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『月刊DiGG』4月号 -HIPHOP30曲を一挙レビュー('21/4/1〜4/30)-

Twitterにて、毎日HIPHOPのレビューを書いているドラム師匠です。

アーティストの情報や曲に対する思いは、1ツイートで収まる訳ないので、記事にしたました。'21年4月公開のMV30本をドドンと紹介します。この時代ならではの空気感を時間軸でパッケージしました。

▶︎HIPHOPのイケてる曲を、効率よく教えて欲しい
▶︎ぽっかり空いた心の穴を何かで埋めたい

なんて方にオススメです。マスクしないと外出できない鬱陶しい日が続きますが、音楽の力で乗り切りましょう。記事と連動したプレイリストも作ったので、連続またはシャッフルして聴いてください。お気に入りの曲が見つかりますように。


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1|DJ RYOW / kill shit men feat. dodo|

2021/4/1 公開

名古屋を拠点に活動するDJ RYOWが立ち上げたレベール・Dream Team Music 。2021年3月24日にリリースされた通算12枚目となるリーダーアルバム「Still Dreamin‘」は、総勢20組のアーティストが参加した豪華な内容だ。

その豪華さの象徴として、前回公開されたMV「NEVER CHANGE」はAI、AK-69、般若を客演に迎え重厚感ある仕上がりだった。

今回紹介する「kill shit men」はdodoを客演に迎え、小品ながらキラリと光る曲。DJ RYOWの地元が名古屋ということで、リリックに"きしめん"を登場させる。わずかな隙間時間に麺をすすり込むような余裕のなさや、バタバタとした慌ただしさが感じられる。

「ゆで卵とコーヒー」「ボンビー」「一円」などマッッチョなHIPHOPのイメージとは180℃違う生活感がにじみでるワードが、浮遊感あるメロディと合わさり切なさが増す。しみったれた現状をユーモアで笑い飛ばし、夢への思いを淡く表現するのは、何ともdodoらしい。



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2|VANDARUDE PRESENTS / ろくでなしBLUES feat. IMUHA BLACK & DOGMA(Prod. CEASE FLEMMI)|

2021/04/01 公開

のっけからダークな低音ボイスに心を奪われる。声の主は、埼玉、東京を中心に活動しており、クルーTHE ANTHEMの中心人物である IMUHA BLACK だ。

彼はミュージックカルチャーに特化したアメリカンフードの飲食店"JAMES"を埼玉で営み、盟友であるVANDARUDEとは東京・板橋で"GuuNeeds"というオシャレな飲食店を共同経営している間柄。

「窮屈でしょ ネクタイスーツで
 月締め手取りが25? すいません
 こちらはスウェットパンツで月100」


サラリーマンを挑発するリリック。「Ghetto(※スラム街などの貧困地区のこと)でゲットしたらばらまけ」と危険な香りをプンプンと漂わせる。

Verse2を担うのは、MC漢とのケジメをつけるため 鎖GROUP を離れることになった DOGMA 。蛇に睨まれた時のように背筋が凍るラップは、彼にしか出せない凄みがある。任侠映画に出演してもおかしくない決め台詞もあり、MVの昭和レトロなロケーションも雰囲気を盛り上げる。


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3|HARDY / 冷たい街|

2021/04/03 公開

第14回『BAZOOKA!!!高校生RAP選手権』優勝し、その後も数多くのMCバトル大会で名を馳せる大阪・西成出身で20才のラッパー HARDY 。

明るいキャラクターと野性味にあふれた威勢のよさが特徴的。アッパーで力強い楽曲が多いのかと思いきや、「YeLLy / Flight ft. HARDY」では寂しげで揺らぎあるメロディを歌っている。

この曲は、エモラップに影響を与えた Shiloh Dynasty を連想させる、寂しげなアコースティクギターの弾き語りをサンプリング。パブリックイメージとは異なる心の内側がつづられている。

「元気そうな見た目 でもどこか凍えてる
 そんな人が溢れてる これじゃ街も隠せね」

誰かのことを想い語りかけているようなリリックだが、かつての自分に語りかけているようだ。解釈の幅が拡がるリリックが余韻となって心に残る。知名度や露出と比べるとリリースの少ないHARDY。もっと彼の曲が聴きたくなった。

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4|金勝山 / STAP (Prod.by MAHBIE)|

2021/04/03 公開

2014年に娘を亡くしラッパーから会社員へ。2018年に活動を再開したという壮絶な過去を持つ埼玉のラッパー・金勝山(キンショウザン) 。

ベースがなく、ラテン調の物悲しいギターだけが鳴るという珍しい構成のトラック。これは「Space Brothers feat. 田我流 & Bobby Bellwood」で注目を集めた自称ビートレスラー / DJの MAHBIE が手がけたものだ。

2020年5月5日にリリースされた金勝山の1st EP『ZERO』でもMAHBIEが全曲プロデュースしている。

2025年、鬱積した国内情勢が生み出した1人のテロリストが主人公。ネットからマスメディアまでをハッキングし、ピストルを片手に首相官邸を目指すストーリー。

押韻を多用し、ぽつりぽつりを語りかけるフローは、映画のナレーションのようであり、スリリングな緊張感を保ったままクライマックスへと向かっていく。

YOUNG CHILDによる映像は、出演者それぞれが思惑をはらんでおり、映画 になってもおかしくない程ミステリアスなストーリー仕立てになっている。

テレビ朝日『ミュージックステーション』でKREVAのバックダンサーも務めたこともあるダンサー Eri Yamamoto が狂気じみた世界の中でひときわ美しい。刃物についた血と涙は何を意味するのだろうか…

