベットした。

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参考にした話

#すっぱいチェリーたち
#歌えないオッサンのバラッド

これが真人編のフィナーレ。
二人の覚悟の物語。
希望という何かを持ち続ける覚悟の物語。

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