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当院は開業して5年半になる。
これまでの来院データを改めて見返してみると、女性のお客様は約62%だった。

正直、感覚ではもっと多いと思っていた。
7割、いや8割くらいは女性ではないかと。

ところが数字を見ると、意外にも半々に近い。
では、なぜ私は「女性が多い」と感じていたのか。

理由は単純だった。
継続して通ってくださるのが、圧倒的に女性に多いのだ。

件数で見ると、男性の約2倍。
施術の現場に立っていると、どうしても女性の存在感が強くなる。
それが「女性が多い整体院」という感覚につながっていた。


私の施術は、とてもやさしい。

ゆらす。
まわす。
なでる。

いわゆる「整体らしい」
押す、揉む、強く刺激する、といったことはしない。

そのため、ときどきこう言われる。

「何をされているのか、正直わからないです」

つまり、手応えがないのだ。


以前、男性のお客様とのやり取りがあった。

「前に行っていた整体は、押したり揉んだりして、イタ気持ちよかった。
ここでは、そういうことはしないんですか?」

力を入れようと思えば、私にもできる。
だが、私はそうしない。

そのとき、少し踏み込んでこう伝えた。

「一時的な気持ちよさを求めるのであれば、
ここでの施術は中断しますので、他をあたってください」

冷たく聞こえるかもしれない。
だが、これは私なりの誠実さでもある。

一時的な快感を求めるなら、
リラクゼーションマッサージのほうが、ずっと適している。

私のところは、
検査で異常がないと言われたのに、
慢性的な不調が続いている人のための場所だからだ。


以前、男女の違いについて書かれた本を読んだことがある。
タイトルは忘れてしまったが、内容は今も強く印象に残っている。

古代、男性は狩りに出ていた。
獲物を追い、仲間と連携し、広い範囲を移動する。

そのため、
空間認識や地理感覚が発達し、
「大きな獲物を狙う」「ロマンを描く」傾向が強い。

そして、狩りにはケガがつきものだ。
多少の痛みでは動じていられない。
身体は、ある程度鈍感につくられている。

……これは、正直よくわかる。
私自身、狩れもしない大きな獲物を想像して、
夢を見るタイプだからだ。

一方、女性はどうか。

子どもを産み、育て、守る役割を担ってきた。
簡単に移動できない状況で、危険を察知しなければならない。

音、匂い、空気、気温。
あらゆる変化に敏感である必要があった。

つまり、
女性は感受性がとても豊かで、神経が繊細なのだ。


この話を読んだとき、私は深く納得した。

女性のお客様は、
私のようなやさしい施術でも、
身体の変化をきちんと感じ取っている。

一方、男性はどうしても物足りなさを感じやすい。
「イタ気持ちいい」くらいの刺激のほうが、
安心するのだろう。

どちらが正しいわけでもない。
感じ方が違うだけだ。

そして、その違いは、
5年半分の来院データにも、
静かに、しかしはっきりと表れていた。

数字を見ながら、
「ああ、やはりそうなんだな」
と、腑に落ちた。

そんな出来事だった。

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