2発の銃声が脳にこびりつく。

「本当の俺のみぞ知る、、、I STAP」


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5|Key-M / 武士は食わねど高楊枝(Prod.呼煙魔)|

2021/04/04 公開

大阪府茨木市を代表するクルーJiggyRoseDogs の中心人物 Key-M 。クルーのEP『JiggyRoseDogs』の時から「冷輪」「茨切」といった漢字を用いた造語をタイトルにしたり、琴や尺八といった和楽器をサンプリングした曲を作り、日本文化への並々ならぬこだわりを見せていた。

言い換えるなら、日本人にしか作れないHIPHOPを追求する志の高さを感じるアーティストである。

今回、ビートメーカー 呼煙魔 とのダブルネイムアルバム『BLACK TAPE』を2021年4月2日にリリースし、その日本らしさをさらに追求したアルバムとなっている。

この曲はとにかくサンプリングの使い方が面白い。昭和の映画とおぼしきサンプリングは高度成長期まっただ中のがむしゃらな日本を連想させる。それはこの国が最も夢と希望に満ちていた時期であり、同時に公害など多くの闇を生み出した時期でもあった。

Key-Mは、そんなカオスさを背負いながら、ラッパーとして自分と闘っている姿を、武士の生き様と重ねラップしている。彼の後ろには日の丸が見えてくる。本当のオリジナリティは、この意識の高さから生まれる気がしてならない。

「鳥居が誘うこの国は神聖
 その土地から放つ言葉は新鮮」


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6|SWake / SWake Vs Evil Extended|

2021/04/06 公開

狂気!狂倚!凶器!

可愛らしい人形チャッキーが、鬼の形相になり、包丁を片手に猛烈な勢いで襲ってくる。ホラー映画の名作「Child's Play」のテーマでラップをするラッパー SWake

音楽をジャンル分けするならホラーコアに分類されるのであろうが、それですらない。長年にわたり心の奥底にたまった膿が、ヘドロのようにドロドロになり言葉に変換したような強烈な怨を感じる曲。

喉をつぶすような歌唱で闇を表現するかと思いきや、「やめてくれ それは俺であって俺じゃねえ」ともう1人の人格が現れて葛藤を描く。

そして、そんな葛藤すら嘲笑い、さらなる狂気を感じずにはいられない。

SWakeは、2021年4月7日に1st Mixtape『E.V.I.L.』を発表。ここでもいくつも声色を使いわけラップしている。彼が非凡なる表現者であることを確認して欲しい。



▼さらに深堀り

このMVを制作したのは、今やアンダーグランドシーンでは欠かせない映像作家となった奇才・天使弾道ミサイル 。

BNKR街道、8cloudbroz、SILENT KILLA JOINTといったHIPHOP勢だけでなく、ハードコアなロックのMVも手がけている。今、目を背けたくなるような狂気を描かせたら彼の右に出る者はいないだろう。「SWake Vs Evil Extended」では、手を生き物のように演技させる演出が秀逸で、色気すらも感じる。

このMVのメイキングをTwitterでリプライしてくれたので、皆さんにもお裾分け。狂気を描く撮影現場はめちゃくちゃ楽しそう。天使弾道ミサイルの映像が人をひきつける理由が少しわかった。

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7|TARO / Tokyo|

2021/04/06 公開

播州太郎を名乗っていた男は、アーティスト名をTAROに変えた。かつての名前から分かる通り兵庫県加古川の出身で、現在は東京で活動している。

プロフィールにはこう書かれている。

プロフィールに書けるような
輝かしい実績、経験なし!!
だからこっからは なんでもありーの
その日暮らしレペゼン。

長渕剛が"花の都大東京"と歌ったように、多くの人が夢を求めてやってきては、夢破れて去っていく街。TAROは去りゆく人を見送りながら、自分はこのままでは終わらないと退路を断つ。

「そんな生活に満足できるか クソッタレ
 田舎もんが東京 今に見とけ東京」

関西弁を多用したリリック、レゲエテイストを取り入れたフローで東京を語る違和感があるから耳に残る。シンセ音が大胆にうねるフックに合わせ、言葉のスピードがさらに上がる。スムーズすぎる早口は、日を重ねるごとに結果が求められ、ハードルが上がっていくTAROの焦燥感を表しているようだ。1982年生まれという年齢は、否が応でも哀愁を誘う。


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8|梅田サイファー / 無敵ライクセブンティーン(prod. by Cosaqu)|

2021/04/07 公開

TVにも頻繁に登場し、今やお茶の間にまで知られる存在となった Creepy Nuts のR-指定 。

彼の原点と言える場所は、大阪・梅田の歩道橋で夜な夜な行われていたサイファーにあった。そんなラップが好きでたまらない男たちが集ううちに、自然に、いや必然的に結成されたコレクティブ・梅田サイファー 。

彼らの4thアルバム『ビッグジャンボジェット』が2021年4月21日にリリースされた。アルバム全体を通して、大阪人らしい親やすさとサービス精神に満ちあふれた内容となっている。

