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コインの暴落は詐欺なのか 〜嘘・隠蔽・無登録、三本の境界線〜 仮想通貨とは第3稿

前回、コインの買い手を四つに分けました。いちばん厄介なのが物語で買う人で、物語が死んだ瞬間に財産を失う。そして、失った人の口から出る言葉は決まっています。

騙された、と。

暴落のたびに、同じ光景が繰り返されます。SNSには「詐欺だ」「逮捕しろ」が並び、その真下に「投資は自己責任」「調べなかったほうが悪い」がぶら下がる。銘柄の名前だけを入れ替えて、この応酬は暴落の翌朝にトレンドへ入り、何年も前から一言一句ほとんど変わっていません。どちらも半分ずつ正しくて、半分ずつ雑です。今回は、この境界線を引きます。

先に断っておくと、僕は法律家ではありません。以下は個別の案件への判定ではなく、詐欺という言葉がどういう構造でできているか、の整理です。


先物は合法である

出発点はこうです。投機商品を作ること自体は、詐欺ではありません。

先物もオプションも、突き詰めれば値動きを売買する商品です。米も原油も、現物を欲しいわけではない人たちが、値段の上げ下げだけを取引している。世界で最初に組織された先物市場は、18世紀の大阪、堂島の米会所だったとされます。投機の市場は日本発で三百年の歴史を持つ、もちろん合法の営みです。価格がゼロになりうる危険な商品を売ること自体は、罪ではない。危険と欺瞞は、別のものだからです。

有名人がトークンを出すことも、同じ理屈で、それだけでは詐欺になりません。名前を貸す。話題を作る。ファンに買ってもらう。どれも、法が禁じる行為ではない。

では、何が詐欺を詐欺にするのか。線は三本あります。

嘘で売ったか

一本目の線は、嘘です。

刑法の詐欺の核心は、嘘で人を錯誤に陥れて、財産を出させたことにあります。商品が危険かどうかではなく、売るときに何を語ったかが決定的になる。あの人が公認している。上場は確定している。必ず上がる。事実でないことを断定して買わせたなら、商品の中身がどうであれ、詐欺のほうへ傾きます。付け加えると、刑事の手前には民事の網もあります。事実と違う説明で契約させられた場合、罪に問うのとは別の経路で、契約を取り消して金を取り戻す道が用意されている。立件されない、は、咎めなし、と同じではありません。

逆に、リスクを正直に開示し、誇大な約束をしていなければ、結果的に暴落しても詐欺にはなりにくい。買い手は危険を知らされたうえで、自分の判断で賭けたことになるからです。

前回の四分類を思い出してください。物語は、コインを売る燃料として最強でした。そして物語は、嘘がいちばん混ざりやすい場所でもあります。売り文句が物語の形をとった瞬間、事実と願望と虚偽の境目は、外からほとんど見えなくなる。詐欺の立証がコインで難しいのは、この構造のせいです。

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