「死ねなくなった」という言葉の重み 〜脳外科医が親になって気づいたこと〜
「これで死ねなくなった」
実妹が妊娠を告げた時、彼女は泣き叫びながらそう言いました。
喜びの涙ではありませんでした。当時の僕には、強い違和感しかなかったのを覚えています。新しい命を授かったのに、なんて自己中心的な考え方なのか。子供より自分を優先するなんて、親になる資格があるのだろうか。心の中で、妹を批判していたのです。
あれから10年以上経ち、僕にも子供ができました。
小学生になった子供たちの寝顔を眺めながら、ふと思います。
「死ぬわけにはいかない」と。
医師として見る死、親として恐れる死
脳外科医として、数え切れないほどの死に立ち会ってきました。
朝まで話していた患者さんが急変して亡くなることもあります。全力で手術をしても救えない命があることも知っています。死というものは突然で、理不尽で、そして平等にやってくる。そう理解していたつもりでした。
でも、親になってから、死に対する感覚が根本的に変わってしまったのです。
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