そのアルバム中で、時折シリアスな表情を見せる曲がある。MVにもなった「HEADSHOT pt.2」と今回紹介する「無敵ライクセブンティーン」だ。

無知で、向こう見ずで、何にでもなれると希望に溢れていた17才の時分。身体にため込んだエネルギーをラップで発散した当時を思い出し、初心を忘れぬよう歌にした曲。

テークエム の歌うHOOKは、カゴから放たれた鳥が羽ばたいているかのよう。伸びやかで、どこまでも飛んでいきそうな勢いがあっていい。

コンビニでずっと話してた
「やっぱ俺ら最強やんな」
最強のままここまできた
my soul 無敵like 17


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9|SIMON , YMG / TRY|

2021/04/09 公開

あの SIMON が帰ってきた!

1982年、南米ボリビアでボリビア人の父と日本人の母の元に生まれ、2歳から東京で育つ。2006年のデビュー以来、4枚のアルバムをドロップしたほか、数々の客演で存在感を示したラッパーだ。

だが、2016年の4thアルバム『03』をリリース以降、パタリとシーンから姿を消す。LDH若手への作詞提供をしていたものの、表舞台からの引退もささやかれていた。

そんな矢先、2020年08月05日にMV「どうってことねぇ」、EP『TRY』を2021年2月24日にリリースする。EPはこんなフレーズで幕を開ける。

「ありがとう ありがとう
 待っててくれたやつ ありがとう
 まだ返せてねえ借りがあるよ
 だから一発返しにきた」

楽曲「Salud」より一部抜粋

そして、この曲「TRY」は自身のキャリアを、節目節目で影響を受けたアーティストをネイムドロップしながら振り返っている。もう一度、初心に戻るという意味があり、活動が止まってしまった理由も告白。

それを踏まえた上で、挫けても何度もやり直すことの大切さ伝えている。

ネイムドロップしたアーティストが次々とMVに出演していることからも、SIMONが待ち望まれていたことが分かる。この人懐こい声はやっぱり魅力的だと改めて。



▼さらに深堀り

リリックで語られていたHIPHOP雑誌『BLAST』2007年5月の最終号の表紙。当時、情報の少なかったヘッズ達は、かじりつく様にこの雑誌を読み漁っていた。カルチャーだけでなく、韻を踏むといったリリックの文学性も伝えていた。当時、SIMONがいかに期待されていたかが分かる。

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10|RAq / Therefore I Am(Freestyle)|

2021/04/10 公開

2020年11月に発表されたビリー・アイリッシュの「Therefore I Am」を、東大卒のラッパー RAq がビートジャックした曲。

タイトルの「Therefore I Am」は、フランスの哲学者・デカルトの名言"我ゆえに我あり"という意味だ。原曲は、アメリカ大統領選の投票前に発表されたもので、トランプ政権を批判した内容だと言われている。

ラッパーRAqは、韓国人ラッパー SKOLORとのダブルネイムEP『Sketch』を2021年3月14日にリリースしたばかり。EPは、春らしい健やかな風が吹き抜けるような内容だったが、この曲では原曲同様ダウナーなトーンでラップしている。

途中で挿入されるのは、現在MVが1億2千万回以上再生され、大きなセンセーションを巻き起こしている Ado 「うっせいわ」のワンフレーズ。それを「you said what?」と韻を踏んでいて渋い。RAqの新たな魅力を感じられる作品になっている。


⬇︎こちらでフリースタイルのアカペラがダウンロードできる

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11|Gucci Prince & Spada-Intro.(Prod. ascii)|

2021/04/10 公開

まばゆい笑顔とフレッシュさを放ち、鮮烈なデビューを飾った Normcore Boyz が、2021年3月をもって活動休止すると発表された。

公式には「メンバー間での方向性の違いが、大きな要因」とアナウンスされた。ただ公式発表前に Spada がインスタライブで、「自分の仲間という価値観の中で、してはいけない事を彼らにされた」と語り、話し合いの場を設けようと動いた Gucci Prince さえも連絡がつかない状況になっており、グループの脱退の意向を表明していた。


このような終焉を誰が想像しただろうか?

そんな不穏は空気を表現に変えて曲にすべく、早くも動き出した2人は、2021年4月6日にEP『Flatts』をリリースする。

怒りに満ちたGucci Princeは、リミッターを解除し雄叫びをあげる。彼のリリックを追えば、Spadaが受けた被害がどのようなものか想像がつくだろう。対するSpadaは自分の表現をさらに磨こうと、音楽に集中していることがわかる。純度の高いラップは、よどみなく言葉が発せられていて崇高さすら感じられる。


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12|Luiz Alves / feel so bad(Prod. tennis player)|

2021/04/11 公開

東京都新宿区生まれ、ブラジル人の両親を持つラッパー・Luiz Alves (ルイス アウヴィス)。「高校生ラップ選手権」で名を馳せた後も、数々のMCバトルに出場。また真ADRENALINE​を主催者であるラッパー・ACE の弟としても有名だ。

この曲は、2021年4月下旬に配信予定のEP『Love It Rabbit』からの先行シングル。(※執筆時には配信されておらず、発表が待たれる)

