肝臓を脾臓と言い張った外科医が逮捕された話
2024年8月、フロリダ州の病院で70歳の男性が手術台で死亡した。脾臓摘出のはずだった。
術後、執刀医のThomas Shaknovskyは「脾臓を摘出した」と説明した。検死で判明したのは、摘出されたのが肝臓だったという事実だ。脾臓は手つかずのまま体内に残っていた。死因は大量出血。
解剖学的にありえない
肝臓と脾臓は間違えようがない。
位置が違う。肝臓は右側、脾臓は左側。大きさも別物で、肝臓は体内最大の実質臓器で約1.5kg。脾臓は握りこぶし大。色も質感も異なる。医学部の解剖実習で一度触れば、生涯忘れない。
肝臓は横隔膜直下の右上腹部に広がる。脾臓は左上腹部、胃の背側に収まっている。腹腔鏡でも開腹でも、視野に入れば一目で別物とわかる。空間としての配置がまるで違う。
手術室で起きたこと
手術は腹腔鏡で開始された。途中で視野不良を理由に、Shaknovskyは独断で開腹に切り替えている。
そこから先は技量の問題ではない。大量出血、パニック、視野の喪失。後に彼自身が「盲目的にステープラーを打った」と供述している。何を切っているか見えないまま、血管を含む臓器を閉じて切離していた。コントロールを完全に失った状態で手を動かし続けた。
術中、スタッフは気づいていた。「それは肝臓ではないか」と。執刀医は耳を貸さなかった。手術室は、器械出し看護師や助手が「違います」と声を上げられる場所であるべきだが、指摘されても執刀医が止まらない文化が存在する現場もある。そこでは警告は空中に消える。
隠蔽
ここから先は
1,161字
この記事のみ
¥
280
Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

過去に投稿した有料医療記事をまとめたマガジンです。
今後も順次追加していきますので、興味がありましたらよろしくお願いいたします。
よろしければ応援お願いします!チップはnote更新用のPC購入費用に当てる予定です。よろしく!
