靖国問題が解決しない本当の理由〜藤田文武発言切り取り騒動から考える
4月21日、靖国神社の春季例大祭。日本維新の会の藤田文武共同代表が参拝し、記者団の前に立った。
女性記者が聞いた。「玉串料は私費ですか?」
定型の確認なのか、踏み込みなのか、録音だけでは判じかねる距離感だった。
藤田氏はこう答えた。「私費です。こういった質問自体、意味がないと思います」
維新は党として靖国参拝に公式スタンスを明確化していない政党だ。藤田氏の発言が個人判断なのか党の姿勢の反映なのかは、この時点では判然としない。
この発言がXで拡散した経緯が、なかなか興味深い。
切り取りの構造
最初に広まったのは、「私費です」の部分が省かれたバージョンだった。
「藤田文武『くだらない質問』」というテキストが独り歩きし、そこにあるアカウントが「答えないということは公費だな」とコメントを付けた。普段はオールドメディアの切り取り報道を批判している側のアカウントである。事実確認なし、産経の原文一本読めば済む話なのに。
産経が原文を配信してからXで「くだらない質問」部分だけが切り出されるまで、半日と経たなかった。
右派は「スカッとした」でRTし、左派は「答えなかった=憲法違反疑惑」で消費した。どちらも「私費です」という事実を持っていなかった。
これはオールドメディアの切り取り報道を批判するアカウントが、同じ手法でやらかしたという意味で、構造として完成していた。
質問は「くだらない」のか
では記者の質問に意味はなかったのか。
そうではない。政治家が公費で宗教施設に参拝すれば、憲法20条が定める政教分離に抵触する可能性がある。1997年の愛媛玉串料訴訟で最高裁は公費支出を違憲と判断しており、確認すること自体は判例上の根拠がある。
そもそも同じ質問が毎年繰り返されるのは、記者クラブ側で半ば定型化された確認事項だからでもある。質問者個人の意図というより、仕組みの問題という側面も無視できない。
藤田氏が苛立ったのはおそらく、質問の意図が「確認」ではなく「叩きの材料にしたい」に見えたからだろう。その読みは外れていないかもしれない。それでも「私費です」と即答した後に「意味ない」と言う分には、筋は通っている。
問題は「私費です」が切り取られたことで、この文脈が丸ごと消えた点だ。
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