「feel so bad」のタイトル通り、君との愛を失った失恋ソング。言葉数は決して多くなく、力強い歌声から2人に起きたドラマを想像してしまう。表情から気持ちを推測するドラマを見ているかのようだ。

黒兎 black rabbitが何を意味しているのか、月を見ながらウサギの影を追いかけてみる。


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13|S.L.N.M / 疑音|

2021/04/14 公開

いい意味での居心地の悪さは、新しい何かが創造されている証拠。

インダストリアル、メタル、ガバ、ノイズなどあらゆるジャンルを取り入れたオルタナティブヒップホップバンド・S.L.N.M (サルノメ)。

メンバーは、ユキテロ(空きっ腹に酒)、(memento森)、にゃおみ(MiMy)から成る3MCsと、ビートメイカーShin Wada (UZMK/iLU)からなる4人で構成されている。

ヒステリックに神経を逆撫でる破壊的なトラックと急き立てるラップ。にゃおみによるHOOKは、EGO-WRAPPIN'に通じるプリミティブな強さと、妖艶さを感じる。

ギリギリのバランスを保っていた曲も、全てを焼き尽くすように、最後はノイジーに絶叫して終わりを迎える。このバンドが行き着く先はどこなのか。カオスなまま走りづつけて欲しい。



⬇︎1st EP「猿ノ目」のリリックがドロップボックスで公開されている


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14|Aina.×sleeep! / Decay 【ザ・ドリームマッチ -化学反応編- vol.6】|

2021/04/15 公開

ザ・ドリームマッチとは…
音源やりたい人が集まりくじ引きでランダムでペアを作って
決められた期間以内に楽曲制作をし勝負するという企画。
ここでしか見れない即席クルーや、全然違う音楽性の2人がペアを組むことによって起きる〝化学反応〟
それが今企画の趣旨です。


SYOSHINSYA FARMが主催し、これまで数々の名曲を生み出してきたザ・ドリームマッチの第6弾エントリー曲。

Aina. は繊細な歌声で、切なげなメロディを得意とするシンガー。

sleeep!は、albini in motelとのユニット・Dodge Celeronのメンバーで、プロデューサー兼シンガーソングライター。Hiphopサウンドをベースとしつつ、ジャンルの垣根を超えた音作りで独自の世界観を表現している。

失恋を歌ったHOOKでは
「居ない」「要らない」「痛い」「痛い」
と韻を踏んでいる。
何気に使う言葉なのに、それらが集められた時の言葉の鋭利さに
改めて気付かされる。

sleeep!は相手目線から君がいない心情を歌っている。

「互いの理想押し付けあってもいいことないよ」

と噛み合わなかった2人の別れは必然だったことが分かり、余計に切なくなる。初コラボならではの2人微妙な距離感も、曲のテーマにマッチしていて良い。



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15|ErrDali / Gray Boi feat.Sol|

2021/04/16 公開

Errdali(エリダリ)は大阪出身のラッパーで、'20年8月に6曲入りのEP『AI.AM』をリリースしている。

7 o'c call call call
6 o'c lone lone lone
5 4 no no no
My shadow is gone gone gone

この言葉運びの軽快さに注目してほしい。
韻を踏んだ言葉の三連打、さらに数字をカウントすることで生まれる期待感。裏腹なネガティブさ。

続くリリックに理由がつづられている。

「まだErr Daliとしての血が足りない」

アーティストとしての自分に腹を立て、自分の曲で背中を押す。自らをGray Boiと評し、曇り空のような薄暗い気持ちを表現すると同時に、白と黒でもない中途半端さも表しているようだ。

己と向き合ったからこそ、自分の強みである軽快なメロディを強調した曲ができたのではないだろうか。ここからの活躍を期待せずにいられない。


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16|Montana Joe Carter / KINOPI / YB FEAT YOUNG BOY |

2021/04/17 公開

西東京エリアを活動拠点とする Montana Joe Carter 。以前にはRAU DEFやPablo Blastaの楽曲に客演参加している実力派ラッパーだ。


「あいつらより倍の倍の倍に
ヤバいんじゃないかって思ってる」

上記のリリックを見てもらえればわかる通り、言葉をリフレインさせてリズムに乗せるのが秀逸。低音ボイスで、曲調もダークだから目立たないが、言葉を小刻みに刻んでおり、しかもぞれぞれを小気味よくバウンスさせている。トラックもパーカッシブだから、胸が弾む。

深い深い夜の時間に、大人だけが楽しめるダンスミュージック。


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17|スペクタクル,公家バイブス,Elephant一星 / One Day(Prod. ギロチン)|

2021/04/19 公開

生まれも年齢も不揃いな大阪のHIPHOP集団・十三不塔(SEE SAN PU TOU)に所属する3MCがVerseを蹴った作品。

まだ開いてないまぶたに容赦なく陽が降りそそぐ。そんなある日の1日を、バトンを受け継ぐようにマイクリレーする。

朝、まぶたを開けて活動を開始する スペクタクル
夕暮れ時の切なさと共に、つぶった目をこじ開ける 公家バイブス
夜、仲間と家族への感謝を忘れないよう思い出しつつ、まぶたを閉じるElephant一星

