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熱意が鳴らす音


その日、スタジオにやって来た生徒さんは、いつもと様子が違った。

いつも一生懸命通ってくれているその生徒さんは、なんと怪我をしてしまい、「片腕が全く使えない状態」でやって来たのだ。

ドラムは手足を使う楽器。
普通に考えたら、迷わずお休みするシチュエーションだ。

当然僕も、
「せっかくお越しいただいて申し訳ないのですが、今日はお休みにしましょう。」
と伝えた。

でも、その生徒さんは、
「いつ治るのか分からないし、怪我した腕を使わないでレッスンを受けたい!」
と、熱い気持ちを持ってドラムセットの前に座ってくれた。

普段の落ち着いた佇まいの奥にある、音楽への純粋な情熱
その姿に深く感銘を受け、僕も全力で応えようとスイッチが入った。

いつも以上に多くの基礎トレーニングメニューを用意し、その日はまるで修行のような、濃密なレッスン時間となった。

怪我をしていない手足を使って、今できる最大限のプレイを楽しむ姿。
その真剣な眼差しと、純粋にドラムに向き合う熱意を目の当たりにして、僕は猛烈に感動した。

「ああ、音楽が好き、ドラムを鳴らしたいっていう気持ちは、どんな状況でも止められないんだな。」
そう思うと、胸が熱くなるのを感じた。

あの日のスタジオに響いた、ひたむきで熱いビートは、今でも僕の心の中に、しっかりと刻まれている。

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