ヴァンプドッグは叫ばない|厳戒態勢の街と、閉ざされた隠れ家
市川憂人さんの「ヴァンプドッグは叫ばない」を読了しました。
前作「ボーンヤードは語らない」は短編集であったこともあり、本作は5年ぶり、待望の長編。
〈マリア&漣〉シリーズ第5弾です。
研究所から脱走した吸血鬼(?)「ヴァンプドッグ」を追う警察側。
そして、現金輸送車襲撃事件を引き起こし、隠れ家に潜伏する強盗犯たちの2つの物語が進んでいきます。
一見関連のなさそうな2つの物語は、いったいどこで交わるのか。
ということで、今回は本書の感想や個人的見どころをまとめてみました。
少しでも興味がある方は、ぜひ最後まで読んでいってください。
※小説の内容に触れています。まっさらな状態で楽しみたい方はご注意ください。
タイトル:ヴァンプドッグは叫ばない
ジャンル:本格ミステリー
ページ数:409頁(電子書籍)
(著者:市川憂人)
あらすじ+感想
MD州で起きた現金輸送車襲撃事件。
犯人一味のワゴン車が、遠く離れたA州で乗り捨てられている。
応援要請を受けたマリアと漣が向かった州都フェニックス市は、警察と軍による検問と「ジェリーフィッシュ」による空からの監視で厳戒態勢。
その本当の理由は、二十年以上前に連続殺人を犯し研究所に収容されていた男「ヴァンプドッグ」の脱走。
やがて市内では、過去と同じ手口の殺人が次々と起きていきます。
一方、市内の隠れ家に潜伏していた襲撃犯たちも、身動きが取れないまま仲間の一人が邸内で殺されてしまう。
読み進めるほどに引き込まれる一冊。シリーズ第5弾として読み応えたっぷりです。

個人的見どころ3選
①2つの事件が並走する構成
街を覆う脱走犯「ヴァンプドッグ」の捜索と、隠れ家という閉ざされた空間でのできごと。
この2つが交互に語られていきます。
読者としては「この2つはどこでつながるのか」という問いを常に抱えたまま進むことに。
そしてこれらの事件がつながっていき、真相は思いもよらない結末を迎えることに。
②「ヴァンプドッグ」という存在
変異した《狂犬病》に冒され吸血鬼となった殺人鬼、という設定がまず強烈。
人間なのか、それとも別の何かなのか。
姿がはっきり見えないまま被害だけが積み上がっていく中で、マリア&漣を含めた警察側の焦燥感が伝わってきます。
本格ミステリーでありながら、こうしたSF寄りの設定が溶け込んでいるのは、シリーズならでは。
③次作を期待させる締めくくり
事件そのものには決着がつきますが、物語の最後は次回作の存在を予感させます。
シリーズを追ってきた身としては、ここで終わりではないという余韻がしっかり残っており、次の一冊を待ちたくなる締めくくりです。
おわりに
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
今回は「ヴァンプドッグは叫ばない」の感想や印象に残った点をまとめました。
皆さんは、〈マリア&漣〉シリーズを読んだことはありますか。
個人的には、本作はシリーズの中でも最高傑作の一冊。
本格ミステリーが好きな方はもちろん、少し変わった設定の物語を読みたい方にもお勧めです。
それでは、今回はこのあたりで。
※見出し画像や本文中の図解には、ChatGPT Images 2.0を使用しています。