スペクタクルが得意とするメロディアスなフローは、幼き頃どこかで聴いたような気がして、匂いと共に記憶を蘇らせる。あの頃から一体何枚のカレンダーをめくったのだろう。

そしてこの曲の温もりを胸に、明日へとバトンを繋いでいく…


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18|DRAGON P / CREATE feat. 茂千代(Prod. MoneyJah)|

2021/04/20 公開

情熱が染み付いたホーンセクションが開放的な気分にさせてくれる。KojoeやTha Jointzに楽曲を提供するビートメーカー MoneyJah によるファンキーなトラック。

大阪堀江からスモーキーなビートを送り続けるレーベル・YELLOW DRAGONは、Money Jahとラッパーの DRAGON P が中心になって運営されている。"DRAGON P & MONEY JAH"名義でアルバム『YELLOW DRAGON』を2015年8月にリリースするほどキャリアが長い2人。

そんな彼らよりも、はるかにキャリアが長い1990年代に"DESPERADO"の一員として活動し、今や大阪のレジェンドして一目を置かれるラッパー 茂千代 を客演に迎えている。

音楽と共に生活ができている喜びを、荒々しくも丁寧に韻を重ねるVerse1のDRAGON P。
アーティストとして活動を続ける喜びも苦しみも感じながら、それでも歩みやめないVerse2の茂千代。声の年輪が言葉に程よい重みを与え、説得力に変えている。

キャリアにあぐらをかかず、まだまだ餓えを感じているが故に、ストリート感は錆び付いていない。HOOKにリリックに偽りはない。

「クソみたいに楽しい言うてCREATE
 鬼のようにおもろい言うて
CREATE
 好きで好きでしゃーない言うて
CREATE
 ヒップホップ ALL DAY  EVERYDAY」

2021 coming sooooon
"POWER PLANTS"12inch vinyl
DRAGON P



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19|SILENT KILLA JOINT & dhrma / Smoke Mo|

2021/04/20 公開

大麻は日本では、古来より繊維として使用され、七味唐辛子の原料になるほど生活に根付いていたものであったが、戦後のアメリカGHQの政策により所持の禁止となった。

自らの価値観を強引に押し付けたのはアメリカにも関わらず、ニューヨーク、ハワイなど州によって医療大麻だけでなく嗜好用大麻までもが承認されるなど、カナダを皮切りに世界的に解禁の流れにある。


なのに日本ではラッパーをはじめ芸能人が所持で逮捕が相次ぎ、マスコミがこぞって悪者扱いする。舐達麻が逮捕されたのも2021年4月の話だ。しかし若い人は肌感覚で感じている

それって時代錯誤なんじゃない?と

モヤモヤした気持ちを、代弁してくれるのがこの曲だ。

警察と会話をしているような SILENT KILLA JOINT のラップは、関西弁が親しみやすさと独特の粘り気を生んでいる。彼は、様々なドラッグを使用した体験や、周囲でハマった人がどうなったかを見てきた経験を、YouTubeチャンネル・POLINKEY MOVIE で種類ごとに語っている。

そんな彼だからこそ、大麻についての見解が説得力を持つ。

「もうまた鬱陶しいな
 ポリスは何にも分かってへんな
 悪いもんちゃうって言ってるずっと
 俺が嘘いうて誰得すんの」


使用についても法律で禁止しようという議論もあり、世界の潮流と逆行しようとしている。ほんまに誰得すんの?

タバコやアルコール飲料と比較して本当に悪いものなのか、イメージで語るのではなく、冷静な議論をして欲しい。


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20|LibeRty Doggs / 0→420|

2021/04/20 公開

Creepy Nutsがパーソナリティを務める「オールナイトニッポン0(ZERO)」で曲紹介され、2021年4月24日にCreepy Nutsが主催するイベント「日本語ラップ紹介ライブ in 日比谷野音」で、ライムスター、般若に交じって大抜擢された LibeRty Doggs(リバティドッグス)。

神奈川県大船市を拠点に活動し、 Cannabi$OZZaNormarbabe bonitowillone の5MCを中心にビートメイカー、デザイナー、映像ディレクターなど合計30名程が在籍するクリエイター集団だ。

日比谷野音のLiveでは、R-指定から「おのおのが特徴的かつヤンチャなんですよ。なのに人懐っこい。そこが魅力だと思ってます」との言葉を受けてステージに登場し、熱気あるステージを繰り広げ話題となる。

彼らのアルバム『LibeRty City StoRies』に収録された楽曲「0→420」は、ギラついた野心に満ちた作品。音程をあえて不安定に揺らすトラックは、彼らの荒削りさとマッチ。現状に満足していないこと、掲げた理想とはまだ程遠いことを象徴している。

KANDYTOWNのように各々の顔が浮かぶほど個性的な声は魅力的。隠語である"420"とMVの尺の長さ4分20秒にそろえた気の配りようは、R-指定が「人懐っこい」と言ってた理由がわかった気がする。

「最初は火遊び
 がいつの間にか火がつき
 仲間全員が音の遊びに
 吸って入る加速器」


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21|dodo,KM / better|

2021/04/22 公開

孤高の宅録少年なイメージの強かったラッパーdodoが、tofubeats荒井優作DJ RYOW などアーティトとのコラボ曲を次々に発表。

今回は、(sic)boyの楽曲を全面プロデュースした事で話題となったビートメーカー KM とコラボ。dodoらしく「こども部屋」「蕎麦をすする」「ドラフト一位」といった日常でも何気に使う言葉をチョイスし、丁寧に韻を重ねている。

