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夏の降圧薬、減らす順番が間違っている

夏になると、血圧手帳を持参して「そろそろ薬を減らしませんか」と言ってくる患者が増える。数字を見ると、確かに下がっている。減薬の相談としては筋が通っている。

そして減らした処方は、たいてい秋を越え、冬まで残る。


夏の血圧は下がる

日本高血圧学会副理事長で帝京大学教授(腎臓内科)の柴田茂氏によれば、冬場と比べて夏場の収縮期血圧は5〜7mmHgほど下がる。汗をかき、血管が拡張し、循環血漿量が減る。だから患者の実感も、差し出された手帳の数字も、間違ってはいない。

問題は、その手帳に記録されている時間帯にある。

夜だけ逆を向く

血圧は通常、日中に高く、眠っている間は10〜20%下がる。副交感神経が優位になり、心拍数が落ち、尿量も減る。この正常な低下パターンをdipper型と呼ぶ。

夜間の低下が10%未満に留まるのがnon-dipper型、日中より夜間のほうが高くなってしまうのがriser型。逆に20%以上下がりすぎるextreme dipper型もあり、高齢の高血圧患者では無症候性脳梗塞が水面下で進行しているケースがある。下がらないほうだけが危ないわけではない。

そして夏は、下がらない側に大きく振れる。

滋賀県長浜市の一般住民4,780名を対象にした研究では、睡眠中の収縮期血圧の下降率が、夏−5.8%、春秋−8.2%、冬−11.0%と季節で明確に分かれた。ギリシャの研究では、診察室血圧・家庭血圧・日中の自由行動下血圧はいずれも夏に低かったのに対し、夜間血圧だけが変わらず、結果としてnon-dipperの割合が55%増えた。

日中が下がるのと同じ季節に、夜が下がらない。

この夏の夜間血圧上昇は、気温そのものによるものではないと考えられている。夏の気候による身体的な不快感と、睡眠の質の低下が主な要因とされる。柴田氏が挙げる寝苦しさ、そして日中の塩分過剰。もう一つが、降圧薬の減らしすぎだ。

なお、夜間高血圧の背景に睡眠時無呼吸が隠れていることは珍しくない。いびきや日中の眠気があるなら、減薬の可否を議論する前に検査の対象になる。夏の寝苦しさとSASは同じ訴えとして外来に出てくる。

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