自転車青切符まであと3週間 〜親が知るべき落とし穴〜
4月から、自転車の交通違反に反則金が科される。
前回の記事を書いたのは去年の10月でした。あのとき施行まで半年。まだ先の話だろう、という空気がありました。あと2週間を切った今、SNSの景色がだいぶ変わっています。
チャイルドシートに小学生
Xで急速に広まっている話題があります。小学生以上の子どもをチャイルドシートに乗せて走ると、3千円の反則金。
自転車の幼児用座席に乗せられるのは6歳未満の幼児だけです。小学生になった時点で、体格的に収まろうが関係ない。乗せれば「2人乗り」扱いになります。これまでは警告どまりだったものが、4月から青切符の対象になる。
声が大きいのは、特別支援学校への送迎をしている親たちです。車がない。学校に駐車場がない。自転車しか手段がない。そういう家庭にとって、この改正はかなり重い。
警察が示している対処法は「押して歩く」。自転車を降りて押せば歩行者扱いになるので、子どもを座席に乗せたままでも違反にはならない。
理屈はわかる。でも毎朝毎夕、自転車を押して歩いて送迎するのが現実的かと言われると、厳しい。
ノールック横断の動画
Xではもうひとつ、別の流れもあります。
子どもを後ろに乗せたまま、左右を見ずに横断歩道を突っ切る自転車の動画。ぶつかりそうになった相手に対して、なぜか被害者のような顔をする運転者。「うしろに子ども乗っけてんのにノールック横断とか何考えてんだろ」というポストに、大量の反応がついていました。
別の動画では、車道を直進する自転車と横断歩道上のママチャリが衝突する映像も回っている。赤ちゃんを乗せた自転車の事故で、車の運転手が逮捕されたケースまで話題になっていました。ぶつかった側ではなく、ぶつけられた側が逮捕される。自動車対自転車の力関係が、法律上はそうなっている。
こういう動画が拡散されるたびに、コメント欄は「ママチャリが悪い」で埋まります。交通ルール上も明らかに自転車側に非があるケースが多い。
ただ、動画を見ていて一番怖いのはそこではありません。危険な運転をしている親が最もリスクにさらしているのは、後ろに乗っている自分の子どもです。
電動アシストの死角
Xの動画に映っている自転車の多くは電動アシスト付きです。
電動アシスト自転車の事故件数は、令和元年の2,391件から令和6年には5,980件へ増えました。5年で約2.5倍。自転車事故全体は横ばいなのに、電動アシストだけが突出して伸びている。
子ども乗せタイプの電動アシスト自転車は、車体だけで30kgを超えます。ここに大人と子ども2人が乗れば、総重量は100kgを軽く超える。この重さが時速20km前後で走っている。
アシストがあるから漕ぎ出しは軽い。坂道も楽。だから便利で普及した。でも重量と速度が生む運動エネルギーは、便利さとは無関係に物理法則に従います。ぶつかったとき、倒れたとき、その衝撃を受けるのは車体の上に乗っている子どもです。
頭部外傷の話
外科医として、自転車事故の頭部外傷には何度も向き合ってきました。
自転車から投げ出されて地面に頭を打つ。事故直後、意識がはっきりしていて普通に喋れていたのに、数時間後に急変する。「talk and die」と呼ばれる経過です。脳の中で出血がじわじわ進行し、気づいたときには手遅れになっている。
子どもの頭蓋骨は薄い。脳も発達の途中にある。同じ衝撃でも、大人より深刻な結果になりやすい。命が助かっても、高次脳機能障害やてんかんが残ることがある。事故の瞬間だけで終わらない。その後の人生が変わる。
ヘルメットの現実
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