見出し画像

欠けている一つ 辺野古転覆事故・第36稿

四月十七日、遺族はnoteにこう記した。沖縄にいる間、対面しての直接の謝罪も、面会可否の問い合わせも、託された手紙も、弔電も、何ひとつなかった、と。学校、ツアー会社、海上保安部、どのルートでも問い合わせがなかったことを確認した、とも書いている。

五月一日、運航団体はそのnoteを名指しで引いた。ホームページに掲げた文書で、四月十七日付のnoteに綴られた通り、事故直後に直接の謝罪や弔意を届けられなかったことで、さらなる深い傷を負わせた、と認めた。事故後のあまりに不十分で不適切な対応について、弁解の余地はない、と。生徒を船に乗せた判断自体にも、重大な誤りがあった、と書いた。

謝罪は、言葉としては届いている。それも一度ではない。


言葉の連なり

団体の謝罪は、四月から繰り返されてきた。

四月八日、事故の事実関係について文書を出した。四月十七日、代表の補償発言をめぐる報道に、真意と違うと反論する文書を出した。五月一日、事故後対応の不備を全面的に認める文書を出した。五月二十九日、代理人が、船長らの民事賠償責任を団体も引き受ける方針だと表明した。賠償について、社会的責任を最大限に果たすべく誠心誠意注力する、と書いた。

六月十六日、事故から三カ月の献花の場で、浦島悦子共同代表はこう述べた。いまだに遺族にも学校にも直接の謝罪ができていないことが、痛恨の極みだ、と。報道によれば、謝罪に向けて弁護士を通じ連絡を試みている、という。

五月一日の文書には、もう一つ、見過ごせない一節があった。自然の影響を大きく受ける海上の活動に、未成年を含む見学者を受け入れる判断自体に、重大な誤りがあった、と。第28稿から第32稿にかけて、僕はこの旅程が見学だったか参加だったか、しおりに抗議船と書かれていたかをめぐる争いを書いてきた。器をどう呼ぶかの攻防だった。その器について、受け入れ自体が誤りだったと、団体の側が事後に書いた。名づけの争いに、団体自身が一つの答えを置いた格好だ。

文書、反論、全面謝罪、賠償方針、そして痛恨の表明。言葉は、節目ごとに積み重なっている。

一つだけ欠けるもの

ここから先は

1,733字
この記事のみ ¥ 280
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

メンバーシップは医療マガジン、有料日記を全部読めます。 僕を応援してください!お願いいたします! 毎…

ちょっと応援プラン(全部プラン②)

¥2,000 / 月
あと15人募集中

もっと応援プラン(全部プラン③)

¥3,000 / 月
あと31人募集中

どんと応援プラン(全部プラン④)

¥9,999 / 月

全部プラン

募集終了

よろしければ応援お願いします!チップはnote更新用のPC購入費用に当てる予定です。よろしく!