自民316議席で変わった維新の立場
自民316議席。衆院選の大勝を受けて、吉村代表は高市首相からの閣内協力要請を受け入れました。次の内閣改造で維新から閣僚を出す方針です。
「閣外協力」で独自色を守ってきた維新が、なぜ態度を変えたのか。
閣内に入るしかなかった
自民が単独で3分の2を超えた時点で、維新の立場は一変しています。閣外にいたままでは「いなくても困らない存在」になるだけ。交渉力の源泉だった議席の重みが、圧勝で一気に薄まりました。
かといって野党に戻る選択肢も現実的ではありません。一度与党に入った以上、「やっぱり戻ります」は通らない。野党側にも受け皿がない。中道をはじめ各党は軒並み惨敗で、合流しても展望は開けません。
閣内に入っても茨の道、離れても茨の道。維新は「入る」を選びました。
自民側にも計算はあります。316議席は異例の数字ですが、大勝の後には揺り戻しが来るのが常です。議席を大きく減らした局面で安定した政権運営を続けるには、連立相手が必要になる。今のうちに維新を閣内に取り込んでおけば、苦しくなった時の保険になります。
単独で十分な議席がありながら、あえて入閣を促した高市首相の判断。先を見据えた布石でしょう。
維新にとっては、自民の都合で使われるリスクと隣り合わせです。埋没せずに存在感を示せるか。ここからが勝負になります。
大阪という岩盤
維新には他の中小政党にはない強みがあります。大阪です。
府政・市政ともに維新が掌握し、地方議員の層も厚い。大阪府内43市町村のうち約4割にあたる17市町で維新公認の首長が行政を握っています。府議会でも過半数を維持し、万博の実績もある。かつての社会党や民主党系のように全国でふわっと集めた支持とは構造が違います。大阪という日本第二の都市圏に根を張った岩盤支持層がある限り、維新が消滅する事態は考えにくい。
大阪を一歩出ると
ただ、その強さは裏を返すと大阪への極端な偏りでもあります。
2023年の統一地方選で維新が獲得した道府県議の議席は全国で124。躍進と報じられましたが、その大半は大阪と兵庫に集中しています。兵庫では選挙前の4議席から21議席へ伸ばしたものの、東北では秋田市議会の1議席にとどまり、山形県では全敗。党本部が東京ではなく大阪市にあるという組織構造からも分かるように、維新は生い立ちからして大阪の地域政党です。
全国政党を目指すと言いながら、地方議員の足場が近畿以外にほとんどない。選挙のたびに候補者を送り込んでも、日常的に地域で活動する議員がいなければ票は根づきません。大阪では盤石でも、全国レベルでは「高市自民でいい」という壁がある。大阪の成功モデルを全国に展開するというストーリーが、高市首相の改革路線に吸収されつつあるのが現状です。
与党にとどまる最大の実利は、副首都構想の実現にあります。都構想が頓挫した後に掲げたこのテーマは、法整備、予算確保、省庁機能の分散など、国政レベルの協力なしには絶対に前に進みません。野党の立場から「副首都を作れ」と叫んでも形にはならない。閣内にいて政策決定に直接関与できるからこそ、一歩ずつでも近づけられます。
大阪IRの推進、関西圏のインフラ整備、万博後のまちづくり。与党内で予算を取りに行ける立場にいる意味は大きい。大阪の有権者に「与党にいるからこそ、これだけのことができた」と示せれば、岩盤支持層の維持に直結します。
独自性だけが生命線
閣内に入りながらも「これは維新が押し通した」と国民が実感できる成果を出せるか。自民に対しては「維新がいないと改革が止まる」、国民に対しては「維新がいるから生活がこう変わった」。両方を示せなければ、かつて自民との連立で埋没し消えた社会党と同じ道をたどります。
全国での独自性と、大阪のための実利。この二つを矛盾なく追いかけるバランスを見つけること。それが吉村代表に課せられた宿題であり、維新の命運そのものです。
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とある地方都市の某外科医のひとり言
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