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知事の「静かに」答弁と遺族noteを日付で照合する 辺野古転覆事故・第42稿

言葉の日付

言葉には日付がある。書かれた日、語られた日、切り取られた日。この一週間、辺野古の事故をめぐって、日付を失った言葉が大きく燃えた。燃え方ではなく、日付を、順に置き直す。


百日目の投稿

六月二十三日、事故から百日目の夜、遺族はnoteに「刑事責任」と題した投稿を公開した。

その冒頭に、発信することへのためらいが書かれている。自分が発信をすることで、娘の同級生や在校生、卒業生の不利益になってしまうのではないか。捜査の妨害をしてしまうのではないか。沖縄に住んでいる方々に嫌な思いをさせてしまわないか。思い悩み、書いては消すことを日々繰り返している、と。そして、こう続く。まだ学校に子供を通わせている保護者の心情を考えた時に、これ以上、波風を立てて話題になって欲しくないのではと思うと、なかなか筆がすすみません。

段落は、そこで終わらない。心から寄り添って支えてくれる保護者も実際にはとても多い。発信を始めて以来、政治、行政の方々の積極的な動きに何度も勇気づけられている。そうした後押しを力に、今回の記事も最後まで悩みながら出すことにした。投稿はそう結んで、本題へ進んでいく。

出された本題は、軽いものではなかった。乗船プログラムが始まってから四年間、教員は下見で実際に船に乗って安全を確かめたことが一度もなかったこと。過去の参加生徒の感想に、怖かった、恐怖を感じた、という言葉が残っていたのに、プログラムが見直されなかったこと。船長自身が開会礼拝で、海では実に簡単に人が死ぬ、と語り、違法な抗議活動を行っていることを明言していたとされること。当日、乗船予定だった引率教員が、連絡も許可取りもないまま船に乗らず、生徒だけで出航したこと。それでも現時点で、学校関係者は誰も被疑者として扱われていないこと。悩みの記述は、これだけの検証を出すための、前置きだった。

静かにしていたい、という文章ではない。静かにしていてほしいのではないかと他の保護者の心情を推し量り、その上で、書くことを選んだ、という文章である。

百六日目の答弁

その六日後の六月二十九日、県議会の一般質問で、この事故が取り上げられた。質問に立った沖縄自民の島尻忠明県議は、冒頭の所感で事故当日の状況に触れている。気象庁は波の高さ三メートルを予想し、波浪注意報が出ていた。海上保安部がメガホンで注意を呼びかける中、船はそのまま出た。人災だ、という認識だった。その上で島尻県議は、遺族は政治活動に利用されている、政治的に利用しているのは反対運動の側だ、という趣旨で知事の見解を質した。

玉城知事の答弁を、僕は会派が公式チャンネルで公開している動画で確認した。知事はこう答えている。遺族の手記にもあるが、できるだけ静かにしてほしいというのが遺族の気持ちだと思う。捜査中でもあり、我々も心を静かに持つべきだ、と。

誰が政治利用しているのか、という問いへの直接の答えはなく、代わりに、遺族の気持ちの代弁が置かれた。そしてその代弁は、捜査中、という言葉と結ばれていた。

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