HIPHOPのシーンでは、ハードな生い立ちや、怪しげな煙を題材にすることが多い中、dodoは中学生でも理解できるほど分かりやすいリリックで、希望を語っている。TATOOが入ったハードなルックスとは程遠い、キャシャで可愛らしいキャラクターも相まって、稀有な存在感を放っている。

「今も昔も 嫌われてた
 俺ら虫けら ちゃんとはう地べた
 黙って見てな あの日よりベター」


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22|NEOM / 鶴|

2021/04/24 公開

「もうやってられないわ!」


2021年4月23日夕、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県を対象に、25日より緊急事態宣言を発令すると発表された時、みんな同様のことを感じたはず。

休業要請されたのは酒類やカラオケ設備を提供する飲食店だけでなく、大規模イベントは原則無観客での開催を求められ、実質的に休業を迫られた。テーマパークだけでなく、HIPHOPのイベントも次々と中止せざる得なくなった。

今回ばかりは「RADWIMPS」の野田洋次郎、「flumpool」の山村隆太、KenKen、Charaなどのアーティストが悲鳴にも近い表明を発表することとなる。

全てのエンタメは、安心・安全の生活の土台があってこそ楽しめるものだという事は分かってる。でもこのままではエンタメの灯は消され、楽しみがどんどんなくなっていく。それは人間性がどんどん削がれていくのと同様だ。

そんなやりきれない気持ちを折り鶴に例え、歌にしたのがこの曲だ。作ったのは大阪・寝屋川を拠点に活動している現役大学生 NEOM 。中二の頃にSALUにインスピレーションを受けて曲を作り始めたというだけあって、メロディを大切しているラッパーだ。

羽も伸ばせず閉塞感の象徴として描写された折り鶴。しかし後半、NEOMが声を張り上げることで翼を羽ばたかせる。現実ではできないから、せめて歌の中だけでも明るい未来へと運んでくれる。

NEOMは「こんな状況なのであえてPopな曲にした」と話し、随所に思いやりを感じるリリックが、余計に切なさとなって胸を締めつける。


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23|USU,DJ TAGA / GHOST|

2021/04/25 公開

これは、やめきれなかった
ラッパーとして死にきれなかった男の物語。

USUは、新潟の伝説的グループ・HIGH de CREWのメンバーとして活動。ソロとしては2016年11月に6枚目のアルバム『DOCK』をリリース。般若が参加したり、フリースタイルダンジョンではTV出演するなど確実にキャリアを積み上げてきた日本海エリアのレジェンドラッパーだ。
しかし、2018年9月に突然引退を表明する。


数々の証言からお酒によって身体や生活だけでなく、周囲との人間関係すらも破綻させてしまったことが伺える。MVの冒頭でも、酒を片手に後輩MCに電話をする当時を再現したシーンから始まる。

そしてこの曲の第一声は「I'm a player.」
そう、USUがシーンに帰ってきた。

「俺が生きたかったから 生きるだけ
 ただそれだけ
 やりたかったから書いた
 ただそれだけ」

時期を同じくしてYOU THE ROCK★が、かつてDISられたTHA BLUE HERBプロデュースでHIPHOPアルバムを11年ぶりにリリースしたり、上記で紹介したSIMONが表舞台に戻ってきている。

THA BLUE HERB のBOSSはこう話す。
「失敗しても やり直せるんだよHIPHOPは、」と。

どん底を味わったからそこ、人の痛みや弱さに寄り添うことができる。優しくて、暖かくて、厚みのあるメロディが全てを物語っている。

空白の2年間は無駄じゃなかったと言わせる活躍を期待してしまう。


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24|YAMANE / GOMER(2021) (Prod. Devize)|

2021/04/26 公開

こんな音を聴いたことある???

ラッパーYAMANEの活動歴は長く、2004年からラップグループ・TOP SHELFとして活動。今ほどインターネットが盛んではなかった当時からSound Click、My SpaceなどのSNSで作品を発表していた。その後ソロになり、DAOKO、Jinmenusagi、不可思議/wonderboy といった超個性的なアーティストを世に輩出してきたレーベル LOW HIGH WHO? の初期メンバーとして君臨する。

2010年にはアルバム「アオソラ」「アカソラ」を発表するも、2013年に突然の活動引退。そして、2015年に復活を遂げ、現在はELOQ、DJのKEMURI-KURAGE と共にILL JOINT 2089というユニットで活動している。

とにかくラップスタイルが唯一無二すぎて、日本のHIPHOP史の中で語られることが少ないが、間違いなくエポックメイキングな存在であり、その後も彼のスタイルを踏襲できる人がいないほどだ。

荒い目のヤスリで擦りつけたような声から放たれる矢継ぎばやのフロー。それはどこまでもドープで、どこまでもアンダーグランドで、息継ぎするのを忘れるほど圧倒される。

2021年、初のソロMVでも、その声の存在感はさらに磨かれる。過剰にノイジーなエフェクトをかけクリッピングされたドラムの上で、飛び跳ねるYAMANEは軽やか。

リリックを一語一語追っても意味はない。何を伝えるかではなく、どう伝えるかに重きを置いた表現だからだ。途中でラガ調のフローになり、声色も変えていて、いいアクセントとなっている。

