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3度キャリアを変えること


産休まであと2か月ほどとなり、会社に向けた手続きを意識するようになってきた。

「まだあと2か月もあるじゃん」とも思うが、里帰り出産先の病院にて「初診2週間前には帰省してくれ」というお願いがあり、産休1か月前から実家へ戻ることになっているので実質出社は1か月である。

各種手続きを実家でやるのは環境的にも面倒くさいので、スケジュールを立てて色々なことを進めているのだが、ふとした瞬間に「あ~またキャリアが変わろうとしているのか」と思う。

わたしはこれまで2度、会社を変えている。

赤字で消された出勤簿


新卒で入った会社は、純度100%のブラック企業だった。
正社員は50人前後、パート含めて90名ほど。毎月人が辞めていくため、在籍した2年半で社歴としては上から数えた方が早いという状態だった。

入社前面談は「営業」で受けたはずなのに、入社式で配属が「事務」に変わっていたり(これは個人的にラッキーだったので問題ない)
入社して6か月で(人材が辞めまくった結果)3カ所部署移転を繰り返し、部長も続々辞めたので、社長が直属の上司になって「好きに使え」と社長印を手渡されたエピソードはまだ可愛い部類に入る。

月曜日の全体朝礼では社長のありがたいお言葉(怒号)を立ちながら1時間拝聴して、その後、トイレで泣いている後輩の分も仕事をする。人が足りないので、繁忙期は終電まで当たり前のように働いた。残業時間だけで3ケタの月もざらにあった。


あるとき、総務部から声を掛けられた。 
手元には先月締めた出勤簿。許可を得て対応した3桁の残業時間も記載されている。そのすべての残業時間に赤線が引かれていた。総務が言った。



「今ここで20時間分の残業時間にするか、ゼロにするか決めてください」




入社したその日に死んだ魚の目をした先輩を見て、親に「絶対にブラック企業だから辞めたい」とすぐさま相談した。「最低3年はいないと、転職の枠にも引っかからない」と言われて続けていた。だからこそ、鬱にならないギリギリまで働いた。お金が出るならやりましょうと。だって生活のために働いてるから。

社長の怒号で周りの人材がどんどん鬱で辞めてく環境で、いつかわたしもやられる日がくるかもしれないと思っていた。

けどわたしの心は定時帰りの総務の一言でポキリと折れた。
怒号よりも何よりも、その会社の中で一番時間的に余裕がある人たちに給与が握られている事実が一番わたしの琴線に触れた。

幸いなことに営業から制作までなんでもござれになっていたわたしは、次の職も簡単に見つけることができた。

感覚が磨かれた2社目

一社目の経験を得て選んだ2社目の職域は「一般職」だった。スタートアップ企業として「総合職」と「一般職」を募集していたため、「お金よりも自分の時間を優先したい」と一般職を選んだ。

会社の業種も、そこで働く人材も比べ物にならないぐらい良い会社だった。なにか懸念があればみんなで共有して解決し、怒号が飛ぶ場面は殆ど無い。
仕事を通じて勉強できる機会もあって、この2社目でキャリアやライフプラン・自分が置かれている環境についてしっかり考えることができるようになった。

そんな企業を何故やめたか?

そう、再び絡んでくるのは「お金」である。


気付いていた。
同じ一般職の同期がルーチン作業をしてる中、総合職の仕事をわたしがしていることに。
適材適所と言えばそれまでだが、ルーチンの仕事をする同期は昇給するのに、総合職の仕事をしているからか中々昇給できない。一般職なのに。(査定対象者がわたしだけ総合職と同じ人材だった)

前職で一回も昇給がなかったこともあるが、社会に出て5年が経とうとする場面で、私の年収は300万円以下(税抜前)だった。繰り返す。300万円以下(税抜前)だ。

東京ジャングルに、田舎出身の一人暮らしの女が一人。しかもライフプランについて考える機会が随時ある環境で、否が応でも省みるわけである。

賃金以外は好条件であったが故に悩みあぐねいている中、ある日同期とランチへ向かったとき、彼女がぼそりと言った。

「実は今月から4万給与が上がるんだよね」

年間で?と聞いた。月額が、と彼女が言った。
話をよくよく聞くと、現在のルーチンにひとつ仕事を追加されたらしい。専門的な分野かと思ったが、そうではなく役員周りの雑用係のようだった。けれどもそれらの仕事は定時の域を越えはしない。ちなみに彼女はめちゃくちゃ可愛いお顔立ちをしていた。

「独身でも生きていける生活費が欲しい」

二度目の転職活動に迷いはなかった。なまじ知識がついていなかったら、その選択肢は思い浮かばなかったろう。
感謝の念を込めつつ、わたしは現職への切符を手に入れたのであった。


自分目線の選択肢を失わないように


現職である3社目については、絶賛勤務中のため詳細を記載することは控えるが、「わたしって仕事運が本当にないな?!」と確信している次第である。

幸いにも年収が増え、福利厚生が抜群にいいため仕事を続けているが、環境の変化具合だけで言えば一社目と同程度の衝撃を日々送っている。

もしかしてわたしはやれやれ系の血を持つ女なのかもしれない。やれやれ、今日も職場に振り回されるぜ。
そしてそんな職場とも産休をきっかけにしばらくの間、オサラバである。


東京ジャングルで生き延びるために、ある種順調にキャリアアップしていたのが、出産を期に一旦止まる。
【生きるため】にキャリアを変えてきたわたしが違う理由でキャリアを止めることに、ほんの少しだけ不安もある。前例が自分の中でないからだ。


未知の不安を抱いたりしながらも、日々「こうする」と決めて過ごしているお母さんや妊婦さんたちに拍手を送りたい。すごいよ、マジで。いや、ほんとに。

もちろんその裏で、キャリアを積む代わりに仕事をしてくれる人たちが沢山いる。その人たちにも感謝と拍手を贈りたい。
この人たちのおかげで未来のキャリアについて、考える時間が出来ているとも言える。貴重な時間をくれて、本当にありがとう。


産んだあとに、どんな選択をしているか。産む前のわたしにはさっぱりわからない。
けど、選んだ結果を「ガマンした」と思わないようにだけはしたいなと思う。
よろしく頼むぜ、未来のわたし。

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