病院未収金、年間373億円〜「見えない出血」の正体
朝、ベッドがもぬけの殻だった。
夜間の救急搬送で運ばれてきた患者。頭部外傷でCTを撮り、処置をして、入院の手続きを…と思ったら、明け方にいなくなっていた。連絡先も繋がらない。残ったのは空のベッドと、未収金の伝票だけ。
ちゃんと治療できたのか。その後どうなったのか。何も分からない。医療者としてのやるせなさと、病院経営を考えたときのため息が、同時にこみ上げる。
「未収金」の規模
病院の未収金は、あまり表に出てこない。でも相当な規模で存在している。
四病院団体協議会の調査(2005年)によると、全国の病院だけで年間約373億円の未収金が発生していた。累積では853億円を超える。診療所を含まない数字だ。厚生労働省の調査(令和3年度)では、1病院あたり月間約100〜120万円。95%の病院が未収金を抱えていて、1000万円以上の未収金がある施設も15.5%ある。古いデータもあるが、構造は変わっていない。むしろ悪化しているだろう。
ここで一つ、誤解を解いておきたい。未収金の大半は、外国人ではなく日本人だ。
都立病院の令和5年度データでは、日本人の未収金が約5.5億円(約14,000件)、外国人は約1.5億円(約1,000件)。件数で見れば14倍の差がある。外国人患者を受け入れた病院の約16%で未収金が発生しているのは事実だ(2024年9月、厚労省調査)。でも「外国人=踏み倒し」という単純な図式ではない。生活困窮者、無保険者、生活保護の手続きが間に合わないケース。国籍に関係なく、払えない人がいる。
問題は「払えない人」と「払わない人」が混在していること。現場では、その判別がつかない。
制度の穴
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