これだけでキャリアでありながら、フレッシュな感性で言葉をバウンスさせるアーティストは他にはいない。やはりこのスタイルを踏襲できる人は現れそうにない。


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25|BNKR街道(JUNKY, 玉 残党 & JASON X) / 猿奇術(Beats by JASON X) |

2021/04/28 公開

毎週のようにLiveに呼ばれ、メンバーはブラックホールに飲み込まれるように増殖を続け、関西アンダーグランドシーンには欠かせない存在となった大所帯HIPHOP集団・BNKR街道

BNKR街道のメンバーであり、MC兼ビートメーカーであるJASON X。元々バンドを組んでいてROCKを入り口に音源制作を開始。その後HIPHOP〜レゲエ〜エレクトリックなど様々な音を奏でるようになったいう稀有な存在。

そんな雑食性と、BNKR街道のカッコ良かったらなんでもええやんという寛容さがある。ネジが外れたブッ壊れ加減が10年以上の歳月をかけて煮込まれ、アングラ色が濃縮されたスープのような曲。

HIPHOP、ハードコアパンク、テクノ、ドラムンベースなど様々なジャンルが融合し、2000年代ごろからFatboy Slimを中心に盛り上がったミクスチャー / デジタルロックを現在に蘇らせた。

エフェクターで歪ませたラウドなベースが、ゴリゴリと曲を牽引していく。意識を空までブッ飛ばし、他人の価値観に縛られずやりたいことをやれと目をひん向いて語るVerse1の JUNKY 。自身が作成したビートだけあって、早口なフローに合わせてキックのスピードを加速させるVerse3のJASON X 。

そしてHOOKでは、ドラムンベースのリズムにチェンジ。容姿も含めてカオスのまま突っ切る 玉 残党 。

当時のミクスチャーブームでは、ROCKサイドからHIPHOPへ接近してラップをする人が多かった。ラッパー総数はまだまだ少なく、これらのリズムを器用に乗りこなせる人も少なかった。

彼らがこの曲を奏でていたら音楽シーンはどうなっていただろう。そんなことを想像しながら身体を大きく揺らす。


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26|XakiMichele, Bonbero & noma / Docchi|

2021/04/29 公開

AbemaTV『ラップスタア誕生』シーズン4にて、ファイナルステージまで勝ち残り、実力を全国に知らしめた金髪おかっぱ頭がトレードマークの noma

ファイナルステージのLiveパフォーマンスでは、新型コロナウィルスに対する番組の対応についての不満を「いつまでこんな茶番を続けるんですか」とぶちまけ、審査員であるANARCHYに「舐めてんのか、お前」と怒りを買った事で物議をかもした。

そんな noma が中心となり結成されたHIPHOPコレクティブ・夜猫族 。気鋭なアーティストが集い、尖った音楽を追求する集団だ。彼らのコンピレーションEP『Manicity』に収録された「Docchi」は、圧倒的なスキルに魅せられる。

3MCとも早口でまくし立てるが、Verseの途中でさらにスピード加速させる。YouTubeの概要欄に記載されたリリックを追うも、途中から着いていけなくり置いてけぼりをくらうほどの疾走感。

特に低くてずしりと重い声の持ち主・XakiMichele のスピーディなラップが、重力を無視しているようで気持ちいい。

夜猫族の初期は、寺山修司率いる天井桟敷のようなアンダーグランドな香りを漂わせていたが、この曲では「やっぱ武道館、アリーナかドーム」と大舞台でLiveができるほどのメジャーな存在を目指すという。

スキルを武器に成り上がる姿を早く見たい。

躍動感と品備え持つ
逆の逆inからun
僅差じゃなく しっかり差見せつけるぜ


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27|kZm / 叫悲 (Prod. KM) |

2021/04/30

あのヒリヒリとした感覚が戻ってきた!

2018年に発表された kZm の1stアルバム『DIMENSION』は事件だった。MV「Emotion」に代表される圧倒的な美意識を持ったNEOヤンキーさ。得体の知れない不気味さ。死の匂いのする背筋が凍る冷徹さ。そして狂気が渦巻くアルバムだった。

キリキリと胸が痛くなるほど極限までの張りつめた15曲だったが、ラストナンバー「Dream Chaser」は、BIMが客演したことも手伝って、次の夢へに向かって心が一気に解放される内容だった。

続く2020年発表の2ndアルバム『DISTORTION』は、「Dream Chaser」で解放された魂が、様々なジャンルの音を吸収し、メロディアスに歌う曲が多かった。

得体の知れなかったkZmが、メディアでの露出が増えて親やすい人柄だと分かったこともあり、非常に聴きやすいアルバムとなっていた。

そしてこの曲は、またヒリヒリとした音に仕上がっている。

HOOKでは「Ahhhhhh」と声を歪ませ、言葉にならない感情をノイジーに増幅させる。リリックからは、同じこと場所にとどまらず、新しい音の旅へと向かった事が読み取れる。

「おまえがしるおれにおれはようはない
 光景 got me crazy Yeah
 おれだけの世界
 光って寝れない 光って寝れない」 


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28|CROWN-D / なんもわかっとりゃあせん(Prod. GREENCRACK)|

2021/04/30 公開

CROWN-Dは、クルー"DRAMASICK"のメンバーであり、最近では梵頭、BASEと結成したユニット・東海喰種(トウカイグール)のメンバーとしても活動している。

ニート東京のインタビューで分かるようにマンガ『魁!!男塾』に登場しそうなほど豪傑さとユーモアを兼ね備えたキャラクターだ。

根っからの名古屋気質がむき出しのこの曲は、2021年03月30日に発売されたCROWN-Dのソロアルバム『CONFLICT GROWTH』に収録されている。

彼のキャラクターがそののままラップになっており、硬く韻を踏みながらクスリとニヤけるワードを散りばめる。

「なんもわかっとりゃあせん
 ある意味安心しな
 なんもわかっとりゃあせん
 ある意味心配しな」

HOOKでは、それは良い意味?悪い意味?突っ込みたくなるほど
表現としての面白さがある。このユーモアは人を引きつける。刑期中は、刑務所の雰囲気に飲み込まれないよう、待っている仲間のことを考えるよう心掛けたという。MVから仲の良さが伺える。

それでいて音に新しさを感じるのは、LafLifeとの共演でお馴染みのビートメイカー・GREEN CRACKによる手腕が大きい。メロディを鳴らし切らず途中でループさせているようで、満たされなさが訴求効果を高めている。

この曲のOneRecバージョンが、オンラインショップ・SauRsBeingから5月下旬にリリース予定のコンピレーションアルバム 『BLACK OUT MAGICK HOUR』に収録されるという。

OneRecとは、YouTubeの人気音楽コンテンツ "THE FIRST TAKE" のように一発録りだと思われ、さらにズルむけのCROWN-Dらしさが発揮されているのでは?と期待してしまう。



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29|homarelanka / Ⅲ MY SLF feat.Campanella(Prod. Ryo Kobayakawa)|

2021/04/30 公開

C.O.S.A. の最新アルバム『FRIENDS & ME』に客演参加し、存在感を見せつけたスリランカと日本にルーツを持つラッパー homarelanka 。名古屋南区を代表するクルー"D.R.C."からリリースした「Ⅲ MY SLF」は、愛知県小牧市出身の Campanella を客演に迎えリリースされた。

ちなみにクルー"D.R.C."は、この曲のプロデューサー Ryo Kobayakawa が中心となって運営しており、COVANNEIAndreなど個性的なラッパーを世に輩出している。

homarelankaは端正は顔立ちから放たれる色気あるフローが特徴的なラッパー。名古屋南部に誇りを持ちつつ、スリランカをルーツに持つことが影響してか異国情緒あるメロディを歌っている。Campanellaによる変則なフローがここではない場所へと誘ってくれる。



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30|Kvi Baba / Tear Wave (Prod. BACHLOGIC) |

2021/04/30 公開

2021年1月24日、日本武道館で開催された ZORN のワンマンライブ。AK-69、KREVA、般若、ILL-BOSSTINOなど書ききれないほど多くの有名ラッパーをゲストに迎え、サービス精神にあふれたステージであった。

その中で、若手代表として大抜擢されたのが大阪出身の20歳・Kvi Baba だ。2nd EP『19』以降、全ての楽曲をプロデュースするのがBACHLOGIC。4th EP『LOVE or PEACE or BOTH』からは、BACHLOGICが主催するレーベル / プロダクション・O.Y.W.M. よりリリースしている。

今作もBACHLOGICがプロデュースを手がけており、4ヶ月連続リリースの第1弾曲だ。ギターがリードするトラックは、途中でタムを効果的に鳴らすなどONE OK ROCKに代表されるアグレッシブかつダイナミックな楽曲に仕上がっている。

汚れた手で涙を掻き分けて
醜さを含めても風とゆけ
誰の為でもない独り言も
誰かの孤独を埋めるのなら

強さと弱さ、美しさと醜さ。
自分の中に抱えた矛盾すらも受け止めて歌にする。

個人の思いはいつしか、他人を思いやる気持ちに変わっていく。
そんな美しさがドラマチックに昇華されていく。

この曲のスケールの大きさは、大観衆の前で鳴らされるべき。5/29(土)、神戸メリケンパークにて行われる野外フェス・KOBE MELLOW CRUISE 2021で、この曲が巨大スピーカーからどのように鳴り響くのか、今から楽しみで仕方がない。


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終わりに


最後まで読んで頂きありがとうございます。HIPHOPの旅はいかがだったでしょうか?これからもヤバい曲をガツガツ紹介していきます。良かったら高評価とフォローお願いします。皆さんのアクションでモチベーションが上りますので。(これ本当!)

日々音源をチェックしていますが、なんせリリースが多いのがHIPHOP。見逃しているMVがあるかもしれません。皆さんのおすすめMVがあったら教えて下さい。

アーティストの方で、MVをリリースする予定があればTwitterまでDMを飛ばして下さい。曲にまつわるエピソードを教えてもらえればレビューが書きやすいです。必ずチェックしますので、お待ちしております。

では、次の記事でお会いしましょう!

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ドラム師匠@ヒップホップライター HIPHOPを広めたい一心で執筆しています。とは言え、たまにこれを続ける意味があるのかと虚無感に襲われます。 このまま頑張れ!と思われた方、コーヒー1杯おごる感じでサポートお願いします。自信をつけさせて下さい。